第106回

106PM022|第106回 助産師国家試験 過去問

中胚葉から分化する器官・臓器はどれか。

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正解3

正答

3.子宮

この問題のポイント

受精後3週ごろにできる三胚葉(外胚葉・中胚葉・内胚葉)が、それぞれどの器官に分化するかを問う問題です。判断の鍵は、子宮はミュラー管(中腎傍管)から生じる中胚葉由来の器官であることです。あわせて、気管上皮・肝臓・膀胱は原始腸管や総排泄腔に由来する内胚葉、乳腺は皮膚の付属器なので外胚葉、という分類を押さえます。

解説

三胚葉の形成

受精後2週の胚は、胚盤葉上層と胚盤葉下層の2層からなる二層性胚盤です。3週に入ると原始線条が現れ、胚盤葉上層の細胞が内側へ入り込む原腸形成が起こります。これにより外胚葉・中胚葉・内胚葉の三胚葉がそろい、以後はこれらを材料に器官がつくられます。器官が形づくられる時期を器官形成期といいます。なかでも妊娠4週から7週末ごろは、催奇形因子の影響を最も受けやすい絶対過敏期です。妊娠初期の服薬相談や感染予防の指導で、この時期の重要性が生きてきます。

各胚葉から分化する主なもの

  • 外胚葉:表皮、毛、爪、汗腺・皮脂腺・乳腺などの皮膚付属器、中枢神経・末梢神経、水晶体、内耳、歯のエナメル質、下垂体前葉、副腎髄質(神経堤由来)
  • 中胚葉:骨・軟骨、骨格筋・平滑筋・心筋、真皮、心臓・血管・血液、脾臓、腎臓・尿管、性腺、生殖管(卵管・子宮・腟上部、精管など)、副腎皮質、胸膜・腹膜などの漿膜
  • 内胚葉:消化管の上皮、肝臓・胆嚢・膵臓、喉頭・気管・気管支・肺の上皮、甲状腺・副甲状腺、胸腺上皮、膀胱・尿道の上皮、鼓室・耳管の上皮

大まかにいうと、内胚葉は「原始腸管とその枝分かれの内張り」、外胚葉は「体の表面と神経」、中胚葉は「その間を埋める支持・運動・循環・泌尿生殖器」です。

子宮の発生

胎生期には男女とも、中腎管(ウォルフ管)と中腎傍管(ミュラー管)という2対の生殖管がつくられます。ミュラー管は、中胚葉からなる尿生殖堤の表面を覆う体腔上皮が落ち込んでできる管です。

男性では、精巣のセルトリ細胞が分泌する抗ミュラー管ホルモン(AMH)によってミュラー管が退縮します。一方、ライディッヒ細胞のテストステロンによって、ウォルフ管が精巣上体・精管・精嚢へ分化します。女性ではAMHもテストステロンもないため、ウォルフ管が退縮してミュラー管が残ります。左右のミュラー管のうち、頭側の癒合しない部分が卵管になります。尾側で正中癒合した部分は子宮と腟上部になります。腟の下部は尿生殖洞(内胚葉)に由来すると説明されます。

臨床では、ミュラー管の癒合不全や中隔の吸収不全によって、重複子宮・双角子宮・中隔子宮などの子宮奇形が生じます。これらは不妊、流早産、胎位異常の背景になりえます。ミュラー管が形成されないロキタンスキー症候群では、子宮と腟が欠損または低形成になります。ただし卵巣は別の原基である性腺堤から生じるため、卵巣機能と二次性徴は保たれます。また、生殖管と腎・尿路は近接して発生するため、子宮奇形では腎・尿路の奇形を合併することがあります。

器官を胚葉で分類するときの考え方

実際の臓器は、複数の胚葉由来の組織が組み合わさってできています。たとえば気管の軟骨、膀胱の平滑筋、肝臓の結合組織や血管は中胚葉由来です。試験では、その器官の機能の中心となる上皮・実質がどの胚葉から来るかで分類します。選択肢1がわざわざ「上皮」と指定しているのも、この考え方によるものです。

以上から、中胚葉由来の器官は選択肢3です。選択肢1・2・5は内胚葉、選択肢4は外胚葉に分類されます。

選択肢の確認

1.気管上皮:前腸の腹側壁から突出する呼吸憩室(喉頭気管憩室)が伸びて、喉頭・気管・気管支・肺胞の上皮になるため、内胚葉由来です。気管壁の軟骨や平滑筋は周囲の中胚葉からできますが、設問は上皮を指定しているので内胚葉と判断します。呼吸器を「原始腸管から枝分かれした管」と捉えると、消化管上皮と同じ内胚葉だと整理しやすくなります。

2.肝臓:前腸の末端から出る肝憩室が横中隔(中胚葉)の中へ伸びて肝細胞索と胆管上皮をつくるため、実質は内胚葉由来です。類洞の血管や結合組織、胎生期の造血細胞は中胚葉由来ですが、器官としては内胚葉に分類されます。同じく前腸から芽を出す胆嚢・膵臓も内胚葉です。

3.子宮:正答。左右の中腎傍管(ミュラー管)が尾側で正中癒合してできる器官で、ミュラー管は尿生殖堤の体腔上皮(中胚葉)から生じます。筋層や内膜の間質も周囲の中胚葉から形成されます。女性ではAMHが分泌されないため、ミュラー管が退縮せずに残ってこの器官になります。

4.乳腺:胎生期に腋窩から鼠径部へ走る表皮の肥厚(ミルクライン)から、表皮が真皮内へ落ち込んで乳管や腺房ができるため、外胚葉由来です。汗腺が変化した皮膚付属器と位置づけられ、ミルクラインの一部が退縮せずに残ると副乳になります。周囲の脂肪や結合組織は中胚葉ですが、器官の分類は外胚葉です。

5.膀胱:総排泄腔が尿直腸中隔で前後に分けられてできる尿生殖洞の上部から生じ、上皮(移行上皮)は内胚葉由来です。壁の平滑筋は中胚葉ですが、器官としては内胚葉に分類されます。同じ尿路でも腎臓と尿管は中胚葉由来なので、「腎臓・尿管は中胚葉、下部尿路は内胚葉」と区別して覚えます。

覚えるポイント

  • 外胚葉:表皮・毛・爪・汗腺・乳腺、神経系、水晶体・内耳、歯のエナメル質、下垂体前葉、副腎髄質
  • 中胚葉:骨・軟骨・筋、真皮、心臓・血管・血液、脾臓、腎臓・尿管、性腺、卵管・子宮・腟上部、副腎皮質、漿膜
  • 内胚葉:消化管・呼吸器の上皮、肝臓・胆嚢・膵臓、甲状腺・副甲状腺・胸腺上皮、膀胱・尿道の上皮
  • 女性の卵管・子宮・腟上部はミュラー管、男性の精巣上体・精管・精嚢はウォルフ管から分化します。AMHがあればミュラー管は退縮し、なければ残ります。
  • 混同しやすい組は、腎臓・尿管(中)と膀胱(内)、副腎皮質(中)と副腎髄質(外)、甲状腺(内)と下垂体前葉(外)です。
  • 器官の胚葉分類は、機能の中心となる上皮・実質の由来で判断します。

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