78PM59第78回 診療放射線技師国家試験 過去問

理工学・放射線科学放射線の生物学的効果と放射線治療温熱療法〈ハイパーサーミア〉

がんに対する温熱療法で正しいのはどれか。

解答・解説を見る

正解: 5

正答

5.放射線照射による亜致死損傷からの回復を抑制する。

この問題のポイント

温熱療法の生物学的効果を問う問題です。

がんに対する温熱療法では、腫瘍を加温することで細胞障害を起こし、放射線治療や化学療法の効果を高めます。

特に重要なのは、温熱療法が放射線照射後の 亜致死損傷からの回復を抑制する ことです。
これにより、放射線の効果が増強されます。

したがって、正しい選択肢は
5.放射線照射による亜致死損傷からの回復を抑制する。
です。

解説

放射線を照射された細胞では、DNA損傷などが起こります。
その中には、細胞が修復できる程度の損傷、つまり亜致死損傷があります。

温熱療法は、この亜致死損傷の修復を妨げる作用があります。
そのため、放射線治療と温熱療法を併用すると、腫瘍細胞をより障害しやすくなります。

また、低酸素や低pHの腫瘍細胞は、放射線には抵抗性を示しやすい一方で、温熱には比較的感受性を示すことがあります。
この点も、温熱療法が放射線治療の補助として重要な理由です。

選択肢の確認

1.30~35 ℃の加温で熱凝固が起こる。
誤りです。
30~35 ℃は体温より低い、または体温に近い温度であり、熱凝固が起こる温度ではありません。
温熱療法では一般に40℃台前半程度の加温が問題になります。
熱凝固はさらに高温で起こります。

2.ヒートショック蛋白は温熱耐性を抑制する。
誤りです。
ヒートショック蛋白は、熱ストレスから細胞を守る方向に働きます。
そのため、温熱耐性の形成に関係します。
温熱耐性を抑制する、という説明は逆です。

3.S期よりもM期にある細胞の感受性が高い。
誤りです。
放射線ではM期が高感受性として重要ですが、温熱感受性ではS期の細胞が比較的高感受性とされます。
放射線感受性と温熱感受性を混同しないようにします。

4.低酸素細胞よりも酸素に富む細胞に効果的である。
誤りです。
低酸素細胞は放射線抵抗性を示しやすいですが、温熱療法では低酸素・低pHの腫瘍環境にも効果が期待されます。
「酸素に富む細胞により効果的」とするのは不適切です。

5.放射線照射による亜致死損傷からの回復を抑制する。
正しいです。
温熱療法は、放射線照射後に細胞が損傷を修復する過程を抑制します。
そのため、放射線治療との併用で増感効果が期待できます。
これが本問の正答です。

覚えるポイント

温熱療法は、放射線治療との併用効果で覚えると整理しやすいです。

  • 温熱療法:腫瘍を加温して細胞障害を起こす
  • 放射線との併用:亜致死損傷からの回復を抑制する
  • 低酸素細胞にも効果が期待される
  • ヒートショック蛋白:温熱耐性に関係する
  • 放射線感受性と温熱感受性の細胞周期依存性は混同しない

この問題では、温熱療法の正しい特徴を問うているため、正しい選択肢は
5.放射線照射による亜致死損傷からの回復を抑制する。
です。

関連問題

78PM5878PM60
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)