第106回
106AM004|第106回 助産師国家試験 過去問
レボノルゲストレル放出子宮内システム〈LNG-IUS〉について正しいのはどれか。
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正解4
正答
4.子宮内膜を萎縮させる。
この問題のポイント
レボノルゲストレル放出子宮内システム〈LNG-IUS〉の作用機序と特徴を、銅付加型IUDと比べて理解しているかを問う問題です。鍵は、子宮腔内で放出される黄体ホルモン(プロゲスチン)が子宮内膜に直接作用するという点です。ここから、内膜の萎縮、月経量の減少、高い避妊効果、性感染症は予防できないこと、という特徴を順に導けます。
解説
LNG-IUSとはどのようなものか
LNG-IUSは、T字型のフレームの縦軸に黄体ホルモンのレボノルゲストレルを含む薬剤貯留部をもつ子宮内避妊法です。子宮腔内に留置すると、1日約20μgの微量のレボノルゲストレルを持続的に放出します。作用は主に子宮局所で起こり、血中濃度は経口の黄体ホルモン製剤より低く抑えられます。わが国の製品(ミレーナ)は1回の挿入で最長5年間留置できます。ホルモンを含まない、または銅を付加した器具を「IUD(子宮内避妊器具)」、ホルモンを放出するものを「IUS(子宮内システム)」と呼び分けます。
作用機序
- 子宮内膜の萎縮:黄体ホルモンが内膜の増殖を抑え、内膜は薄く萎縮した状態になります。受精卵が着床しにくくなります。
- 頸管粘液の粘稠化:頸管粘液が粘り気の強い状態になり、精子が子宮内へ進みにくくなります。
- 精子の運動・受精の阻害:子宮内環境の変化によって、精子の運動と受精が妨げられます。
排卵は多くの周期で保たれる点も押さえておきます。LNG-IUSは排卵抑制を主な機序とする経口避妊薬とは異なり、局所作用による避妊法です。
避妊効果
LNG-IUSは、使用者の飲み忘れなどが入り込まない長期作用型の可逆的避妊法です。現在ある避妊法の中で最も効果が高いものの一つで、1年間の妊娠率は0.2%程度とされます。銅付加型IUDも1%未満と非常に高い効果をもちますが、LNG-IUSはそれよりさらに低い妊娠率です。
月経への影響と治療への応用
内膜が薄くなるため、月経血量は大きく減ります。挿入後の数か月は少量の不正出血や点状出血が続くことがありますが、多くは次第に軽くなります。その後は過少月経になり、無月経になる人もいます。この作用を利用して、LNG-IUSは過多月経や月経困難症の治療にも用いられ、わが国では保険適用があります。子宮腺筋症などの器質的疾患に伴う症状の管理にも使われます。
これに対して銅付加型IUDでは、銅イオンによる内膜の炎症反応が避妊作用の中心です。このため過多月経や月経痛の増強が代表的な副作用になります。「月経が増えるのは銅付加型、減るのはLNG-IUS」と対比して覚えると混乱しません。
性感染症と骨盤内感染症
子宮内に器具を置く方法には、性感染症を防ぐ効果はありません。また挿入操作の直後は、骨盤内感染症(PID)のリスクがやや高まります。このため、活動性の骨盤内感染症や性感染症がある人は挿入の禁忌です。性感染症の予防が必要な場合は、コンドームの併用(二重防御)を指導します。
その他の副作用・禁忌
- 主な副作用:機能性卵巣嚢胞(多くは自然消失します)、挿入時の疼痛、自然脱出、まれに子宮穿孔があります。
- 主な禁忌:妊娠またはその疑い、黄体ホルモン感受性の悪性腫瘍(乳がんなど)、子宮の形態異常です。
実践での活用
エストロゲンを含まないため、授乳への影響が少なく、エストロゲン製剤を使えない人にも選択肢になります。助産師は産後の家族計画指導でLNG-IUSを紹介する場面があります。その際は、挿入は子宮復古を待ってから行うこと、自己での糸の確認と定期検診が必要なこと、性感染症は防げないことを併せて伝えます。
選択肢の確認
1.避妊効果は銅付加型子宮内避妊器具〈IUD〉より低い。:関係が逆になっています。LNG-IUSは内膜萎縮と頸管粘液の粘稠化を組み合わせて避妊するため、1年間の妊娠率は0.2%程度です。銅付加型IUDよりさらに低く、避妊効果はLNG-IUSのほうが高いとされます。どちらも1%未満の高い効果をもつため、「子宮内避妊法の効果は高い」という点では共通しています。
2.副作用(有害事象)に過多月経がある。:LNG-IUSでは内膜が薄くなって月経血量が減るため、過多月経は副作用ではなく治療の対象です。挿入初期の不正出血はありますが、これは量の少ない出血です。過多月経や月経痛の増強が副作用となるのは銅付加型IUDであり、この2つを取り違えないことが大切です。
3.性感染症を防ぐ効果がある。:LNG-IUSは子宮内に留置する器具であり、腟や子宮頸部で病原体の侵入を防ぐ働きはありません。性感染症の予防効果はないため、必要な場合はコンドームの併用を指導します。挿入直後には骨盤内感染症のリスクがやや高まることにも注意が必要です。
4.子宮内膜を萎縮させる。:正答。子宮腔内に放出されたレボノルゲストレルが内膜に直接作用して増殖を抑え、内膜を萎縮させます。これにより着床が起こりにくくなり、月経血量も減ります。この作用が避妊効果と、過多月経・月経困難症の治療効果の両方の基礎になっています。
覚えるポイント
- LNG-IUSは、黄体ホルモンの局所作用で内膜萎縮と頸管粘液の粘稠化を起こして避妊します。排卵は多くの周期で保たれます。
- 避妊効果はLNG-IUSが銅付加型IUDより高いです(1年間の妊娠率はLNG-IUSで0.2%程度)。
- 月経量はLNG-IUSで減り(過少月経・無月経)、銅付加型IUDで増えます(過多月経・月経痛の増強)。
- LNG-IUSは過多月経・月経困難症の治療にも使われ、わが国では保険適用があります。挿入初期は不正出血が起こりやすいことも覚えておきます。
- 子宮内避妊法はいずれも性感染症を防げません。挿入直後はPIDに注意し、コンドームを併用します。
- エストロゲンを含まないため授乳中でも使いやすい方法です。一方、乳がんなど黄体ホルモン感受性の悪性腫瘍には使えません。
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