76AM40第76回 診療放射線技師国家試験 過去問

放射線治療技術学がん治療総論腫瘍の病理と病期

CT で右肺上葉に直径 2.5 cm の腫瘍が認められ読影レポートに「臓側胸膜とわず かに接している」とのコメントがあった。その後、病理検査で肺癌と診断がつき病 期診断が必要となった。臓側胸膜浸潤の有無で国際対がん連合〈UICC〉の T 分類が 異なる(臓側胸膜浸潤なしの場合 T1、ありの場合 T2)。 他に転移がない場合この患者の TNM 分類で正しいのはどれか。

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正解: 2

正答

2

この問題のポイント

この問題では、肺癌の TNM 分類で、臨床分類〈cTNM〉と病理分類〈pTNM〉を区別します。

また、「臓側胸膜と接している」ことと「臓側胸膜浸潤がある」ことは同じではありません。

この症例では、直径 2.5 cm の腫瘍で、臓側胸膜浸潤が確定していません。他に転移がないため、分類は cT1N0M0 です。

解説

TNM 分類では、腫瘍の広がりを次の 3 つで表します。

  • T:原発腫瘍の大きさや周囲への浸潤
  • N:所属リンパ節転移
  • M:遠隔転移

また、TNM 分類には、評価の根拠により接頭辞が付きます。

  • cTNM:画像検査、診察、内視鏡、生検などに基づく臨床分類
  • pTNM:手術標本や病理学的検索に基づく病理分類

この問題では、CT で右肺上葉に 2.5 cm の腫瘍があり、病理検査で肺癌と診断されています。ただし、ここでいう病理検査は肺癌の診断を得たという意味であり、切除標本で臓側胸膜浸潤やリンパ節転移を病理学的に確定したとは書かれていません。

読影レポートには「臓側胸膜とわずかに接している」とありますが、接しているだけでは臓側胸膜浸潤ありとは判定できません

問題文では、臓側胸膜浸潤がない場合は T1、ある場合は T2 とされています。浸潤が確定していないため、ここでは T1 と判断します。

さらに、他に転移がないため、リンパ節転移は N0、遠隔転移は M0 です。

したがって、正しい TNM 分類は cT1N0M0 です。

ひっかけポイント
「病理検査で肺癌と診断」とあるため pTNM を選びたくなります。
しかし、pTNM は切除標本などで T・N・M を病理学的に評価した場合に使います。
この問題では病期診断としては cTNM を選びます。

選択肢の確認

1.誤り。
判定不能ではありません。腫瘍径、画像所見、転移の有無から臨床分類として TNM を判断できます。

2.正しい。
腫瘍径は 2.5 cm で、臓側胸膜浸潤は確定していません。他に転移がないため、臨床分類として cT1N0M0 が適切です。

3.誤り。
pT1N0M0 は病理分類です。この症例では、切除標本などで T、N、M を病理学的に確定したとは示されていません。病理検査で肺癌と診断されたことだけでは pTNM にはなりません。

4.誤り。
cT2N0M0 とするには、臓側胸膜浸潤ありなど T2 に相当する根拠が必要です。「臓側胸膜とわずかに接している」だけでは浸潤ありとは判断できません。

5.誤り。
pT2N0M0 は、病理学的に T2 と判断され、かつ N0M0 と確認された場合の表記です。この問題では臓側胸膜浸潤も病理学的 TNM も確定していません。

覚えるポイント

  • cTNMは画像、診察、生検などに基づく臨床分類です。
  • pTNMは手術標本などによる病理分類です。
  • 「病理検査で癌と診断」だけでは、必ずしも pTNM にはなりません。
  • 「胸膜に接している」と「胸膜浸潤がある」は同じではありません。
  • 本問では、臓側胸膜浸潤なしとして cT1N0M0 を選びます。

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