110Q299|第110回 薬剤師国家試験 過去問
35 歳男性。肘や膝に黄色っぽい隆起が見られるようになったため、心配に なり医療機関を受診したところ、精査目的にて入院となった。身体所見及び検査値 と家族歴は、以下のとおりであった。 (身体所見及び検査値) 身長168 cm、体重76 kg、血圧118/76 mmHg、LDL︲C 262 mg/dL、 HDL︲C 62 mg/dL、TG(トリグリセリド)145 mg/dL、 空腹時血糖113 mg/dL、HbA1c 5.9%、AST 102 IU/L、ALT 22 IU/L、 CK(クレアチンキナーゼ)4,215 IU/L (家族歴) 父親が50 歳で心筋梗塞を発症 また問診の結果、3 ケ月前に他の医療機関でLDL コレステロール高値を指摘さ れロスバスタチンにて治療を行っていたが、1 ケ月前から筋肉痛や脱力感を自覚す るようになったため、最近1 週間は自己判断で服用を中止していることが分かっ た。今回の診察で、肘や膝の皮膚の隆起は皮膚結節性黄色腫であることが判明し、 アキレス腱にも著明な肥厚が見られた(X 線撮影により肥厚は9.0 mm)。 検査所見と診察の結果から判断してロスバスタチンを変更することになった。変 更後の治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
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正解: 2・4
正答
2・4
この問題のポイント
ロスバスタチン投与中の筋痛・脱力とCK 4,215 IU/Lから重いスタチン関連筋障害を疑います。LDL-Cを下げる必要性は高いため、作用機序の異なる非スタチン薬を選びます。
解説
家族性高コレステロール血症が疑われる本例ではLDL-C低下を中断したままにできませんが、同じHMG-CoA還元酵素阻害薬へ直ちに変更するのは、筋障害が十分評価・回復していない段階では適切ではありません。エゼチミブは小腸のNPC1L1を阻害してコレステロール吸収を抑え、エボロクマブはPCSK9を阻害して肝細胞表面のLDL受容体再利用を促進するため、いずれもLDL-Cを低下させます。ペマフィブラートとイコサペント酸エチルは主に高トリグリセリド血症を対象とし、TG 145 mg/dLの本例で著明なLDL-C高値への中心薬にはなりません。
選択肢の確認
1.ピタバスタチン:同じスタチン系であり、高度CK上昇を伴う筋症状の直後に選ぶ薬ではありません。
2.エゼチミブ:正答。小腸からのコレステロール吸収を抑え、スタチンによらずLDL-Cを下げます。
3.ペマフィブラート:主な治療対象は高トリグリセリド血症で、本例の脂質像に合いません。
4.エボロクマブ:正答。PCSK9阻害によりLDL受容体を増やし、LDL-Cを強力に低下させます。
5.イコサペント酸エチル:主にTG低下を目的とし、著明なLDL-C高値の代替治療には不十分です。
覚えるポイント
スタチン不耐容でもLDL-C管理は必要です。筋障害を評価したうえで、エゼチミブやPCSK9阻害薬を組み合わせます。