111AM024|第111回 看護師国家試験 過去問
成人に対する一次救命処置〈BLS〉において、胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は( ):2である。( )に入るのはどれか。
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正解: 3
正答
3.30
この問題のポイント
成人の一次救命処置〈BLS〉で、胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせるときの回数比を問う基本問題です。出題当時の指針(JRC蘇生ガイドライン2020)では、成人は救助者が1人でも2人でも30:2です。回数比だけでなく、質の高い胸骨圧迫の条件(部位・深さ・テンポ・戻し・中断時間)や、小児・新生児との違いもあわせて問われやすい分野です。
解説
30:2になっている理由
問題文の手がかりは「成人」「一次救命処置」「人工呼吸は2回」の3点です。成人では、胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を1サイクルとして繰り返します。
心停止中に胸骨圧迫で生じる血流はわずかです。冠動脈灌流圧は圧迫を続けるうちに少しずつ上がり、圧迫を止めるとすぐに下がります。成人の突然の心停止は心室細動などの不整脈によるものが多く、倒れた直後は血液中にまだ酸素が残っています。そのため、人工呼吸よりも中断の少ない胸骨圧迫が重視されます。かつては15:2でしたが、2005年のガイドライン改訂で30:2に変更されました。人工呼吸による中断の回数を減らし、連続して圧迫する時間を長くするための変更です。
人工呼吸の技術と意思があり、感染防護具が使える場合に30:2で行います。人工呼吸ができない、またはためらわれる場合は、回数比は用いず胸骨圧迫だけを絶え間なく続けます。
成人BLSの流れ
- 周囲の安全を確認し、肩をたたきながら呼びかけて反応をみます。
- 反応がなければ大声で応援を呼び、119番通報とAEDの手配を依頼します。
- 胸と腹部の動きを見て、呼吸を10秒以内で確認します。普段どおりの呼吸がない場合や判断に迷う場合は、心停止とみなします。しゃくりあげるような死戦期呼吸も、心停止のサインとして扱います。
- ただちに胸骨圧迫を開始します。人工呼吸を行う場合は、頭部後屈あご先挙上法で気道を確保し、1回約1秒かけて胸の上がりが見える程度に2回吹き込みます。
- AEDが届いたら電源を入れ、電極パッドを貼ります。心電図の解析とショックは音声指示に従い、ショック後はただちに胸骨圧迫から再開します。解析は約2分ごとに繰り返されます。
質の高い胸骨圧迫の条件
- 部位:胸骨の下半分(目安は胸の真ん中)
- 深さ:約5 cm、ただし6 cmを超えない
- テンポ:1分間に100〜120回
- 圧迫のたびに胸を元の高さまで完全に戻す
- 中断は最小限にし、10秒未満にとどめる
- 疲れると質が落ちるため、救助者が複数いれば1〜2分ごとを目安に交代する
対象による違い
小児・乳児は、救助者が1人なら30:2、医療従事者など2人以上で行う場合は15:2です。圧迫の深さは胸の厚さの約3分の1が目安です。乳児への圧迫は、救助者が1人なら2本指で、2人なら胸郭包み込み両母指圧迫法で行います。新生児の蘇生法(NCPR)では、胸骨圧迫と人工呼吸の比は3:1です。気管挿管などで高度な気道確保をした後は、圧迫を中断せずに続け、換気はそれとは同期させずに約10回/分で行います。
病棟で患者が急変した場合も、この成人BLSが初期対応の土台になります。応援要請、救急カートとAEDの手配を行い、ためらわずに胸骨圧迫を始められることが看護師に求められます。
選択肢の確認
1.5:圧迫5回ごとに人工呼吸を入れると中断が頻繁になり、上がりかけた冠動脈灌流圧が毎回下がってしまいます。そのため、現在の成人BLSの比としては用いられていません。「5」は圧迫の深さ「約5 cm」の数値なので、回数比と混同しないよう注意します。
2.10:「10」は、呼吸の確認を10秒以内で行うこと、圧迫の中断を10秒未満にすること、高度な気道確保後の換気を約10回/分で行うことなどに出てくる数値です。胸骨圧迫と人工呼吸の回数比としては定められていません。
3.30:正答。成人のBLSでは、救助者の人数にかかわらず胸骨圧迫30回に人工呼吸2回を組み合わせます。人工呼吸を行わない場合は、比を用いず胸骨圧迫のみを連続して行います。
4.50:圧迫を長く続けられる点では有利にみえますが、人工呼吸を行う場合の比として指針に定められた値ではありません。換気の機会も少なくなりすぎます。1分間100〜120回というテンポの数値と取り違えないよう整理しておきます。
覚えるポイント
- 成人BLSの回数比は30:2(1人法・2人法とも同じ)です。人工呼吸ができなければ胸骨圧迫のみを続けます。
- 胸骨圧迫は「胸骨の下半分、深さ約5 cm(6 cmを超えない)、100〜120回/分、毎回完全に戻す、中断は10秒未満」です。
- 呼吸確認は10秒以内で行い、普段どおりの呼吸がない場合や判断に迷う場合、死戦期呼吸がある場合は、ただちに胸骨圧迫を始めます。
- 小児・乳児は1人なら30:2、2人以上の医療従事者なら15:2で、深さは胸の厚さの約3分の1です。新生児蘇生は3:1です。
- AEDは届いたらすぐ使用し、ショック後は心電図の確認を待たずに胸骨圧迫から再開します。
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