78AM26第78回 診療放射線技師国家試験 過去問

放射線治療技術学吸収線量の評価投与線量の空間分布

放射線治療時の深部線量分布を図に示す。 図の a から e の線量分布のうち炭素線の物理線量分布を示すのはどれか。

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正解: 5

正答

5.e

図の見方

横軸は体表面からの深さ、縦軸は相対線量を示しています。

放射線の種類によって、体内での線量分布は大きく異なります。

  • X線:体表近くでビルドアップし、その後は深さとともに徐々に減少する
  • 電子線:ある深さまでは線量を保ち、その後比較的急に低下する
  • 陽子線・炭素線などの粒子線:飛程の終端付近でBraggピークを作り、その後急激に線量が低下する

本問では、このうち「炭素線の物理線量分布」を選びます。

なぜeが炭素線の物理線量分布か

炭素線は重粒子線の一種で、体内を進む途中では比較的低い線量を与え、飛程の終端付近で線量が高くなるBraggピークを示します。

治療では腫瘍の厚みをカバーするため、複数のBraggピークを重ねて拡大Braggピーク〈SOBP〉を作ります。

ただし、炭素線では深部に進むほどLETが高くなり、生物学的効果比〈RBE〉も大きくなります。
そのため、標的内で生物学的効果を均一にするためには、物理線量は単純な平坦分布にはなりません。

炭素線の物理線量分布では、

  • 入射部の線量が比較的低い
  • 標的領域でBraggピークに由来する線量増加を示す
  • 深部側ではRBE上昇を考慮して物理線量が低めになる
  • 飛程終端で急激に線量が低下する
  • 核破砕片によるわずかな尾引きが残ることがある

という特徴があります。

図のeは、浅部では低線量で、標的領域に向かって線量が上昇し、その後は深部側へ向かってやや低下し、最後に急激に落ち込む形を示しています。
これは炭素線の物理線量分布に合います。

したがって、正答はeです。

他の線量分布との区別

1.a
aは浅部で線量が急に上昇したあと、深部に向かってゆるやかに減少しています。
これは高エネルギーX線の深部線量分布に近い形です。
粒子線のような明瞭な飛程終端の急峻な線量低下はありません。

2.b
bは深部で高い平坦な線量域を作り、その後急激に低下しています。
粒子線治療の標的内線量分布に似ていますが、炭素線の「物理線量分布」として特徴的な非平坦な形ではありません。

3.c
cも深部で線量が高くなり、一定の領域を保った後に急激に低下しています。
標的内を均一にする分布に近いですが、炭素線の物理線量分布としてはeの方が適切です。

4.d
dはある深さから比較的平坦な線量域を示しています。
これは生物学的効果を考慮した分布、または別の粒子線の分布として考えると理解しやすいですが、炭素線の物理線量分布そのものではありません。

5.e
正しいです。
炭素線ではRBEが深部で高くなるため、生物学的効果を均一にするには物理線量は平坦ではなくなります。
図のeのように、低い入射線量、Braggピークに関連した線量上昇、深部側での物理線量低下、急峻な遠位線量低下を示す分布が炭素線の物理線量分布です。

覚えるポイント

炭素線治療では、「物理線量」と「生物線量」を分けて考えることが重要です。

  • 物理線量:実際に吸収された線量
  • 生物線量:物理線量にRBEを考慮した線量
  • 炭素線:深部でLETとRBEが高くなる
  • そのため、炭素線の物理線量は標的内で平坦とは限らない
  • 飛程終端では急峻な線量低下を示す

本問では、炭素線の物理線量分布に特徴的な形を示すeが正答です。

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