60AM003第60回 作業療法士国家試験 過去問

59 歳の男性。右利き。脳梗塞による左片麻痺。発症21 日目のBrunnstrom 法ス テージは上肢Ⅳ、手指Ⅲ、下肢Ⅲ。表在感覚は上肢手指下肢共に鈍麻。椅子座位で 机上の布を用いたワイピングの上肢機能的訓練を図のように行った。 訓練の目的はどれか。2 つ選べ。

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正解: 3・5

正答

3.肘の分離運動の改善 ・ 5.肩甲帯の前方突出運動の改善

この問題のポイント

発症21日目のBrunnstromステージ(上肢Ⅳ、手指Ⅲ)では、運動の「分離」と「分離運動の促進」が鍵となる。特に、上肢Ⅳ段階では肘関節の伸展(分離運動)肩甲帯の前方突出が、機能回復のための重要な課題となる。この訓練は、近位部(肩・肘)の運動制御を重視しており、手指の動きではなく、上肢の遠位部(前腕・手首)を介した運動を目的とする。

解説

患者は右利きで左片麻痺、発症21日目。Brunnstrom上肢Ⅳ段階では、肘関節の分離運動(屈曲位からの伸展)が出現し、肩甲帯の前方突出(前鋸筋活動)が可能となる。図示された訓練は、椅子座位で麻痺側上肢の手掌を布の上に置き、前方(斜め遠位方向)へワイピングを行うもの。この動きでは、肘を伸展しながら前腕を前方に滑らせるため、肘の分離運動が促進される。また、前方へリーチする動きは、肩甲骨を前方に突出させる(肩甲帯前方突出)運動を要求し、この訓練はBrunnstromⅣ段階で重要な肩関節の分離訓練として位置づけられる。

選択肢の確認

1.握力の改善:錯誤。手指Ⅲ段階ではまとめ握りが可能だが、布を「握る」のではなく「滑らせる」ため、握力訓練ではない。
2.手指の巧緻性の改善:錯誤。手指Ⅲでは手指の個別運動が未成熟で、ワイピングは手指を能動的に使う課題ではない。
3.肘の分離運動の改善:正しい。前方方向のワイピングで肘の伸展(分離)が促進される。
4.手背の表在感覚の改善:錯誤。訓練は手掌面を布に接触させるため、手背の感覚刺激には寄与しない。
5.肩甲帯の前方突出運動の改善:正しい。前方リーチ動作により、前鋸筋活動が促進され、肩甲帯の分離運動が訓練される。

覚えるポイント

前方リーチ=肘を伸ばし、肩を前に出す」。この2つの運動が、発症21日目以降の上肢回復の「最初の分離」を表す。

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