第108回
108AM002|第108回 保健師国家試験 過去問
平成30年度(2018年度)の保健師活動領域調査で正しいのはどれか。
解答・解説を見る
正解1
正答
1.保健師の就業場所で最も多いのは市町村である。
この問題のポイント
厚生労働省の保健師活動領域調査の結果から、地方自治体の保健師がどこに所属しているか(領域調査)と、何に時間を使っているか(活動調査)の構図を問う問題です。常勤保健師のおよそ半数が市町村に所属すること、保健所設置市の保健師は4分の1程度であることを押さえます。あわせて、活動時間は市町村では「保健福祉事業」が、都道府県保健所では「業務連絡・事務」が最も大きいことを覚えていれば判断できます。
解説
保健師活動領域調査の構成
保健師活動領域調査は厚生労働省が実施する調査で、次の2つの部分からなります。
- 領域調査:毎年実施され、全国の都道府県・保健所設置市・特別区・市町村に所属する保健師の人数を、所属(本庁・保健所など)や部署ごとに把握します。
- 活動調査:保健師1人当たりの活動時間を、活動項目別・活動分野別に把握します。
対象は地方自治体に所属する保健師で、病院や事業所などで働く保健師は含まれません。全就業保健師の就業場所は衛生行政報告例(就業医療関係者)で把握します。こちらでみても市町村が最多である点は変わりません。
設置主体ごとの人数
この調査では、所属先を都道府県、保健所設置市(政令指定都市・中核市など)、特別区、市町村に分けて集計します。ここでいう「市町村」には、保健所設置市と特別区は含まれません。この区分を意識しておくことが大切です。
平成30年度の結果でも、常勤保健師のおよそ半数が市町村に所属していました。次いで保健所設置市が4分の1程度で、都道府県、特別区はそれより少なくなります。
市町村に保健師が集中しているのは、地域保健法の体系のもとで、母子保健や成人保健などの住民に身近な対人保健サービスを市町村が担っているためです。さらに、介護保険法による介護予防や地域包括支援センター、市町村国保の保険者として行う特定保健指導なども加わり、市町村保健師の業務は幅広くなっています。
一方、都道府県保健所は広域的・専門的・技術的な拠点です。感染症、難病、精神保健、健康危機管理を担い、管内市町村の支援も行います。
活動項目別の活動時間
活動調査では、活動時間を次のような項目に分けて集計します。
- 保健福祉事業:家庭訪問、健康相談、健康教育、健康診査、保健指導など、住民に直接提供するサービス
- 地区管理:地区の課題把握など
- コーディネート:関係機関との連絡調整やケース会議など
- 教育・研修、業務管理、業務連絡・事務 など
市町村保健師では、保健福祉事業に費やす時間が突出して長くなります。都道府県保健所の保健師では保健福祉事業の占める割合は市町村より小さく、業務連絡・事務が最も大きな割合を占めます。都道府県保健所の業務は広域の調整や事業の企画・管理、市町村支援が中心になるため、直接サービスの比重が相対的に下がるのです。
保健師にとってこの構図は、自分の所属する自治体の役割を理解し、統括保健師のもとで人員配置や業務量を考えるときの基礎になります。
選択肢の確認
1.保健師の就業場所で最も多いのは市町村である。:正答。平成30年度の領域調査では、常勤保健師のおよそ半数が市町村(保健所設置市・特別区を除く)に所属しています。これは保健所設置市、都道府県、特別区のいずれよりも多い人数です。住民に身近な対人保健サービスを市町村が担う体制が背景にあります。なお、衛生行政報告例で自治体以外も含めた全就業保健師をみても、就業場所は市町村が最多です。
2.保健所設置市で働く常勤保健師は地方自治体における保健師全体の3割を超えている。:保健所設置市の常勤保健師は全体の4分の1程度(2割台)にとどまり、3割には届きません。保健所設置市は政令指定都市や中核市などに限られ、数としては市町村より少ないためです。「保健所で働く保健師は多い」という印象から割合を高く見積もりやすい点が、この選択肢の引っかけです。
3.都道府県保健所に所属する保健師の活動項目別の活動時間割合は「保健福祉事業」が最も多い。:都道府県保健所の保健師で最も大きな割合を占めるのは「業務連絡・事務」で、保健福祉事業ではありません。都道府県保健所は広域的・専門的な拠点として、関係機関との調整、事業の企画・管理、市町村支援などに時間を使う比重が大きいためです。「保健福祉事業が最多」は市町村保健師に当てはまる特徴であり、両者を取り違えないようにします。
4.市町村保健師の活動項目別の保健師1人当たりの平均時間数は「コーディネート」が最も長い。:市町村保健師で最も時間数が長いのは、家庭訪問・健康相談・健康教育・健康診査・保健指導などを含む「保健福祉事業」です。コーディネートは地域包括ケアや多職種連携の要として重視されますが、時間数としての割合は保健福祉事業よりずっと小さくなります。「連携が重要=時間も最長」と考えてしまうと誤ります。
覚えるポイント
- 保健師活動領域調査は厚生労働省の調査です。領域調査(毎年、人数と所属)と活動調査(活動項目・分野別の活動時間)の2部構成で、対象は地方自治体の保健師です。
- 常勤保健師の所属は、市町村がおよそ半数で最多です。保健所設置市は4分の1程度で3割未満、その次が都道府県、特別区の順です。
- 調査上の「市町村」には、保健所設置市と特別区は含まれません。
- 活動時間は、市町村では「保健福祉事業」が最長、都道府県保健所では「業務連絡・事務」が最多です。
- 役割分担は、市町村が身近な対人保健サービス、都道府県保健所が広域的・専門的・技術的拠点(感染症、難病、精神保健、健康危機管理、市町村支援)です。
- 全就業保健師の就業場所(衛生行政報告例)でも市町村が最多です。
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