61PM019|第61回 作業療法士国家試験 過去問
80 歳の女性。2 年前から物忘れが目立つようになった。徐々に睡眠中に大きな 声を出したり、手足をばたつかせたりすることが多くなった。最近になって動作が 緩慢になっている。1 か月前から「知らない人が家の中にいる」と言うようになり、 家族に連れられて精神科を受診した。 この女性と家族への指導で適切なのはどれか。
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正解: 3
正答
3.立ち上がり時のふらつきに注意する
この問題のポイント
80歳の女性が示す症状(物忘れ、睡眠中の声を出したり手足をばたつかせたり、動作の緩慢、幻視)は、**レビー小体型認知症(DLB)**の典型的な特徴と一致しています。特に、パーキンソニズムによる動作の緩慢や固縮、REM睡眠行動障害による睡眠中の異常行動、幻視、認知機能の変動が4つの主要な診断基準に該当します。この中で、立ち上がり時のふらつきは、起立性低血圧による転倒リスクの上昇と密接に関連しており、患者や家族への生活指導において最も重要な対応です。
解説
この患者は、レビー小体型認知症(DLB)と診断される可能性が高いです。DLBでは、自律神経機能の障害が強く現れ、特に立ち上がり時の血圧低下(起立性低血圧)により、ふらつきや転倒のリスクが高まります。そのため、患者が立ち上がった際の注意を家族に伝えることは、安全を確保する上で最も即効性のある指導です。例えば、ゆっくり立ち上がる、座った状態から立ち上がる際は手を床に押さえるなど、日常生活の行動を工夫することで転倒を防ぐことができます。
選択肢の確認
1.運動を控えるように説明する。:誤り。適度な運動は認知症の進行を遅らせる効果があるため、運動を控えるべきではありません。
2.やったことがない趣味に取り組む。:誤り。新しい趣味の習得は困難で、既存の興味を活かした活動が適切です。
3.立ち上がり時のふらつきに注意する。:正しい。DLBでは起立性低血圧が強く現れ、転倒リスクが高いため、注意が必要です。
4.日付や時刻を気にしないようにする。:誤り。日付や時刻への意識(リアリティオリエンテーション)は、認知症ケアの基本です。
5.知らない人が誰なのか何度も話し合う。:誤り。幻視に対する繰り返しの否定は患者の不安を増加させ、対応としては不適切です。
覚えるポイント
「立ち上がり時のふらつきに注意する」は、DLBの自律神経障害による転倒リスクを減らすための最も実践的で安全な指導です。患者の生活環境を整え、家族がその行動を理解・サポートできるようにすることが、作業療法士が提供できる重要な生活支援です。