110Q276第110回 薬剤師国家試験 過去問

68 歳女性。15 年前、乳がんにより右乳房の切除術を受けた。再発なく経 過していたが、3 年前に腰痛が出現し、骨転移、胸膜転移及び右胸水を認めたた め、再発と診断された。オピオイドによる疼痛管理が開始され、1 年前からは緩和 医療に移行し、処方1 及び処方2 の薬剤を使用していた。 (処方1 ) フェンタニルクエン酸塩テープ4 mg(1 日用) (注1) 1 回1 枚(1 日1 枚) 1 日1 回 24 時間毎 7 日分 (処方2 ) モルヒネ塩酸塩水和物内用液10 mg 1 回2 包(10 mg/包) 疼痛時内服 10 回分(全20 包) その後、皮膚に対する副作用が強く出現したため、処方1 の薬剤の貼付部位の変 更や保湿を行ったが改善されず、処方1 を処方3 に変更した。 (処方3 ) ヒドロモルフォン塩酸塩徐放錠24 mg (注2) 1 回1 錠(1 日1 錠) 1 日1 回 朝食後 7 日分 注1 製剤の断面図と有効成分の構造式及び物性 ・フェンタニルクエン酸塩テープ(断面図) 膏体(薬物含有層) 支持体 ライナー ・フェンタニルクエン酸塩の化学構造及び性状 分子量:528.59(塩係数:1.57) 構造式: HO CO2H CO2H ・HO2C N CH3 N O 性 状: 白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又は酢 酸(100)に溶けやすく、水又はエタノール(95)にや や溶けにくく、ジエチルエーテルに極めて溶けにくい。 注2 ヒドロモルフォン塩酸塩徐放錠24 mg の組成及び性状 ・有効成分: 1 錠中ヒドロモルフォン塩酸塩27.1 mg(ヒドロモルフォン として24 mg) ・添加物: D︲マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、 ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、 フマル酸ステアリルナトリウム ・剤形:素錠(徐放錠) 処方1 及び処方3 の薬剤に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

110Q276の問題画像
2つ選択
解答・解説を見る

正解: 2・3

正答

2・3

この問題のポイント

画像のテープ断面、塩係数、徐放錠の添加物から、経皮吸収・含量換算・製剤機構を判断します。

解説

画像ではフェンタニルテープが支持体、膏体である薬物含有層、ライナーからなるマトリックス型として示されています。表示4 mgはフェンタニルクエン酸塩量なので、塩係数1.57を用いるとフェンタニル量は4÷1.57≒2.55 mgです。また経皮吸収は皮膚温上昇で増えるため、発熱や外部熱源は過量投与の危険になります。ヒドロモルフォン徐放錠は放出制御に関わる高分子を含むマトリックス型で、薬物を空洞に蓄えたリザーバー型ではありません。

選択肢の確認

1.処方1 の薬剤は、定常状態で薬物を0 次放出する。:マトリックス型であり、製剤からの放出を一律の0次過程とは扱いません。
2.処方1 の薬剤の1 枚当たりの有効成分含量は、フェンタニルに換算して2.55 mg である。:正答。4 mgを塩係数1.57で除した値です。
3.処方1 の薬剤からの有効成分の吸収量は、貼付部位の温度が上昇すると増大す る。:正答。温度上昇で皮膚透過が高まり、過量投与に注意します。
4.処方3 の薬剤は、シングルユニット型のリザーバー型製剤である。:徐放性マトリックスを形成する添加物を含むため、リザーバー型ではありません。
5.処方3 の薬剤は、初回分を処方1 の薬剤の剥離直後に服用する。:剥離後も皮膚からフェンタニルが吸収されるため、直後の開始では重複作用のおそれがあります。

覚えるポイント

塩の表示量から遊離塩基量へは塩係数で除します。経皮製剤では発熱・加温と剥離後の残存吸収も確認します。

110Q275110Q277
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)