111PM115|第111回 看護師国家試験 過去問
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。この時点の看護師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
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正解: 4・5
正答
4.入院患者の状態の把握
5.使用中の医療機器の作動状況の確認
この問題のポイント
地震の揺れが収まった直後に、病棟看護師が最初に取り組む行動を問う問題です。判断の手がかりは2つあります。1つは「自身の身の安全を確保し、揺れが収まると」という時点の設定です。もう1つは、人工呼吸器・輸液ポンプ・酸素療法を受けている患者が多いという病棟の状況です。災害時の行動は「自分の安全 → 患者の安全 → 状況の把握と報告 → 指示に基づく避難や受け入れ」と段階を追って進むことを押さえると、今行うべき2つを選べます。
解説
問題文の手がかり
- 「自身の身の安全を確保し、揺れが収まると」:安全確保の第一段階はすでに終わっています。問われているのはその次の行動です。
- 「病院の災害発生時のマニュアルに沿って」:病院全体の方針は災害対策本部が決めます。病棟はその指示系統の中で動くことが前提です。
- 人工呼吸器1人、輸液ポンプ3人、酸素療法3人:停電、医療ガス配管の損傷、機器の転倒、回路やルートの外れが起こると、短時間で生命の危機につながる患者です。救命救急病棟なので、ほかの患者も重症度が高いと考えます。
災害直後の行動の順序
災害医療の基本原則CSCATTTでは、安全(Safety)を自分(Self)→現場(Scene)→傷病者(Survivor)の順に確保します。救助する側が負傷すれば誰も助けられないため、まず自分の身を守ります。その後、病棟の環境(落下物、火災、ガス漏れなど)を確かめつつ、目の前の患者の安全を確認します。
報告は、この確認で得た情報を上位の指揮系統に伝えるものです。避難や外部からの負傷者の受け入れは、各部署からの報告を集約した災害対策本部が病院全体として判断します。つまり、揺れの直後に病棟看護師が真っ先に行うのは、患者と生命維持に関わる機器の安全確認です。
具体的に確認すること
- 患者:意識・呼吸・循環の変化を確かめます。ベッドからの転落や落下物による外傷がないかも確認します。気管チューブ、ドレーン、カテーテル、点滴ルートの抜去や屈曲も点検し、不安や動揺には声をかけて落ち着かせます。
- 人工呼吸器:作動とアラームの有無、回路の外れを確認します。電源が非常用電源(一般に赤色のコンセント)につながっているか、バッテリーの状態も見ます。停止に備え、用手換気(バッグバルブマスクなど)にすぐ切り替えられるよう手元に準備します。
- 酸素療法:中央配管から酸素が供給され、流量計が正しく作動しているかを確認します。配管の損傷や供給停止に備え、酸素ボンベを用意して残量を確かめます。
- 輸液ポンプ:作動、設定流量、閉塞アラーム、ルートの外れ、バッテリーを確認します。
停電時は、非常用発電機に切り替わるまで電力が途切れることがあります。平時から非常用電源の位置、機器のバッテリー持続時間、用手換気具と酸素ボンベの置き場所を把握しておくことが、臨床での備えとして重要です。
選択肢の確認
1.被災状況の報告:病棟の被害や患者の状況を上位の指揮系統に伝えることは、災害対策本部が病院全体の方針を決めるために欠かせません。ただし、報告の中身になる患者の状態や機器・設備の状況は、揺れの直後にはまだ確かめられていません。確認を終えてから行う次の段階の行動です。なお、確認の途中で生命に関わる異常を見つけた場合は、その場で応援を求めます。
2.入院患者の避難誘導:避難は、火災の発生や建物の倒壊の危険など、病棟にとどまるほうが危険と判断された場合に行います。判断は原則として災害対策本部が行います。人工呼吸器や輸液ポンプを使用中の重症患者は、移動そのものが回路外れや機器停止の危険を伴います。震度5強というだけで直ちに動かすのではなく、患者と建物の状況を把握してから判断します。
3.傷病者の受け入れ準備:二次救急医療機関には、地震後に地域の負傷者が搬送されてくる可能性があります。しかし、受け入れの可否や規模は、自施設の被害、入院患者の安全、電気・医療ガスなどの状況を把握したうえで災害対策本部が決めます。院内の安全が確認できていない段階で始めるのは順序が逆です。本部の指示を受けてから、空床の確保や物品の準備を進めます。
4.入院患者の状態の把握:正答。自分の安全を確保した次に最優先で行う行動です。意識・呼吸・循環の変化、転落や落下物による外傷、チューブ類やルートの抜去を確かめます。異常があれば直ちに対処し、応援を要請します。この確認結果が、その後の報告や本部の判断の基礎になります。
5.使用中の医療機器の作動状況の確認:正答。この病棟には人工呼吸器、輸液ポンプ、酸素療法を使用中の患者が多くいます。停電や配管損傷、転倒による機器の停止は、短時間で生命の危機に直結します。作動、回路・ルートの接続、非常用電源への接続、バッテリー、酸素の供給を確かめます。用手換気具と酸素ボンベも準備しておきます。
覚えるポイント
- 災害直後の院内行動の順序は、自分の安全 → 患者の安全(状態と生命維持機器)→ 被害状況の把握と報告 → 災害対策本部の指示による避難・受け入れです。
- 安全確保の3Sは Self(自分)→ Scene(現場)→ Survivor(傷病者) の順です。CSCATTTの「S」に当たります。
- 人工呼吸器は作動・回路・非常用電源(赤色コンセント)・バッテリーを確認し、用手換気の準備をします。酸素は配管からの供給を確認し、ボンベを用意します。輸液ポンプは作動・閉塞・バッテリーを確認します。
- 報告は「確認してから行う」ものです。ただし、確認中に生命に関わる異常があれば、その場で応援を求めます。
- 避難は、火災や倒壊の危険など、とどまるほうが危険なときに原則として本部の判断で行います。重症患者の移動はそれ自体がリスクです。
- 外部からの負傷者の受け入れは、自施設の安全と受け入れ能力を確認したうえで本部が決定します。
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