第109回

109AM009|第109回 保健師国家試験 過去問

障害者(児)の日常生活や社会生活を支える福祉サービスのうち、介護給付の申請窓口で正しいのはどれか。

解答・解説を見る

正解4

正答

4.市町村

この問題のポイント

障害者総合支援法の自立支援給付のうち、介護給付を「どこに申請するか」を問う問題です。「障害者(児)」「日常生活や社会生活を支える」「介護給付」という語から、障害者総合支援法の障害福祉サービスだと読み取ります。そのうえで、申請の受付から障害支援区分の認定、支給決定までを市町村が一貫して担うことを押さえていれば解けます。高齢者の相談機関、民間の地域福祉団体、広域行政との役割の違いも問われています。

解説

問題文の手がかり

「障害者(児)の日常生活や社会生活を支える」は、障害者総合支援法の正式名称である「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」を言い換えたものです。この法律によるサービスは、個別に給付される自立支援給付と、地域の実情に応じて行う地域生活支援事業に分かれます。自立支援給付には、介護給付、訓練等給付、相談支援、自立支援医療、補装具などが含まれます。

介護給付に含まれるサービス

介護給付は、日常生活上の介護を中心とするサービスで、次のものがあります。

  • 訪問系:居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援
  • 日中活動系:短期入所(ショートステイ)、療養介護、生活介護
  • 施設系:施設入所支援

一方、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助(グループホーム)などは訓練等給付に分類されます。

申請から利用までの流れ

介護給付を含む自立支援給付の実施主体は、原則として市町村(特別区を含む)です。例外は自立支援医療のうち精神通院医療で、実施主体は都道府県・指定都市です(育成医療と更生医療は市町村)。ただし精神通院医療も、申請は市町村の窓口を経由して行います。介護給付は次の順で利用に至ります。

  • 本人、または障害児の場合は保護者が、居住地の市町村に申請します。
  • 市町村が80項目の認定調査を行い、主治医に医師意見書を求めます。コンピュータによる一次判定と市町村審査会による二次判定を経て、市町村が障害支援区分(非該当、区分1〜6)を認定します。
  • 指定特定相談支援事業者が作成したサービス等利用計画案を市町村に提出します(本人が作るセルフプランも可)。
  • 市町村が本人の状況や意向などの勘案事項を踏まえて支給決定し、受給者証を交付します。
  • 利用者が指定事業者と契約してサービスを利用します。

介護給付の利用には、原則として障害支援区分の認定が必要です。訓練等給付は原則として区分認定を要しません。障害児については障害支援区分を認定せず、市町村が障害の程度や介護の状況を調査したうえで支給決定します。利用者負担は、所得に応じて月ごとの上限額が決まる応能負担が原則です。

制度の背景と介護保険との関係

障害者福祉は、2003年の支援費制度で、行政が利用を決める「措置」から、利用者が事業者を選ぶ「契約」へ移りました。2006年施行の障害者自立支援法では、身体・知的・精神の三障害の福祉サービスが一元化され、提供の主体が住民に最も身近な市町村にそろえられました。2013年に障害者総合支援法へ改称され、難病等も対象に加わっています。

介護保険の給付を受けられる人は、介護保険に同じ種類のサービスがあれば、原則として介護保険が優先されます。給付を受けられるのは、要介護・要支援状態にある65歳以上の第1号被保険者と、40〜64歳の第2号被保険者のうち特定疾病によって要介護・要支援状態になった人です。40〜64歳でも、介護が必要になった原因が特定疾病でなければ、介護保険の給付は受けられません。この場合は障害者総合支援法の介護給付を利用します。介護保険の要介護認定の申請先も、保険者である市町村です。

保健師の実践では、難病療養者、精神障害者、医療的ケア児の家族などを支援する場面で、この知識が役立ちます。日常生活に介護が必要だと判断したときは、市町村の障害福祉担当窓口への申請と、相談支援事業所による計画作成につなぐことが基本の動きになります。40〜64歳の療養者では、原因の疾病が特定疾病に当たるかどうかで、介護保険と障害福祉サービスのどちらを先に検討するかが変わります。

選択肢の確認

1.地域包括支援センター:介護保険法に基づき市町村が設置する機関です(運営の委託も可能)。保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員を配置し、総合相談支援、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメント支援、介護予防ケアマネジメントを担います。主な対象は高齢者です。要介護認定の申請代行はできますが、障害者総合支援法の介護給付の申請先ではありません。介護保険法の保険給付にも「介護給付(要介護者)」と「予防給付(要支援者)」の区分があるため、介護保険を連想させる選択肢です。障害分野で地域の相談支援の中核となるのは、障害者総合支援法に基づく基幹相談支援センターです。

2.社会福祉協議会:社会福祉法に位置づけられた、地域福祉の推進を目的とする民間の非営利団体です。ボランティア活動の推進、生活福祉資金の貸付、日常生活自立支援事業などを行います。日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な人に対して、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理を行う事業です。市町村から相談支援事業などを受託して、相談の入口になることはあります。しかし、行政処分である支給決定を行う機関ではないため、介護給付の申請先ではありません。社会福祉法上の「福祉サービス利用援助事業」という名称から、福祉サービスの申請先と取り違えないようにします。

3.都道府県:障害者総合支援法での役割は、主に市町村を広域的・専門的に後方から支えることです。具体的には、指定障害福祉サービス事業者の指定(指定都市・中核市では市長)、都道府県障害福祉計画の策定、専門性の高い相談支援や人材育成を担います。市町村の支給決定などに不服がある場合の審査請求も、都道府県知事に対して行います。個人の介護給付の申請先ではありません。個人への給付で都道府県(指定都市などを含む)が実施主体となる例外は、自立支援医療のうち精神通院医療と、児童福祉法の障害児入所支援(窓口は児童相談所)です。障害児通所支援は市町村が実施主体なので、区別して覚えます。

4.市町村:正答。障害者総合支援法の介護給付の実施主体であり、申請を受け付けます。認定調査、市町村審査会の判定を経た障害支援区分の認定、支給決定、受給者証の交付までを一貫して担います。障害児の居宅介護や短期入所なども、保護者が市町村に申請します。

覚えるポイント

  • 障害者総合支援法の介護給付・訓練等給付の実施主体と申請先は市町村です。申請、認定調査、障害支援区分の認定、サービス等利用計画案の提出、支給決定、受給者証の交付、契約・利用の順に進みます。自立支援給付の例外として、精神通院医療の実施主体は都道府県・指定都市です(育成医療・更生医療は市町村。申請窓口はいずれも市町村)。
  • 介護給付には原則として障害支援区分(区分1〜6)の認定が必要です。二次判定は市町村審査会が行い、介護保険の介護認定審査会とは別の機関です。訓練等給付は原則として区分認定が不要です。
  • 介護給付は、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所、療養介護、生活介護、施設入所支援です。就労系・自立訓練・グループホームは訓練等給付です。
  • 役割分担は次のとおりです。市町村=申請・支給決定、都道府県=事業者指定・広域支援・審査請求先・障害児入所支援、地域包括支援センター=高齢者(介護保険法)、基幹相談支援センター=障害者の相談支援(障害者総合支援法)、社会福祉協議会=地域福祉・日常生活自立支援事業。
  • 介護保険の給付を受けられる人は、相当するサービスがあれば原則として介護保険が優先されます。対象は、要介護・要支援状態の65歳以上と、特定疾病によって要介護・要支援状態になった40〜64歳です。40〜64歳で特定疾病以外が原因の人は、障害者総合支援法の介護給付を利用します。介護保険の申請先も市町村です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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