第109回
109PM017|第109回 保健師国家試験 過去問
市の保健センターでは子育て支援ニーズに関する調査から実態を把握した。この活動における公衆衛生看護管理の機能はどれか。
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正解1
正答
1.情報管理
この問題のポイント
保健師が行う公衆衛生看護管理の機能のうち、「調査から実態を把握する」活動がどれに当たるかを問う問題です。手がかりは「把握」という言葉そのものではなく、調査で情報を集め、集計・分析して実態を明らかにするという行為の中身です。これは情報の収集と分析を担う情報管理の働きです。各管理機能が「何を対象に、何のために、何をする働きか」を区別できるかが問われています。
解説
公衆衛生看護管理とは、保健師が住民の健康の保持増進と地域の健康水準の向上を目指し、保健活動を効果的・効率的に進めるための管理の働きです。管理職だけが行うものではありません。新任期の保健師も、担当地区や担当事業の範囲で日常的に行っています。主な機能には次のものがあります。
- 事例管理:個人・家族の状況を把握して支援し、支援の質と継続性を保つ
- 地区管理:担当地区の実態や健康課題を把握し、地区活動を計画・展開する
- 事業・業務管理:保健事業をPDCAサイクルで企画・実施・評価する
- 組織運営管理:組織の目標・体制・連携を整える
- 予算管理:事業に必要な経費を確保し、適正に執行する
- 人事管理・人材育成:人員配置や職員の能力開発を行う
- 情報管理:情報を収集・分析・活用し、適切に保護する
- 健康危機管理:健康危機の未然防止・準備・対応・回復に取り組む
本問の活動は、「子育て支援ニーズに関する調査」を行い「実態を把握した」というものです。住民の状況や要望に関する情報を調査で集め、集計・分析して実情を明らかにしています。問題文には、新しい事業の立ち上げ、予算の要求、組織体制の変更といった行為は書かれていません。設問の時点で行われている行為そのものに注目すれば、情報管理に当たると判断できます。
ただし、「把握」という言葉があれば必ず情報管理になるわけではありません。上の一覧のとおり、地区管理では担当地区の実態や健康課題を把握して地区活動につなげます。事例管理では対象者や家族の状況を把握して支援します。本問の決め手は、調査という手段で情報を集め、集計・分析すること自体が問われている点です。何を対象に、何のために行う行為かを確かめる習慣をつけておくと、地区管理や事例管理が選択肢に並ぶ問題にも対応できます。
情報管理には、主に次の働きが含まれます。
- 収集:人口動態統計などの既存資料、乳幼児健康診査や家庭訪問の記録、アンケート調査、住民への聞き取り、地区踏査などから、量的・質的な情報を集める
- 分析・意味づけ:情報を整理・加工し、他地域との比較や経年変化を見て、地域の健康課題やニーズを明らかにする(地域診断の土台になる)
- 活用・共有・発信:分析結果を事業計画や施策の根拠にし、関係機関や住民に分かりやすく還元する
- 保護・保管:個人情報を含む記録や調査票を法令・条例に沿って保管し、目的外利用や漏えいを防ぐ
子育て支援のニーズ調査は、このうち「収集」と「分析」の代表例です。市町村は子ども・子育て支援法に基づき、5年を1期とする市町村子ども・子育て支援事業計画を定めます。その際には、保護者の利用に関する意向などを踏まえる必要があります。計画づくりに向けたニーズ調査は、自治体が調査で住民の実態や意向をつかむ典型的な例です。
管理機能はそれぞれ独立しているのではなく、互いに連動しています。今回把握した実態をもとに新しい子育て支援事業を企画すれば事業・業務管理になります。その経費を要求すれば予算管理、関係部署や関係機関との役割分担を調整すれば組織運営管理の働きになります。同じ流れの中でも、「どの段階の、どの行為か」で機能を見分けるのが解き方のコツです。情報管理は、PDCAの出発点となる実態把握と、評価段階でのデータ分析の両方を支えています。
選択肢の確認
1.情報管理:正答。子育て支援ニーズの調査を行い、結果を集計・分析して実態を明らかにする活動は、情報の収集と分析そのものです。得られた情報は事業の企画や評価の根拠として活用されます。調査票に含まれる個人情報を適切に保護・保管することも、この機能の大切な役割です。
2.組織管理:解説の一覧にある組織運営管理に当たる機能です。組織の目標や方針を明確にして職員間で共有し、組織体制や指揮命令系統、部署内外との連携・役割分担を整える働きです。たとえば「子育て支援に関わる課の間で連絡会議を設け、役割分担を決めた」という場面なら当てはまります。本問は調査による実態把握であり、組織のあり方を調整する活動ではありません。
3.予算管理:事業に必要な経費を見積もって予算を要求し、成立した予算を計画どおり適正に執行し、決算で振り返る働きです。調査結果は予算要求の根拠資料にはなります。しかし本問で述べられているのは調査によって実態を把握したことであり、経費の見積もりや確保、執行の管理ではありません。
4.健康危機管理:感染症、食中毒、飲料水の汚染、災害など、住民の生命や健康の安全を脅かす事態に対して、未然防止、発生に備えた準備、発生時の対応、被害からの回復に取り組む働きです。平常時に子育て支援ニーズを把握する活動は、健康危機への備えや対応を目的としたものではないため当てはまりません。
覚えるポイント
- 公衆衛生看護管理の主な機能は、事例管理、地区管理、事業・業務管理、組織運営管理、予算管理、人事管理、人材育成、情報管理、健康危機管理です。
- 情報管理は情報の「収集・分析・活用(共有・発信)・保護」です。本問のように、調査で情報を集めて集計・分析すること自体が問われていれば情報管理に当たります。
- 「把握」という言葉だけで機能は決まりません。担当地区の実態や健康課題を把握して地区活動を展開するのは地区管理です。対象者・家族の状況を把握して支援するのは事例管理です。何を対象に、何のために行う行為かで判断します。
- 事業の企画・実施・評価は事業・業務管理の中心的な働きです。経費の見積もり・要求・執行は予算管理、組織の目標共有・体制整備・役割分担は組織運営管理の中心的な働きです。実態把握の結果は事業化・予算化・体制整備へと連動するので、設問の時点で行われている行為を特定して答えます。
- 健康危機管理の対象は、感染症・食中毒・災害など生命と健康の安全を脅かす事態です。未然防止・準備・対応・回復の各段階を含みます。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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