第108回
108AM001|第108回 保健師国家試験 過去問
平成25年(2013年)に改正された「地域における保健師の保健活動に関する指針」 に示された市町村に所属する保健師の活動はどれか。
解答・解説を見る
正解2
正答
2.防災計画の策定への参画
この問題のポイント
平成25年(2013年)の「地域における保健師の保健活動に関する指針」は、保健師の活動を所属組織ごとに示しています。この問題は、その所属別の役割を区別できるかを問うものです。判断の鍵は「市町村に所属する」という条件です。住民に最も身近な基礎自治体である市町村と、広域的・専門的・技術的拠点である都道府県保健所等との役割分担を思い出せば、正答を選べます。選択肢1・3・4は、いずれも都道府県保健所等の保健師の活動として示されている内容です。
解説
指針の位置づけ
この指針は、厚生労働省健康局長通知「地域における保健師の保健活動について」(平成25年)の別紙として示されたものです。改正の背景には次のような事情がありました。
- 地域保健対策の推進に関する基本的な指針の改正
- 東日本大震災を経て、災害時の保健活動の重要性が再認識されたこと
- 生活習慣病、自殺、虐待などへの対応を含めた健康課題の複雑化
- 保健師がさまざまな部署に分散して配置されるようになったこと
通知本文では、保健活動を組織横断的に総合調整し、技術的・専門的な面から指導する役割を担う保健師(いわゆる統括保健師)を位置づけるよう努めることも示されました。
指針は大きく2つの部分からなります。前半は、所属にかかわらず共通する「保健活動の基本的な方向性」で、次の10項目です。
- 地域診断に基づくPDCAサイクルの実施
- 個別課題から地域課題への視点及び活動の展開
- 予防的介入の重視
- 地区活動に立脚した活動の強化
- 地区担当制の推進
- 地域特性に応じた健康なまちづくりの推進
- 部署横断的な保健活動の連携及び協働
- 地域のケアシステムの構築
- 各種保健医療福祉計画の策定及び実施
- 人材育成
後半は「活動領域に応じた保健活動の推進」で、都道府県保健所等、市町村、保健所設置市・特別区などの所属ごとに具体的な活動が示されています。
所属による役割の違い
都道府県保健所等の保健師は、管内の市町村や医療機関等の協力を得て、広域的に健康課題を把握します。主な活動は次のとおりです。
- 精神保健福祉、難病、結核・感染症、エイズ、肝炎などの対策で、広域的・専門的な保健サービスを提供する
- 災害を含めた健康危機に迅速かつ的確に対応できる体制をつくる
- 医療施設等への指導、生活衛生・食品衛生の監視指導を行う
- 市町村に対して技術的な助言・支援・連絡調整を行う
市町村の保健師は、住民の身近な健康問題に取り組む基礎的な役割を担います。主な活動は次のとおりです。
- 健康増進、母子保健、高齢者の保健福祉、精神保健福祉、障害福祉などの保健サービスを企画・立案・提供し、評価する
- 地区担当制のもとで、住民の生活に密着した活動を行う
- 保健医療福祉の計画に加えて、防災計画など住民の暮らし全体にかかわる計画の策定に参画する
なぜ市町村保健師が防災計画に関わるのか
災害対策基本法では、市町村防災会議が市町村地域防災計画を作成します。避難所の運営や被災住民の健康管理、要配慮者の支援など、災害時に住民と直接向き合うのは主に市町村です。
市町村保健師は、日頃の地区活動、乳幼児健診、介護予防、訪問などを通して、高齢者、障害者、乳幼児、妊産婦、難病患者、在宅で医療機器を使う人などの生活状況を把握しています。この平時の情報と視点を計画に反映させておくことで、発災時に支援が必要な人を取りこぼさずに済みます。2013年の災害対策基本法改正では、市町村に避難行動要支援者名簿の作成が義務づけられており、保健師の把握している情報が生きる場面でもあります。
なお、市町村保健師も発災時には避難所等で住民の健康管理に当たります。健康危機と無関係という意味ではなく、指針が「体制づくり」を保健所側の役割として整理しているという点が、この問題の区別の要点です。
選択肢の確認
1.医療施設等に対する指導:医療法に基づく病院・診療所等への立入検査や指導は、保健所を設置する自治体の業務です。指針でも都道府県保健所等の保健師の活動として示されており、市町村保健師の項目ではありません。保健所設置市・特別区の保健所に所属する保健師であれば担うことがあるため、「保健所の機能かどうか」で判断すると取り違えを防げます。
2.防災計画の策定への参画:正答。市町村保健師は、住民の生活に密着した立場から、防災計画を含む各種計画の策定に参画することが指針に示されています。要配慮者の把握や避難所での健康管理を見据えて、平時から防災部門と連携することが求められます。
3.健康危機管理の体制づくり:災害や感染症、食中毒などの健康危機に迅速かつ的確に対応できる体制を整えることは、都道府県保健所等の保健師の活動として示されています。保健所は地域における健康危機管理の拠点と位置づけられています。市町村も災害時の健康管理には関わりますが、「体制づくり」を市町村の役割と覚えると誤ります。
4.広域的、専門的な保健サービスの提供:精神保健福祉、難病、結核・感染症など、専門性が高く対象が複数市町村にまたがるサービスは、都道府県保健所等の役割です。市町村は、母子健康手帳の交付や乳幼児健診、健康相談など、身近で頻度の高いサービスを担います。「広域的」「専門的」は保健所を示すキーワードとして押さえておきましょう。
覚えるポイント
- 「地域における保健師の保健活動に関する指針」は平成25年(2013年)の健康局長通知の別紙で、所属別に保健師の活動を示しています。統括保健師の配置もこの通知で示されました。
- 市町村保健師は、身近な対人保健サービスの企画・提供・評価、地区担当制、防災計画を含む各種計画の策定への参画を担います。
- 都道府県保健所等の保健師は、広域的・専門的サービス、健康危機管理の体制づくり、医療施設等への指導、生活衛生・食品衛生の監視指導、市町村への技術的助言・支援・連絡調整を担います。
- 基本的な方向性の10項目のキーワード(PDCA、個別から地域へ、予防的介入、地区活動、地区担当制、まちづくり、部署横断、ケアシステム、計画、人材育成)は、選択肢にそのまま出やすい語句です。
- 災害関連では、市町村地域防災計画は市町村防災会議が作成し、2013年の災害対策基本法改正で避難行動要支援者名簿の作成が市町村に義務づけられました。
- 保健所設置市・特別区は、市町村と保健所の両方の機能を持つため、両方の活動を担います。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する(medixmatch2025@gmail.com)までお知らせください。確認して修正します。
解いた記録を残して、苦手な問題をもう一度。
学習アプリなら、この問題の解答記録・メモ・暗記カード化を使えます。