第108回

108PM019|第108回 保健師国家試験 過去問

市町村に策定が義務付けられている計画はどれか。

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正解1

正答

1.障害者計画

この問題のポイント

行政計画を「根拠法」「策定主体(国・都道府県・市町村)」「義務か努力義務か」の3点で整理できているかを問う問題です。障害者基本法は国・都道府県・市町村のすべてに障害者計画の策定を義務づけています。4つの選択肢のうち、市町村に策定義務があるのは障害者計画だけです。他の3つは国または都道府県が定める計画です。

解説

問題文の手がかりは「市町村に」「義務付けられている」の2語です。ここから、計画の策定主体が市町村であることと、努力義務ではなく義務であることの両方を満たすものを選びます。

障害者計画の三層構造
障害者基本法第11条は、障害者施策の総合的・計画的な推進のために、次の3つの計画を定めています。

  • 政府:障害者基本計画
  • 都道府県:都道府県障害者計画(障害者基本計画を基本として策定)
  • 市町村:市町村障害者計画(障害者基本計画と都道府県障害者計画を基本として策定)

3つとも条文上は「策定しなければならない」とされ、義務です。市町村の計画は、以前は努力義務でしたが、法改正で義務になりました。策定や変更の際には、合議制の機関の意見を聴くことが求められます。合議制の機関を置いていない市町村では、障害者その他の関係者の意見を聴きます。策定後は議会に報告し、要旨を公表します。

混同しやすい「障害福祉計画」との違い
市町村障害者計画は、教育・雇用・生活環境・保健医療など、障害者施策全般の方向性を示す基本計画です。これに対して、障害者総合支援法に基づく市町村障害福祉計画は、障害福祉サービスの見込量と提供体制の確保を具体的に定める実施計画です。児童福祉法に基づく市町村障害児福祉計画も同じ性格の実施計画です。障害福祉計画と障害児福祉計画も、市町村に策定が義務づけられています。

市町村に義務づけられた計画と努力義務の計画
保健師国家試験では、市町村の計画が義務か努力義務かを区別する力がよく問われます。

  • 義務:障害者計画、障害福祉計画、障害児福祉計画、介護保険事業計画、老人福祉計画、子ども・子育て支援事業計画、自殺対策計画
  • 努力義務:健康増進計画、地域福祉計画、食育推進計画

たとえば健康増進計画は、都道府県には義務ですが、市町村には努力義務です。このように、同じ名称の計画でも主体によって扱いが異なる点が狙われます。

実践とのつながり
市町村保健師は、乳幼児健診や訪問で把握した障害児・者と家族のニーズ、地域診断のデータを計画策定の場に提供します。計画の根拠法と主体を理解しておくと、個別支援で見えた課題を施策につなげる道筋が描けます。

選択肢の確認

1.障害者計画:正答。障害者基本法により、政府・都道府県・市町村のそれぞれに障害者計画の策定が義務づけられています。市町村障害者計画は、国と都道府県の計画を基本に、地域の障害者の状況を踏まえて策定します。

2.医療費適正化計画:高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)に基づく計画で、厚生労働大臣が全国医療費適正化計画を、都道府県が都道府県医療費適正化計画を定めます。6年を1期とし、市町村は策定主体ではありません。同じ法律で市町村が関わる計画には特定健康診査等実施計画がありますが、これは国民健康保険の保険者として定めるものです。保険者としての立場と、行政計画の策定主体としての立場を取り違えないよう注意します。

3.予防接種基本計画:予防接種法に基づいて厚生労働大臣が定める国の計画で、予防接種施策を総合的・計画的に推進するためのものです。市町村は定期予防接種の実施主体ですが、この計画の策定主体ではありません。「接種を実施する主体」と「計画を策定する主体」の混同を誘う選択肢です。

4.がん対策推進基本計画:がん対策基本法に基づいて政府が策定する国の計画で、厚生労働大臣が案を作成し、閣議決定されます。都道府県には都道府県がん対策推進計画の策定が義務づけられていますが、市町村の計画策定を定めた規定はありません。市町村のがん対策の中心は、健康増進法に基づく健康増進事業として行うがん検診です。

覚えるポイント

  • 障害者計画は障害者基本法に基づき、国(障害者基本計画)・都道府県・市町村のすべてに策定義務があります。
  • 障害者計画は施策全般の基本計画、障害福祉計画(障害者総合支援法)と障害児福祉計画(児童福祉法)はサービス見込量を定める実施計画で、いずれも市町村に策定義務があります。
  • 市町村の義務計画には、介護保険事業計画・老人福祉計画・子ども・子育て支援事業計画・自殺対策計画もあります。健康増進計画・地域福祉計画・食育推進計画は努力義務です。
  • 医療費適正化計画は国と都道府県が定めます(高齢者医療確保法、6年1期)。市町村は国保保険者として特定健康診査等実施計画を定めます。
  • 予防接種基本計画は厚生労働大臣、がん対策推進基本計画は政府が定めます。名称が「〇〇基本計画」の計画は国が定めるものが多く、判断のヒントになります。

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