59PM016第59回 作業療法士国家試験 過去問

60 歳の女性。専業主婦。Alzheimer 型認知症。1 年前から最近の出来事を徐々 に思い出せなくなり、家に引きこもりがちになった。趣味をする気力がなくなり近 所づきあいも減った。「物が盗まれた」などの被害的な言動が増加したため、心配し た夫に伴われて精神科を受診した。服薬治療を開始し、重度認知症患者デイケアを 利用することとなった。 この患者の特徴で適切なのはどれか。

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正解: 5

正答

5.外出時に帰ることができなくなる

この問題のポイント

Alzheimer型認知症(ATD)の進行段階で特に顕在化する「空間判断障害」と「近時記憶障害」が、外出行動に直接影響を及ぼす。特に「迷子」としての外出後の帰還困難は、ATDの典型的な臨床的特徴である。

解説

本症例は、60歳の女性でAlzheimer型認知症(ATD)を有しており、最近の出来事を思い出せない(近時記憶障害)、引きこもり、被害的言動(「物が盗まれた」という被害妄想)が認められている。これらの症状は、ATDの進行に伴う認知機能の徐々な低下と、空間的判断能力の低下によるものである。

特に、ATDでは「空間見当識障害」が強く現れ、外出した際に周囲の環境を認識できず、帰宅できない「迷子」(徘徊)が起こりやすい。これは、認知症患者が自宅の周囲を認識できず、道に迷い、長時間外出し、帰宅できない状態を指す。この行動は、ATDの特徴的な症状であり、作業療法においては外出リスクの評価と、安全な環境設計(例:帰宅ルートの明確化、外出支援体制)が重要となる。

一方、他の選択肢については、病態の特徴と整合しない。

  • 認知機能が変動する → Lewy小体型認知症(DLB)の特徴。
  • いつも同じ席に座りたがる → 前頭側頭型認知症(FTD)の特徴。
  • 具体的な幻視について話す → DLBの特徴。
  • 睡眠時に大きな声で寝言を言う → REM睡眠行動障害(DLBやパーキンソン病)の特徴。

選択肢の確認

1.認知機能が変動する。:誤り。ATDでは変動が緩やか。
2.いつも同じ席に座りたがる。:誤り。FTDの特徴。
3.具体的な幻視について話す。:誤り。DLBの特徴。
4.睡眠時に大きな声で寝言を言う。:誤り。REM行動障害の特徴。
5.外出時に帰ることができなくなる。:正しい。ATDの典型的な症状。

覚えるポイント

「Alzheimer型認知症 → 近時記憶障害 + 被害妄想 + 外出時の帰還困難(迷子)」がキーワード。作業療法では、外出行動のリスク評価と、安全な環境・支援体制の整備が介入の中心となる。

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