第108回

108AM033|第108回 保健師国家試験 過去問

2つ選択

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉について正しいのはどれか。2つ選べ。

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正解2・5

正答

2.障害支援区分に基づきサービスが利用できる。
5.平成28年(2016年)の改正によって就労定着支援が新設された。

この問題のポイント

障害者総合支援法の基本的な仕組みを問う問題です。対象、実施主体、支給決定の流れ、利用者負担に加えて、改正で加わったサービスが問われています。次の4点を押さえていれば、正答の2つを選べます。

  • 申請と支給決定は市町村が行う
  • 自立支援医療の自己負担は原則1割
  • 療育手帳の根拠は法律ではなく通知
  • 平成28年改正で就労定着支援と自立生活援助が新設された

解説

障害者総合支援法は、平成18年(2006年)施行の障害者自立支援法を改正・改称した法律で、平成25年(2013年)4月に施行されました。対象は次のとおりです。

  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者(発達障害者を含む)
  • 難病等の患者

障害の種別にかかわらず、共通の仕組みで福祉サービスを提供するのが特徴です。一方、障害者手帳の交付などは、身体障害者福祉法や精神保健福祉法といった個別の法律や通知が担っています。「サービス提供の共通の仕組みは総合支援法、手帳は個別の法律・通知」という役割分担を意識すると、選択肢1のような問いを判断できます。

サービスは、個人に給付される自立支援給付と、市町村・都道府県が地域の実情に応じて行う地域生活支援事業に分かれます。自立支援給付には、介護給付、訓練等給付、相談支援、自立支援医療、補装具があります。

  • 介護給付:居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、施設入所支援など
  • 訓練等給付:自立訓練、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助など

支給決定の流れは次のとおりです。

  • 利用希望者は市町村に申請する
  • 市町村が認定調査(80項目)を行い、コンピュータによる一次判定を出す
  • 医師意見書などを加え、市町村審査会が二次判定を行う
  • 市町村が障害支援区分(区分1〜6、非該当)を認定する
  • 本人の意向や生活環境を聴き取り、サービス等利用計画案をふまえて、市町村が支給決定する

区分の数字が大きいほど、必要な支援の度合いが高いことを示します。区分によって、利用できる介護給付の種類や量の目安が決まります。

利用者負担は、所得に応じて月額の上限を設ける応能負担が原則です。自立支援医療も、医療費の原則1割を自己負担とし、所得に応じた月額上限があります。

平成28年(2016年)の改正(主に平成30年4月施行)は、障害者が望む地域生活を続けられるよう支援を強化する内容です。主な項目は次のとおりです。

  • 就労定着支援と自立生活援助の新設
  • 最重度の人が入院中の医療機関でも重度訪問介護を使えるようにする見直し
  • 高齢障害者が介護保険サービスを利用する際の負担軽減
  • 児童福祉法の改正による、居宅訪問型児童発達支援の新設や医療的ケア児への支援体制整備

保健師は、退院支援、就労支援、障害児の地域支援などの場面で、相談窓口や計画相談へのつなぎ役を担います。そのため、申請窓口や利用できるサービスを正確に説明できることが実践でも求められます。

選択肢の確認

1.療育手帳の根拠法令である。:療育手帳は、昭和48年(1973年)の厚生事務次官通知「療育手帳制度について」に基づいて交付される手帳で、法律上の根拠はありません。交付するのは都道府県知事・指定都市市長で、対象は知的障害と判定された人です。判定は、18歳未満では児童相談所、18歳以上では知的障害者更生相談所が行います。身体障害者手帳は身体障害者福祉法、精神障害者保健福祉手帳は精神保健福祉法に根拠があります。「3つの手帳のうち療育手帳だけが通知に基づく」と整理しておきましょう。

2.障害支援区分に基づきサービスが利用できる。:正答。障害福祉サービス、特に介護給付は、市町村が認定した障害支援区分をもとに支給決定されます。利用者は、区分に応じた種類・量のサービスを利用します。平成26年(2014年)4月には、「障害程度区分」から名称と判定方法が見直されました。これにより、知的障害・精神障害・発達障害の特性がより反映されるようになりました。なお、訓練等給付は原則として区分認定を要しません。それでも、区分認定を経て支給決定を受ける仕組みはこの法律の中心であり、正しい記述です。

3.自立支援医療の自己負担額は原則2割である。:自立支援医療の自己負担は原則1割で、世帯の所得に応じた月額上限額も設けられています(生活保護世帯は負担なし)。「2割」は、医療保険で70〜74歳の窓口負担が原則2割であることや、介護保険で一定以上の所得がある人の負担が2割であることと取り違えやすい数字です。自立支援医療は、更生医療・育成医療・精神通院医療を平成18年に統合した公費負担医療です。実施主体は、更生医療と育成医療が市町村、精神通院医療が都道府県・指定都市です。

4.サービスを利用する場合は都道府県の窓口に申請する。:障害福祉サービスの申請窓口は、住民に最も身近な自治体である市町村(特別区を含む)です。障害支援区分の認定と支給決定も市町村が行います。都道府県の役割は、障害福祉サービス事業者の指定、専門性の高い相談支援や広域的な支援、都道府県障害福祉計画の策定などで、市町村を後方から支える立場です。精神通院医療は実施主体が都道府県・指定都市ですが、申請は市町村の窓口を経由します。この点とも混同しないようにしましょう。

5.平成28年(2016年)の改正によって就労定着支援が新設された。:正答。この改正で、訓練等給付として就労定着支援と自立生活援助が新設されました。就労定着支援は、就労移行支援などを経て一般就労した人が職場に定着できるよう支援するサービスです。生活リズム、家計、体調管理などの課題に対し、企業・家族・関係機関との連絡調整や助言を一定期間(最長3年)行います。自立生活援助は、施設やグループホームから一人暮らしへ移行した人を、定期的な巡回訪問と随時の対応で支えるサービスです。就労移行支援(一般就労に向けた訓練)、就労継続支援A型(雇用契約あり)・B型(雇用契約なし)との違いもあわせて押さえましょう。

覚えるポイント

  • 障害者総合支援法の対象は、身体・知的・精神(発達障害を含む)の障害者と難病等の患者です。申請、区分認定、支給決定はすべて市町村が行います。
  • 障害支援区分は区分1〜6(非該当あり)で、認定調査、一次判定、市町村審査会の二次判定を経て認定されます。主に介護給付の利用に必要です。
  • 利用者負担は応能負担が原則です。自立支援医療(更生・育成・精神通院)は原則1割負担で、所得に応じた月額上限があります。
  • 手帳の根拠は、身体障害者手帳が身体障害者福祉法、精神障害者保健福祉手帳が精神保健福祉法、療育手帳は法律ではなく厚生事務次官通知です。
  • 平成28年改正(平成30年施行)で、就労定着支援と自立生活援助が新設されました。出題後の令和4年(2022年)改正では、就労選択支援が創設されています(令和7年10月施行)。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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