第109回

109AM026|第109回 保健師国家試験 過去問

公衆衛生看護管理における人事管理の方法はどれか。

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正解2

正答

2.保健師のジョブローテーションを行う。

この問題のポイント

公衆衛生看護管理を構成する機能のうち、「人事管理」にあたる方法を選ぶ問題です。人事管理が扱うのは職員そのものです。採用・配置・異動・評価など、人をどう確保し、どこに置き、どう力を発揮させるかに関わる行為かどうかで判断します。「マンパワー」「目標」といった語句に引きずられず、その行為が何を管理しているのかで分類することが鍵です。

解説

公衆衛生看護管理の機能

公衆衛生看護管理は、保健師が地域の健康を守る活動を、組織として効果的・効率的に進めるための管理活動です。一般に次のような機能に整理されます。

  • 事例管理:個別の支援事例について、進行状況と支援の質を管理する
  • 地区管理:担当地区の健康課題を把握し、地区活動を計画・展開する
  • 事業・業務管理:事業の企画・実施・評価を行い、業務の実施方法や体制を決める
  • 予算管理:事業に必要な予算を確保し、適正に執行する
  • 組織運営管理:組織の目標・方針を定めて共有し、組織を動かす
  • 人事管理:職員の採用、配置、異動、評価、勤務条件などを管理する
  • 人材育成:現任教育や研修によって職員の能力を高める
  • 情報管理:情報を収集・分析・活用し、個人情報を保護する
  • 健康危機管理:災害や感染症などの健康危機に備え、対応する

人事管理とジョブローテーション

人事管理は、組織の目的を達成するために必要な人材を確保し、適切に配置し、能力を発揮・向上させる管理です。採用計画、人員配置、人事異動、昇任、人事評価、勤務体制の整備、職員の健康管理などが含まれます。

ジョブローテーションは、職員を計画的に異なる部署や業務へ配置換えする人事上の手法です。保健師であれば、母子保健、成人保健、高齢者保健福祉、精神保健、感染症対策、企画調整部門などを経験させます。これによって次のような効果が期待できます。

  • ライフステージ全体を見通す視点が育ち、施策の全体像を理解できるようになる
  • 部署間に顔の見える関係が生まれ、連携・協働しやすくなる
  • 業務が特定の職員に属人化するのを防ぎ、組織として継続的に対応できる
  • 健康危機の発生時に、部署を越えた応援体制を組みやすくなる

ジョブローテーションには人材育成の効果もあるため、人材育成と重なる面があります。ただし「誰をどの部署に配置するか」を決めて実行する行為そのものは、人事管理にあたります。

自治体保健師の配置と育成については、2013年の「地域における保健師の保健活動に関する指針」で、統括的な役割を担う保健師を位置づけることが示されました。2016年には「保健師に係る研修のあり方等に関する検討会」の最終とりまとめで、自治体保健師の標準的なキャリアラダーが示されています。研修体系と計画的な配置・異動を組み合わせて、保健師の能力を段階的に伸ばす考え方が重視されています。実践の場では、統括保健師が人事部門と連携し、保健師の経験や育成段階をふまえて配置を調整する場面がこれにあたります。

他の選択肢との区別

選択肢1は組織運営管理、選択肢3と選択肢4は事業・業務管理(選択肢3は予算管理とも関係)、選択肢5は情報管理や地区管理にあたります。特に選択肢4は人員に触れていますが、人員を前提に事業を組み立てる行為なので、管理の対象は事業です。

選択肢の確認

1.部署の目標を組織内で共有する。:組織の目標や方針を明確にし、職員全員が同じ方向で活動できるようにする働きは、組織運営管理にあたります。目標の共有は職員の意欲やチームワークに影響しますが、職員の配置・異動・評価を決める行為ではありません。「組織の方針を浸透させる」「目標を設定する」と問われたら、組織運営管理と判断します。

2.保健師のジョブローテーションを行う。:正答。職員を計画的に異なる部署・業務へ配置換えする手法で、人員の配置と異動を扱う人事管理の方法です。幅広い分野を経験させることで、保健師の視野と実践力を広げる人材育成の効果もあわせ持ちます。

3.高度な知識、技術を必要とする業務を外部に委託する。:業務を直営で行うか外部に委託するかは、事業の実施方法と実施体制を決める事業・業務管理の判断です。委託には費用が伴うため、予算管理とも関わります。職員の専門性を補う目的があっても、管理しているのは業務の担い手と方法であり、職員の配置や育成ではありません。なお、委託した場合でも事業の質を確保し評価する責任は行政側に残ります。

4.次年度の保健師のマンパワーを考慮して事業計画を立てる。:投入できる人員を条件として事業の内容・規模・優先順位を決めることは、事業計画の立案であり事業・業務管理です。「マンパワー」という語から人事管理と取り違えやすい選択肢ですが、管理の対象は事業です。反対に、事業計画から必要な保健師数を見積もり、採用や増員配置を要求するのであれば人事管理にあたります。

5.地域の健康課題について関連部門の職員から意見聴取する。:健康課題に関する情報を関連部門から集め、課題の把握や施策の検討に活かす行為は、情報管理や地区管理(地域診断)の一部です。部署間の連携・調整の場面でもよく行われますが、職員の採用・配置・評価を扱う行為ではありません。

覚えるポイント

  • 人事管理は、職員を「採る・配る・動かす・評価する」ことと、働く環境を整えることです。代表例は採用計画、人事異動(ジョブローテーション)、人事評価、勤務体制の整備です。
  • 人材育成は、現任教育(OJT・Off-JT)、研修計画、キャリアラダーなどです。ジョブローテーションは人事管理の手法ですが、人材育成の効果もあります。
  • 組織運営管理は、組織の目標・方針の設定と共有です。事業・業務管理は、事業の企画・実施・評価と実施方法(委託を含む)の決定です。予算管理は、予算の確保と執行です。
  • 情報管理は、情報の収集・分析・活用と個人情報保護です。地区管理は、担当地区の健康課題の把握と地区活動の展開です。
  • 選択肢に含まれる語(「マンパワー」「目標」など)ではなく、その行為が何を管理しているかで分類します。
  • 自治体保健師の体制整備では、2013年の指針で統括的な役割を担う保健師の位置づけが示され、2016年の検討会最終とりまとめでキャリアラダーが示されました。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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