第108回
108PM026|第108回 保健師国家試験 過去問
2つの連続変数間の直線的な関係の強さを示すのはどれか。
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正解3
正答
3.相関係数
この問題のポイント
2つの変数の関係を1つの数値で表す指標を問う、疫学・保健統計の基本問題です。判断の鍵は「2つの」「連続変数」「直線的な関係の強さ」という3つの条件です。これをすべて満たすのが相関係数(ピアソンの積率相関係数)です。1変数のばらつきを表す散布度(分散・標準偏差)、分布の型の名称(正規分布)、質的変数を整理する集計方法(クロス集計)と区別できるかが問われています。
解説
問題文の手がかり
- 「2つの」:1つの変数の特徴(代表値、散布度、分布の形)を表す指標ではありません。2変数の関連を扱う指標を求めています。
- 「連続変数」:身長、体重、血圧、体温のように、区切りなく連続した値をとりうる量的変数です。量的変数には、人数、回数、歯の本数のように整数のとびとびの値しかとらない離散変数もあり、両者は区別されます。性別や喫煙の有無のような質的変数どうしの関連とは、扱い方が異なります。
- 「直線的な関係の強さ」:一方が増えると他方が一定の傾向で増える(または減る)関係があります。この関係にデータがどれだけ近いかを表す指標を求めています。
相関係数とは
ピアソンの積率相関係数 r は、2変数の共分散を、それぞれの標準偏差の積で割って求めます。
- 値は −1 から +1 の範囲をとり、単位をもちません。身長をcmで測ってもmで測っても値は変わりません。
- 符号は関係の向きを表します。正は「一方が大きいほど他方も大きい」、負は「一方が大きいほど他方は小さい」です。
- 絶対値は関係の強さを表します。1に近いほど散布図の点が直線上に集まり、0に近いほど直線的な関係は弱くなります。
- 強さの目安は分野や教科書によって異なります。よく用いられる説明では、絶対値0.7以上を強い相関、0.4〜0.7程度を中程度、0.2〜0.4程度を弱い相関とします。
出題されやすい注意点
- 相関は因果を意味しません。例えばアイスクリームの売上と熱中症の搬送者数に正の相関があるとします。これは、気温という第3の変数(交絡因子)が両方に影響しているだけかもしれません。
- r が0に近くても「関係がない」とは限りません。U字型のような曲線的な関係では r が0付近になることがあります。そのため、まず散布図で関係の形を確認します。
- 外れ値の影響を受けやすく、1点の外れ値で r が大きく変わることがあります。
- r を2乗した値(r²)は決定係数と呼ばれます。一方の変数のばらつきのうち、直線的な関係で説明できる割合を示します。
- 回帰直線の傾き(回帰係数)は「一方が1単位増えると他方がどれだけ変化するか」を表し、関係の強さとは別の概念です。傾きがゆるやかでも、点が直線の近くにそろっていれば相関は強くなります。
- 順序尺度のデータや、正規分布から大きく外れるデータでは、順位にもとづくスピアマンの順位相関係数を用います。
変数の種類と要約方法の対応
- 1つの量的変数:代表値(平均値・中央値・最頻値)と散布度(分散・標準偏差・範囲・四分位範囲)、ヒストグラム
- 量的変数×量的変数:散布図と相関係数、回帰分析
- 質的変数×質的変数:クロス集計表(分割表)とカイ二乗検定
保健師の地域診断や事業評価では、住民の1日の歩数と収縮期血圧の関連を検討するような場面があります。歩数のような計数データは厳密には離散変数です。ただし、とりうる値の範囲が広いため、分析では連続変数に準じて扱われることがよくあります。まず散布図で関係の形と外れ値を確かめてから、相関係数を求めます。そのうえで交絡の可能性を考え、因果関係を安易に結論づけないことが、根拠にもとづく保健活動の基本になります。
選択肢の確認
1.分散:各データが平均値からどれだけ離れているかを、偏差(データ−平均値)の2乗の平均として表したものです。1つの変数のばらつきの大きさを示す散布度であり、2変数の関係を表すものではありません。偏差を2乗するため単位が元のデータの2乗(例:cm²)になり、そのままでは解釈しにくいという性質があります。この問題では「ばらつき」と「関係」を取り違えないことが大切です。
2.正規分布:平均値を中心に左右対称な釣鐘型をした、連続型の確率分布の名称です。平均値・中央値・最頻値が一致します。平均値±1SDの範囲に約68%、±2SDの範囲に約95%(正確には±1.96SDで95%)のデータが含まれ、臨床検査の基準範囲の考え方などに使われます。分布の形を表す概念であって、2変数の関係の強さを示す指標ではありません。
3.相関係数:正答。2つの連続変数について、直線的な関係の向き(正・負)と強さを −1〜+1 の値で示す指標です。散布図で点が右上がりの直線に近いほど+1に、右下がりの直線に近いほど−1に近づきます。関係の強さは示しますが因果関係は示さないこと、曲線的な関係は捉えられないことにも注意します。
4.標準偏差:選択肢1の値の正の平方根で、1つの変数のばらつきを元のデータと同じ単位で表す指標です。「平均値±SD」の形で記述統計に用いられますが、2変数の関係を示すものではありません。選択肢3は、2変数がともに変動する度合いを、各変数のこの値の積で割って単位をなくしたものです。計算の材料にはなりますが、これ自体が関係の強さを表すわけではありません。
5.クロス集計:2つ以上の質的変数(カテゴリー)を行と列に配置し、各組み合わせの度数や割合を整理する方法です。例えば喫煙の有無と疾患の有無を2×2表にまとめ、カイ二乗検定で関連を検討するときに用います。連続変数も年齢階級のように区分すれば表にできます。ただし、直線的な関係の強さを1つの数値で示すものではありません。
覚えるポイント
- 量的変数は、連続変数(身長・体重・血圧など)と離散変数(人数・回数など)に分けられます。連続変数どうしの直線的な関係の強さは相関係数(ピアソン)で表し、散布図とセットで用います。
- 相関係数は −1〜+1 で単位はありません。符号が向き、絶対値が強さを表します。0に近くても曲線的な関係はありえます。
- 相関は因果ではありません。交絡因子の影響を考えます。r²は決定係数です。
- 1変数のばらつきは分散と標準偏差で表します。標準偏差は分散の平方根で、単位は元のデータと同じです。
- 順序尺度や正規分布に従わないデータにはスピアマンの順位相関係数を用います。
- 質的変数×質的変数はクロス集計(分割表)で整理し、カイ二乗検定で関連を検討します。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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