第108回
108AM034|第108回 保健師国家試験 過去問
災害時健康危機管理支援チーム〈DHEAT〉の保健師が被災地で行う活動はどれか。2つ選べ。
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正解1・5
正答
1.被災した市町村の保健活動の評価
5.派遣保健師の受入調整
この問題のポイント
DHEATが何をするチームかを問う問題です。DHEATは、被災都道府県の保健医療調整本部や保健所の指揮調整機能を応援するマネジメント支援チームであり、被災者に直接ケアを届けるチームではありません。同じ「保健師」でも、所属するチームによって役割が違う点を見分けることが鍵です。
解説
問題文の手がかりは「DHEATの保健師」という限定です。災害時には多くの保健師が被災地に入りますが、被災市町村の保健師、応援派遣された保健師チーム、DHEATの一員として派遣された保健師では、担う仕事が異なります。この問題では、DHEATという組織の目的から逆算して選択肢を判断します。
DHEATが生まれた背景と仕組み
東日本大震災や熊本地震では、被災自治体の保健所や本部が被災して人手も不足し、指揮調整がうまく働きませんでした。その結果、被災情報が集約されない、全国から駆けつけた応援チームを必要な場所へ配置できない、といった問題が起きました。これを受けて厚生労働省は2018年に活動要領を示し、DHEATの仕組みを整えました。
- 構成:専門的な研修・訓練を受けた都道府県・保健所設置市などの職員です。公衆衛生医師、保健師、業務調整員(ロジスティクス担当)を中心に、必要に応じて薬剤師、獣医師、管理栄養士などが加わり、1班5名程度が目安です。
- 派遣の流れ:被災都道府県が応援を要請し、厚生労働省が調整して、他の都道府県などがDHEATを派遣します。
- 活動の場:被災都道府県の保健医療調整本部と被災地の保健所です。出題当時の名称は保健医療調整本部で、その後(2022年)福祉分野との連携を強めるため保健医療福祉調整本部に改められています。
DHEATの主な活動
- 健康危機管理の組織を立ち上げ、指揮調整体制をつくる支援
- 被災状況や健康課題に関する情報の収集・分析・評価
- 対策の企画立案と、その進み具合の管理・評価
- DMAT、DPAT、JMAT、応援派遣保健師チームなど保健医療活動チームの受入れ・配置調整(受援調整)
- 本部・保健所の職員の業務負担の把握と健康管理
つまりDHEATは、現場で被災者に接する人たちが力を発揮できるよう、全体を見渡して情報を整理し、方針を決め、人員を配分する「司令塔の補強役」です。
正答に至る判断
保健所は管内の被災市町村を支援する立場にあります。市町村が行っている保健活動が課題に見合っているかを評価し、方針や人員配置の見直しにつなげること(選択肢1)、外部から来る派遣保健師を受け入れて配置を調整すること(選択肢5)は、いずれも指揮調整機能そのものです。一方、健康相談、衛生対策の実施、家庭訪問(選択肢2〜4)は被災者に直接届ける対人・対物の保健活動で、被災市町村の保健師や応援派遣保健師チームなどが担います。
実践では、保健所や都道府県の保健師は、受援する側にも応援する側にもなり得ます。平時から受援計画を整え、DHEAT研修を受けておくことが、災害時に本部機能を保つ備えになります。
選択肢の確認
1.被災した市町村の保健活動の評価:正答。保健所が管内市町村の保健活動の実施状況や効果を評価し、不足している支援や優先すべき課題を明らかにして方針の見直しにつなげることは、DHEATが保健所の指揮調整を応援するときの中心的な業務です。個々の被災者への支援ではなく、活動全体を対象とするマネジメントである点が判断の決め手です。
2.避難所での要配慮者の健康相談:高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、慢性疾患のある人などへの健康相談は被災者に直接届ける対人支援であり、被災市町村の保健師や応援派遣保健師チームが担います。要配慮者への支援体制を企画・調整することはDHEATの役割に含まれますが、相談そのものを行うのは別のチームです。「DHEATも保健師を含むから健康相談をする」と考えると誤ります。
3.避難所のトイレの衛生対策:トイレの衛生は感染症予防のうえで重要ですが、個々の避難所での清掃・消毒・使用ルールづくりといった実務は、市町村や避難所運営者、応援チーム、環境衛生担当が現地で行います。DHEATは複数の避難所の情報を集めて衛生上の課題を分析し、対策の方針や人員配置を調整する立場にあり、現場の対策を自ら実施するわけではありません。
4.自宅待機者への家庭訪問:避難所に行かず自宅や車中で過ごす被災者への家庭訪問は、健康状態の把握や支援ニーズの発見に欠かせませんが、これも個別の対人支援であり、被災市町村の保健師や応援派遣保健師チームが担います。DHEATが関わるとすれば、訪問が必要な地区の把握や訪問体制の調整といったマネジメントの部分です。
5.派遣保健師の受入調整:正答。全国から派遣される保健師チームを受け入れ、どの地域・避難所に何班を配置するかを決め、活動内容や引き継ぎを調整することは受援調整にあたり、DHEATの代表的な業務です。被災地の職員だけでは受援調整まで手が回らないという過去の災害の教訓が、DHEAT創設の直接の理由の一つでした。
覚えるポイント
- DHEAT(災害時健康危機管理支援チーム)は、被災都道府県の保健医療調整本部と保健所の指揮調整機能を応援するチームで、被災者への直接ケアは行いません。
- DHEATの業務の柱は、情報の収集・分析・評価、対策の企画立案と進捗管理、保健医療活動チームの受援調整、本部・保健所職員の健康管理です。
- 構成は公衆衛生医師、保健師、業務調整員が中心で、1班5名程度が目安です。被災都道府県の要請に基づき、厚生労働省の調整で他の都道府県などから派遣されます。
- 健康相談、家庭訪問、避難所の衛生対策の実施など直接の保健活動は、被災市町村の保健師や応援派遣保健師チームの役割です。
- 災害時の派遣チームの区別として、DMATは急性期の医療、DPATは精神科医療と精神保健、JMATは日本医師会の医療チームです。これらを受け入れて配置するのがDHEATの支援する本部・保健所の役割です。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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