第106回
106AM003|第106回 助産師国家試験 過去問
骨産道について正しいのはどれか。
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正解2
正答
2.骨盤腔の区分で最も広いのは骨盤濶部である。
この問題のポイント
骨産道(小骨盤腔)の4区分と各部の広さ・形、真結合線の種類、X線骨盤計測の撮影法をまとめて問う問題です。次の3つの対比を正確に覚えているかが鍵になります。
- 最も広いのは濶部、最も狭いのは峡部
- 最短距離で定義されるのは産科的真結合線
- 仙骨の形は側面撮影のグースマン法、入口部の形は入口面撮影のマルチウス法で評価する
解説
骨産道の区分と広さ
骨産道は、分娩時に胎児が通過する骨の通り道で、小骨盤腔を指します。上から順に骨盤入口部、骨盤濶部、骨盤峡部、骨盤出口部の4つに分けます。各区分の境界は、前方の恥骨結合と後方の仙骨・尾骨の指標点を結ぶ面です。
- 骨盤入口面:岬角と恥骨結合上縁を結ぶ面で、側方は分界線です。横径が前後径より長い横楕円形です。
- 骨盤濶部面:恥骨結合後面の中央と、第2・第3仙椎の境界付近を結ぶ面です。前後径・横径ともに約12.5cmでほぼ円形となり、骨産道で最も広い部分です。
- 骨盤峡部面:恥骨結合下縁と仙骨下端を結ぶ面です。側方では左右の坐骨棘が内側へ突き出しています。そのため坐骨棘間径(峡部横径)が骨産道で最も短くなり、ここが最も狭い部分です。
- 骨盤出口面:恥骨結合下縁と尾骨先端を結ぶ面です。前後径が横径より長い縦長の形で、分娩時には尾骨が後方へ動いて前後径が広がります。
骨産道の形は、入口部で横長、濶部でほぼ円形、峡部・出口部で縦長へと変わります。児頭はこの変化に合わせて進みます。
- 入口部では、矢状縫合を横径方向に向けて進入します。
- 下降しながら内回旋(第2回旋)します。
- 出口部では、矢状縫合を前後径に一致させて娩出されます。
濶部は余裕があるため回旋が進みやすい部位です。一方、峡部は狭いため、回旋が不十分だと骨盤の低い位置で進行が止まることがあります(深在横定位など)。また、坐骨棘を結ぶ高さは児頭下降度(ステーション)の基準(±0)です。児頭先進部がここに達したとき、児頭最大周囲径は骨盤入口面を通過している(嵌入)と判断します。
真結合線と関連する計測線
骨盤入口部の前後径には、定義の異なる線がいくつかあります。
- 解剖学的真結合線:岬角中央と恥骨結合上縁を結ぶ線です。
- 産科的真結合線:岬角中央と恥骨結合後面を結ぶ最短距離です。入口部で最も短い前後径であり、児頭が通過できるかを左右するため、分娩予測で最も重視されます。
- 対角結合線:岬角と恥骨結合下縁を結ぶ線です。内診で測定でき、そこから1.5〜2cmを引いて産科的真結合線を推定します。
- 外結合線:第5腰椎棘突起と恥骨結合上縁前面を結ぶ線です。マルチン骨盤計を用いて体外から測ります。
日本産科婦人科学会では、次のいずれかに当てはまるものを狭骨盤としています。狭骨盤は児頭骨盤不均衡(CPD)を評価するきっかけになります。
- 産科的真結合線9.5cm未満
- 入口横径10.5cm未満
- 外結合線18cm未満
X線骨盤計測
- グースマン(Guthmann)法:骨盤を側面から撮影します。産科的真結合線などの前後径、仙骨の彎曲の形状、児頭と骨盤の位置関係を評価します。
- マルチウス(Martius)法:骨盤入口面がフィルムと平行になる体位で上方から撮影する、入口面撮影です。入口部の形(骨盤型)や入口横径を評価します。
いずれもCPDが疑われる場合に行いますが、被曝を伴うため、適応を絞って実施されます。
骨盤入口部の形態分類
Caldwell-Moloy分類では、入口部の形を次の4型に分けます。
- 女性型:入口がほぼ円形からやや横長で、分娩に最も適した正常型です。
- 類人猿型:前後径が横径より長い縦長です。矢状縫合を縦径に一致させたまま入口に固定する高在縦定位や、後方後頭位が起こりやすいとされます。
- 男性型:前方が狭いハート形です。
- 扁平型:前後径が短い極端な横長です。
男性型と扁平型も、分娩進行に不利な形です。助産師は内診で、岬角に指が届くか、坐骨棘の突出の程度、仙骨の彎曲などを確かめて骨盤の広さを推測し、分娩経過の予測や医師への報告の判断に役立てます。
選択肢の確認
1.類人猿型は正常な骨盤入口部の形状である。:Caldwell-Moloy分類で正常とされるのは女性型で、入口はほぼ円形からやや横長です。類人猿型は前後径が横径より長い縦長の入口をもち、高在縦定位や後方後頭位の原因となりうるため、正常型には当たりません。「女性型=正常、ほかの3型=分娩に不利な形」と整理しておきましょう。
2.骨盤腔の区分で最も広いのは骨盤濶部である。:正答。濶部は恥骨結合後面の中央と第2・第3仙椎付近を結ぶ面で、前後径・横径ともに大きくほぼ円形です。骨産道の中で最も余裕のある部分です。反対に最も狭いのは坐骨棘が突き出す峡部なので、「広い=濶部、狭い=峡部」と対にして覚えます。
3.解剖学的真結合線は岬角の中央と恥骨結合後面との最短距離である。:岬角中央と恥骨結合後面との最短距離は、産科的真結合線の定義です。解剖学的真結合線は岬角中央と恥骨結合上縁を結ぶ線で、産科的真結合線よりやや長くなります。児頭が通過できるかを決めるのは最短である産科的真結合線で、「解剖学的」と「産科的」の入れ替えは頻出のひっかけです。
4.仙骨の形状のエックス線撮影での評価はMartius〈マルチウス〉法で行う。:仙骨の彎曲の形状は、骨盤を側面から撮影するグースマン法で評価します。マルチウス法は骨盤入口面を上方から撮影する方法で、入口部の形や入口横径を見るためのものです。仙骨の彎曲は正面方向の入口像では評価できません。「側面=グースマン=前後径と仙骨」「入口面=マルチウス=入口の形と横径」と対応させて覚えます。
覚えるポイント
- 骨産道は入口部→濶部→峡部→出口部の順です。最も広いのは濶部(ほぼ円形)、最も狭いのは峡部(坐骨棘間径が最短)です。
- 形は、入口部が横長、濶部がほぼ円形、峡部・出口部が縦長です。児頭はこれに合わせて回旋し、出口部では矢状縫合が前後径に一致します。
- 計測線の定義は次のとおりです。産科的真結合線は岬角と恥骨結合後面の最短距離(分娩で最重要)、解剖学的真結合線は岬角〜恥骨結合上縁、対角結合線は岬角〜恥骨結合下縁(内診で測り、1.5〜2cm引いて推定)、外結合線は第5腰椎棘突起〜恥骨結合上縁(体外計測)です。
- 狭骨盤の基準は、産科的真結合線9.5cm未満、入口横径10.5cm未満、外結合線18cm未満のいずれかです。
- X線骨盤計測では、グースマン法が側面撮影(前後径・仙骨彎曲・児頭との関係)、マルチウス法が入口面撮影(入口の形・入口横径)です。
- Caldwell-Moloy分類では女性型が正常です。類人猿型は縦長(高在縦定位・後方後頭位)、男性型は前方が狭く、扁平型は前後径が短い形です。
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