第108回
108PM027|第108回 保健師国家試験 過去問
平成30年度(2018年度)の国民医療費について正しいのはどれか。
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正解2
正答
2.総額は40兆円を超える。
この問題のポイント
国民医療費について、範囲(何を含み、何を含まないか)と規模(総額・国民所得比)を問う問題です。国民医療費は「保険診療の対象となりうる傷病の治療に要した費用」の推計です。この定義から、治療ではない費用(正常分娩、健診)と別制度の費用(介護保険)が除かれることを判断できます。規模は「総額40兆円台、国民所得比は約1割」という目安で判断します。
解説
国民医療費の定義と構成
国民医療費は厚生労働省が毎年度公表する統計です。その年度内に医療機関等で行われた傷病の治療に要した費用を推計しています。保険診療の対象となりうる費用であれば、保険者の給付分だけでなく、公費負担分と患者の一部負担分も含みます。構成要素は次のとおりです。
- 医科診療医療費(入院・入院外)
- 歯科診療医療費
- 薬局調剤医療費
- 入院時食事・生活医療費
- 訪問看護医療費
- 療養費等(移送費などを含む)
含まれない費用
定義の核は「傷病の治療」と「保険診療」の2点で、どちらかから外れる費用は含まれません。
- 傷病の治療ではない費用:正常な妊娠・分娩、健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種、固定した身体障害に必要な義眼・義肢等
- 保険診療の対象外の費用:評価療養(先進医療など)、選定療養(入院時の室料差額=いわゆる差額ベッド代、歯科差額など)
- 別制度の費用:介護保険の費用(2000年の介護保険制度施行で医療保険から移った部分を含む)
平成30年度の規模と特徴
厚生労働省「平成30年度 国民医療費の概況」の主な数値は次のとおりです。
- 総額:43兆3,949億円(約43.4兆円)で、前年度より微増
- 人口一人当たり:約34万円
- 国民所得に対する比率:約10.7%
- 国内総生産(GDP)に対する比率:約7.9%
国民医療費は平成25年度に初めて40兆円を超え、それ以降は40兆円台で推移しています。同年度の内訳の特徴は次のとおりです。
- 年齢階級別:65歳以上が全体の約6割を占め、一人当たりでは65歳以上が65歳未満の約4倍
- 診療種類別:医科診療医療費が約7割
- 傷病分類別(医科診療医療費):循環器系の疾患が最も多く、次いで新生物
- 財源別:保険料が約半分、公費が約4割、残りが患者負担など
出題当時と現在の違いにも触れておきます。令和2年度は新型コロナウイルス感染症による受診控えで一時減少しましたが、その後は再び増加しています。また、出題当時は保険診療の対象外で国民医療費に含まれなかった生殖補助医療は、2022年4月から保険適用となりました。
実践とのつながり
保健師は、特定健康診査・特定保健指導や重症化予防などの医療費適正化の取り組みで医療費データを扱います。健診そのものの費用は国民医療費に入りません。一方、健診後の受診勧奨で医療機関を受診し、保険診療として行われた精密検査や治療は含まれます。「予防の費用」と「治療の費用」を分けて読めることが、事業評価の基本になります。
選択肢の確認
1.介護保険給付費を含む。:介護保険の居宅サービスや施設サービスに要する費用は国民医療費の範囲外で、計上されません。紛らわしいのは訪問看護です。医療保険から給付される訪問看護は「訪問看護医療費」として含まれますが、介護保険から給付される訪問看護は含まれません。介護の費用は、社会保障給付費では「福祉その他」の介護対策に計上されます。国民医療費と社会保障給付費を混同しないようにしましょう。
2.総額は40兆円を超える。:正答。平成30年度の国民医療費は約43.4兆円で、40兆円を超えています。国民医療費は平成25年度に初めて40兆円台となり、その後も高齢化と医療の高度化を背景に40兆円台で推移しています。
3.正常な妊娠・分娩の費用を含む。:正常な妊娠・分娩は疾病ではないため保険診療の対象外で、国民医療費に含まれません。正常分娩の費用は、医療保険の出産育児一時金で補う仕組みです。一方、帝王切開や妊娠高血圧症候群の治療など、異常があって保険診療で行われた医療は含まれます。「妊娠・分娩はすべて除外」と覚えると誤るので注意しましょう。
4.国民所得に対する比率は20%を超える。:平成30年度の国民所得に対する比率は約10.7%で、20%には遠く及びません。「国民医療費は国民所得の約1割」と覚えておくと判断できます。GDPに対する比率(約7.9%)と取り違えやすいので、分母の違いも確認しておきましょう。
5.健康の維持・増進を目的とした健康診断の費用を含む。:健康の維持・増進を目的とした健康診断や予防接種の費用は、傷病の治療ではないため国民医療費に含まれません。特定健康診査も同様です。ただし、健診で異常を指摘されて医療機関を受診し、保険診療として行われた精密検査や治療の費用は含まれます。
覚えるポイント
- 国民医療費=保険診療の対象となりうる傷病の治療費の推計です。保険給付分、公費負担分、患者負担分をすべて含みます。
- 含まないもの:正常な妊娠・分娩、健診・予防接種、義眼・義肢、介護保険の費用、差額ベッド代などの選定療養、先進医療などの評価療養。
- 含むもの:異常分娩の保険診療、健診後の保険診療による治療、医療保険の訪問看護、入院時食事・生活医療費、療養費・移送費。
- 平成30年度:総額約43.4兆円、一人当たり約34万円、国民所得比約10.7%、GDP比約7.9%。
- 構成の特徴:65歳以上が約6割、医科診療医療費が約7割、傷病分類別では循環器系の疾患が最多で新生物が次点、財源は保険料が約半分。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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