110Q304|第110回 薬剤師国家試験 過去問
58 歳女性。乳がんによる骨転移性疼痛に対して、デノスマブ皮下注とモル ヒネ硫酸塩水和物徐放錠にて治療中であった。腰痛の悪化により、モルヒネ硫酸塩 水和物徐放錠が増量された。FDG︲PET (注)を行ったところ、腰椎に集積像が確認 された。増量後は、疼痛コントロールは良好であったが、日常生活に支障をきたす ほどの眠気が増強してきたため来院し、患者希望により緩和ケアチームが関与する ことになった。来院時の検査値は以下のとおりである。 (注) FDG︲PET:Fluorodeoxyglucose-Positron emission tomography(フルオロ デオキシグルコース陽電子放出断層撮影) (検査値) AST 15 IU/L、ALT 16 IU/L、BUN 35.0 mg/dL、 血清クレアチニン1.6 mg/dL、eGFR 26.7 mL/min/1.73 m 2 この患者の腰椎病変に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
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正解: 2・3
正答
2・3
この問題のポイント
乳がんの腰椎転移とFDG-PET集積の意味を考えます。骨転移は血行性転移であり、椎体病変では脊髄圧迫を見逃さないことが重要です。
解説
FDGはブドウ糖類似体で、糖代謝の盛んな腫瘍細胞に取り込まれます。腰椎の集積像は、その部位でブドウ糖取り込みが亢進した転移性病変を示唆します。乳房から腰椎へ連続して広がる直接浸潤ではなく、血行性に成立した骨転移です。腰痛が悪化している椎体病変では、病的骨折や硬膜外進展により脊髄圧迫を来している可能性があり、筋力低下、感覚障害、膀胱直腸障害などを緊急に確認します。ビタミンD摂取だけでは転移性疼痛を緩和できず、高用量メトトレキサートも乳がん骨転移の中心治療ではありません。
選択肢の確認
1.病変は、乳がんの直接浸潤により生じたと考えられる。:離れた腰椎への病変は血行性骨転移と考えます。
2.病変部では、ブドウ糖の取り込みが上昇している。:正答。FDG集積は糖取り込み・代謝亢進を反映します。
3.脊髄圧迫が生じている可能性が高い。:正答。腰椎転移と腰痛悪化から緊急評価が必要です。
4.症状の緩和には、ビタミンD の摂取が有効である。:転移性骨痛への直接的な鎮痛治療にはなりません。
5.高用量メトトレキサートを中心とした化学療法が奏功する。:乳がん骨転移に対する標準的な中心治療ではありません。
覚えるポイント
FDG集積は糖代謝亢進を示します。脊椎転移では疼痛だけでなく脊髄圧迫の神経症状を直ちに確認します。