76AM79第76回 診療放射線技師国家試験 過去問

理工学・放射線科学放射線計測の理論吸収線量測定の基本原理

水の吸収線量を Bragg-Gray〈ブラッグ・グレイ〉の空洞理論で求める式はどれか。 ただし、水中に設置された空洞空気に生じた電荷量を Q、空洞空気の質量を m、 空洞空気の吸収線量を Dair、水の質量衝突阻止能を(Scol/ρ)w、空気の質量衝突阻止 能を(Scol/ρ)air とする。

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正解: 4

正答

4

この問題のポイント

この問題では、Bragg-Gray〈ブラッグ・グレイ〉の空洞理論により、空洞空気の吸収線量から水の吸収線量を求める式が問われています。

基本は、空洞内の空気で測定した線量に、媒質と空気の 質量衝突阻止能比を掛けることです。

水の吸収線量 Dw は次のように表されます。

Dw = Dair × (Scol/ρ)w / (Scol/ρ)air

解説

Bragg-Gray の空洞理論は、媒質中に小さな空洞を置いたとき、空洞内の気体の電離量から周囲媒質の吸収線量を推定する理論です。

電離箱線量測定では、実際に直接測定しているのは空洞空気中に生じた電離です。

しかし、求めたいのは水などの媒質中の吸収線量です。

そこで、空気と水で荷電粒子がエネルギーを失う割合の違いを補正します。

その補正に用いるのが 質量衝突阻止能比です。

空気中の吸収線量を Dair とすると、水の吸収線量 Dw は、

Dw = Dair × [水の質量衝突阻止能] / [空気の質量衝突阻止能]

つまり、

Dw = Dair × (Scol/ρ)w / (Scol/ρ)air

となります。

ひっかけポイント
分子と分母を逆にしないことが重要です。
「空気で測って、水に換算する」ので、Dair に 水/空気の質量衝突阻止能比を掛けます。

選択肢の確認

1.誤り。
Q/m は単位質量あたりの電荷量であり、このまま水の吸収線量にはなりません。また、阻止能比も空気/水となっており、水への換算式ではありません。

2.誤り。
m/Q は電荷量の逆数に関係する量であり、吸収線量換算式として不適切です。Bragg-Gray の式では Dair に質量衝突阻止能比を掛けます。

3.誤り。
Dair に空気/水の質量衝突阻止能比を掛けています。水の吸収線量を求めるには、水/空気の比が必要です。

4.正しい。
水の吸収線量は、空洞空気の吸収線量 Dair に、水と空気の質量衝突阻止能比 (Scol/ρ)w/(Scol/ρ)air を掛けて求めます。

5.誤り。
Q/m と Dair を同時に掛ける形は不適切です。また阻止能比も空気/水になっており、水吸収線量の換算式ではありません。

覚えるポイント

  • Bragg-Gray の空洞理論では、空洞空気の線量から媒質の線量を求めます。
  • 水の吸収線量は Dw = Dair × (Scol/ρ)w / (Scol/ρ)air です。
  • 質量衝突阻止能比は、媒質と空気のエネルギー付与の違いを補正します。
  • 水へ換算するため、比は 水/空気です。
  • 電離箱測定では、空気中の電離量をもとに媒質中の吸収線量を評価します。

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