111AM025|第111回 看護師国家試験 過去問
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉において、結核が分類されるのはどれか。
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正解: 2
正答
2.二類
この問題のポイント
感染症法の類型と、そこに含まれる代表的な疾患の組み合わせを問う問題です。結核はかつて結核予防法で対策されていましたが、2007年(平成19年)に同法が廃止されて感染症法に統合され、二類感染症に位置づけられました。各類型の「危険性の程度」と「行える措置(入院勧告・就業制限など)」を組み合わせて理解すると、疾患名を丸暗記しなくても判断しやすくなります。
解説
感染症法の類型の考え方
感染症法は1999年(平成11年)に施行された法律です。感染力や罹患した場合の重篤性などから総合的にみた危険性に応じて、感染症を一類〜五類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症に分けています。類型ごとに、行政がとれる措置が定められています。
- 一類感染症:危険性が極めて高い感染症です。エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱の7疾患です。入院勧告、就業制限、消毒に加えて、建物の立入制限や交通の制限まで行えます。
- 二類感染症:危険性が高い感染症です。急性灰白髄炎(ポリオ)、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)が該当します。入院勧告、就業制限、健康診断の勧告、消毒などが行えます。
- 三類感染症:危険性は高くないものの、特定の職業に就くことで集団発生を起こしうる感染症です。コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフスが該当します。措置の中心は就業制限で、入院勧告の対象にはなりません。
- 四類感染症:動物や飲食物などを介して人に感染し、人から人へは基本的に感染しない感染症です。A型肝炎、E型肝炎、狂犬病、マラリア、日本脳炎、デング熱、黄熱などが該当します。消毒や媒介動物の駆除など、物や動物に対する措置が中心です。
- 五類感染症:国が発生動向を調査し、情報を提供・公開することで発生とまん延を防ぐ感染症です。インフルエンザ(鳥インフルエンザ等を除く)、後天性免疫不全症候群、梅毒、麻しん、風しんなどが該当します。
医師の届出は、一類〜四類では診断後直ちに、五類の全数把握疾患では原則7日以内です(麻しん・風しんなど一部は直ちに届け出ます)。定点把握の疾患は、指定された医療機関が定期的に報告します。
結核が二類に位置づけられた経緯と規定
結核は1951年(昭和26年)に制定された結核予防法で対策されてきました。2006年の感染症法改正によって結核予防法は廃止・統合され、2007年4月から感染症法の二類感染症として扱われています。このとき、BCG接種は予防接種法へ移されました。
結核には、他の感染症と共通の規定に加えて、結核予防法の仕組みを引き継いだ独自の規定があります。治療期間が長く、治療を最後までやり遂げることが特に重要な疾患だからです。次の3つは他の感染症と共通の規定で、結核だけのものではありません。
- 医師の届出:診断後直ちに、最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出ます(感染症法第12条)。一類〜四類などに共通です。
- 接触者健康診断:主に健康診断の勧告(第17条)に基づいて行います。健康診断の勧告は、一類〜三類と新型インフルエンザ等感染症に共通です。
- 入院医療費の公費負担:入院勧告・入院措置による入院の医療費は、公費負担の対象になります(第37条)。一類・二類感染症などに共通です。
結核に固有の規定や仕組みは次のとおりです。
- 病院の管理者は、結核患者が入院・退院したときに、7日以内に最寄りの保健所長へ届け出ます。
- 保健所長は結核登録票を備え、管轄区域内に住む結核患者などを登録して管理します。
- 保健所長は保健師などに家庭訪問をさせ、確実な服薬などを指導させます。
- 事業者、学校の長、施設の長、市町村長は、政令で定める対象者に結核の定期の健康診断を行います(第53条の2)。
- 通院医療費も公費負担の対象です(第37条の2)。医療保険と公費で費用の95%を負担し、自己負担は5%です。
- 医療機関と保健所が連携し、服薬確認を含む治療完遂の支援(日本版DOTS)を行います。
臨床・地域での意味
結核は空気感染(飛沫核感染)します。排菌している患者は陰圧の個室で管理し、医療者はN95マスクを、患者はサージカルマスクを着用します。喀痰塗抹陽性などで感染性が高い場合は入院勧告の対象となり、結核病床をもつ医療機関で治療を受けます。
さらに結核独自の規定により、保健所が患者の登録から治療終了後の経過観察まで継続的に関わります。看護師は、届出、入院調整、退院後の服薬支援などの場面で保健所と連携します。
出題当時と現在
結核の分類は、出題当時(2022年2月)も現在も二類で変わっていません。なお、新型コロナウイルス感染症は2020年に指定感染症、2021年2月からは新型インフルエンザ等感染症とされ、出題当時はこの扱いでした。その後、2023年5月8日に五類感染症へ移行しています。
選択肢の確認
1.一類:この類型は危険性が極めて高い感染症で、エボラ出血熱、ペスト、ラッサ熱など7疾患に限られ、結核は含まれません。特定・第一種感染症指定医療機関への入院勧告に加えて、交通の制限まで行える、選択肢の中で最も厳しい類型です。空気感染することや、かつて死因の上位であったという結核のイメージから、最も重い類型だと取り違えないように注意します。
2.二類:正答。結核は、2007年に結核予防法が廃止されて感染症法に統合されて以降、この類型に属しています。入院勧告、就業制限、健康診断の勧告、消毒などは、同じ類型の他の感染症と共通の措置です。結核にはさらに、病院管理者の入退院届出、結核登録票、定期の健康診断、通院医療費の公費負担、服薬支援(DOTS)といった独自の規定があります。
3.三類:コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフスの5疾患からなる類型で、主に経口感染する消化器系の感染症です。飲食物を取り扱う職業などへの就業制限が措置の中心で、入院勧告の対象にはなりません。入院勧告が行われうる結核とは、扱いが明確に異なります。
4.四類:動物や飲食物などを介して人に感染し、人から人へは基本的に感染しない感染症の類型で、狂犬病、マラリア、日本脳炎、A型肝炎などが該当します。人から人へ空気感染する結核は、この類型の定義に当てはまりません。なお、H5N1・H7N9以外の鳥インフルエンザはこの類型に属します。この点は選択肢2と混同しやすいところです。
5.五類:国が発生動向を調査して情報を提供・公開する類型で、インフルエンザ(鳥インフルエンザ等を除く)、梅毒、後天性免疫不全症候群、麻しんなどが該当します。感染症法上の入院勧告や就業制限の規定はありません。新型コロナウイルス感染症は2023年5月にこの類型へ移行しましたが、同じ呼吸器感染症でも結核は含まれません。
覚えるポイント
- 結核は二類感染症です。2007年4月に結核予防法が廃止されて感染症法に統合され、BCG接種は予防接種法へ移りました。
- 一類は7疾患(エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱)です。二類は「ポリオ、結核、ジフテリア、SARS、MERS、鳥インフルエンザH5N1・H7N9」です。
- 三類はコレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフスの5疾患です。四類は動物・飲食物を介する感染症、五類は発生動向の調査と情報公開の対象です。
- 一類〜五類の中で、入院勧告は一類・二類、就業制限は一類〜三類、交通の制限は一類のみです。医師の届出は、一類〜四類は直ちに、五類(全数把握)は原則7日以内です(麻しん・風しんなどは直ちに)。
- 結核独自の規定・仕組みは、病院管理者の入退院届出(7日以内)、結核登録票、家庭訪問指導、定期の健康診断、通院医療費の公費負担、日本版DOTSです。医師の届出、接触者健康診断、入院医療費の公費負担は、他の一類・二類感染症などと共通の規定です。
- 結核は空気感染します。陰圧個室で管理し、医療者はN95マスク、患者はサージカルマスクを着用します。
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