59PM004|第59回 作業療法士国家試験 過去問
55 歳の女性。趣味のガーデニングで手根管症候群となり正中神経低位麻痺を呈 した。 この患者のスプリント製作で最も適切なのはどれか。
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正解: 3
正答
3.母指を示指と対立位に保持する
この問題のポイント
正中神経低位麻痺では、母指対立筋の機能障害が主な問題となる。スプリントの目的は、麻痺によって失われた「つまみ動作」を補助し、日常生活における把持・操作機能を維持・支援すること。そのため、対立位を維持する「対立スプリント(オポネンススプリント)」が適切である。
解説
55歳の女性がガーデニングで手根管症候群を発症し、正中神経低位麻痺を呈している。この状態では、母指球筋(短母指外転筋、短母指屈筋浅頭、母指対立筋)が麻痺し、母指の対立動作が困難となる。スプリントは、この対立動作の補助を目的として、母指を示指と対立した位置で保持することで、つまみや把持動作を可能にすることが期待される。特に、日常生活のADL(日常生活動作)においては、スプリントによる安定した対立姿勢が重要である。
スプリントの設計においては、関節の過度な制限を避け、機能的補助を重視する必要がある。母指を指腹まで覆う(1)や、手背部で中手骨頭部を圧迫(2)は、感覚の阻害や組織損傷のリスクがあるため不適切。近位端を前腕近位2/3に設ける(4)と、前腕の回内・回外運動が制限され、不適切。遠位端をⅡ~Ⅴ指のMP関節に覆う(5)は、正中神経低位麻痺ではⅣ・Ⅴ指の過伸展が少ないため、必要がない。
選択肢の確認
1.母指は指腹まで覆う。:指腹を覆すとつまみ動作が阻害される。感覚フィードバックが損なわれるため不適切。
2.手背部で中手骨頭部を圧迫する。:中手骨頭部を圧迫すると組織損傷リスクが高まり、スプリント目的に反する。
3.母指を示指と対立位に保持する。:母指対立筋の機能補助を目的とした対立スプリントの基本的設計。適切。
4.近位端は前腕近位2 / 3 の位置とする。:標準は前腕遠位1/3程度。近位2/3は回内・回外運動を制限する。
5.遠位端はⅡ~Ⅴ指のMP 関節の掌側部を覆う。:Ⅳ・Ⅴ指の過伸展は尺骨神経麻痺に見られるため、正中神経低位麻痺では必要ない。
覚えるポイント
「正中神経低位麻痺=母指対立不能=対立スプリント」を頭に入れる。スプリントは「機能補助」であり、感覚や運動の制限を避け、対立位を維持することが鍵。