111Q233|第111回 薬剤師国家試験 過去問
66 歳女性。12 月下旬、忘年会で海産物を食べた後、嘔吐と下痢で内科を 受診し、ノロウイルス感染症と診断された。この女性は、医療機関で点滴を受けた 後、処方箋を薬局に持参した。 トイレを借りたいと申し出があり、薬局スタッフが案内する途中で嘔吐した。そ の後、トイレの便器でも嘔吐したため、薬局スタッフが吐瀉物の処理を行うことに なった。 その後、軽快したこの女性が感謝の気持ちを伝えたいと再び来局したときに、食 中毒の種類や相違について質問した。薬剤師が説明した内容として、適切なのはど れか。2つ選べ。
解答・解説を見る
正解: 1・5
正答
1・5
この問題のポイント
食中毒対策は、病原体・毒素・寄生虫ごとに、加熱で無効化できるか、冷凍で死滅するかを判断します。
解説
ノロウイルスはカキなどの二枚貝を介して感染することがあり、中心部を85℃で5分加熱する条件なら十分な加熱になります。嘔吐型セレウス菌が食品中で作るセレウリドは耐熱性で、室温放置後に再加熱しても安全には戻せません。ウェルシュ菌では芽胞が加熱後も残り、大量調理品の緩慢な冷却中に増殖し得るため、室温放置を避け、速やかな冷却と十分な再加熱が必要です。45℃は菌が増殖し得る温度で殺菌条件ではありません。カンピロバクターは冷凍だけでは確実に排除できず、食肉の中心まで加熱します。アニサキス幼虫は-20℃で24時間以上の冷凍により死滅するので48時間は有効です。
選択肢の確認
1.ノロウイルス食中毒は、生のカキ(牡蠣)などの喫食で発生することがある が、食前加熱(85℃、5 分間)することで防ぐことができる。:正答。十分な加熱条件です。
2.嘔吐型セレウス菌食中毒は、チャーハンなどの喫食で発生することがあるが、 調理後室温で長時間放置しても再び加熱(85℃、5 分間)することで防ぐことが できる。:誤り。産生済みの嘔吐毒は耐熱性です。
3.ウェルシュ菌食中毒は、カレーなどの喫食で発生することがあるが、調理後室 温で長時間放置しても再び加温(45℃、5 分間)することで防ぐことができる。:誤り。45℃は殺菌条件になりません。
4.カンピロバクター食中毒は、生肉などの喫食で発生することがあるが、食品を 冷凍(-20℃、48 時間)することで防ぐことができる。:誤り。冷凍での確実な死滅は期待できず加熱が必要です。
5.アニサキスによる食中毒は、鮮魚などの喫食で発生することがあるが、食品を 冷凍(-20℃、48 時間)することで防ぐことができる。:正答。必要な冷凍条件を満たします。
覚えるポイント
セレウリドは耐熱性、ウェルシュ菌は緩慢冷却を避ける、カンピロバクターは加熱、アニサキスは-20℃で24時間以上冷凍です。