111AM023|第111回 看護師国家試験 過去問

上腕出血時の間接圧迫止血の部位はどれか。

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正解: 1

正答

1.腋窩動脈

この問題のポイント

間接圧迫止血(止血点圧迫)の原理と、上肢の動脈の走行を組み合わせて問う問題です。手がかりは「上腕」の出血と「間接圧迫」という言葉です。出血部位より心臓に近い(中枢側の)動脈を、体表近くで骨に押しつけられる部位で圧迫すると考えます。上肢の動脈が中枢から末梢へどの順につながるかを押さえていれば、迷わず解けます。

解説

直接圧迫止血と間接圧迫止血

外出血の止血の基本は直接圧迫止血です。清潔なガーゼや布を出血部位に当て、手のひらや指で強く押さえます。血液に触れる可能性があるため、手袋を着用して感染を防ぎます。手袋がなければビニール袋などで代用します。

間接圧迫止血は、出血部位より中枢側で動脈を骨に向かって押しつけ、出血部位へ流れ込む血流を減らす方法です。直接圧迫の準備が整うまでの間や、直接圧迫だけでは止血が不十分なときに併用します。

圧迫する点を止血点といいます。止血点には、動脈が体表の近くを走り、その下に押しつける骨がある部位が選ばれます。そのため、止血点の多くは脈拍を触知できる部位と重なります。

上肢の動脈の流れ

上肢の動脈は、中枢から末梢へ次の順につながります。

  • 鎖骨下動脈:第1肋骨の外側縁を越えると腋窩動脈と名前が変わる
  • 腋窩動脈:腋窩を通り、大円筋の下縁を越えると上腕動脈となる
  • 上腕動脈:上腕の内側(上腕二頭筋の内側)を下行し、肘窩で橈骨動脈と尺骨動脈に分かれる
  • 橈骨動脈・尺骨動脈:前腕を下行し、手掌で浅掌動脈弓・深掌動脈弓をつくって互いに吻合する

正答に至る判断

上腕の出血を止めるには、上腕に血液が入る手前、つまり上腕より中枢側を圧迫する必要があります。選択肢の中で上腕より中枢側にあるのは腋窩動脈だけです。腋窩の奥に指を入れ、上腕骨(上腕骨頭)に向かって押しつけて圧迫します。前腕の動脈は上腕より末梢にあるため、圧迫しても上腕の出血には影響しません。

上腕動脈も、上腕内側で上腕骨に押しつけて圧迫できます。ただし、主に前腕や手の出血に対する止血点として用いられます。上腕の出血でも、出血部位が圧迫点より末梢にあれば効果はあります。しかし「上腕の出血」という設定では、上腕の入口にあたる腋窩動脈を圧迫するのが最も確実です。

実践での注意

  • 動脈性出血は鮮紅色で、拍動に合わせて噴き出します。短時間で大量出血になるため、すぐに止血を始めます。静脈性出血は暗赤色で、持続的に湧き出るように出血します。
  • 間接圧迫はあくまで補助的な手段で、止血の中心は直接圧迫です。
  • 四肢の大量出血で直接圧迫でも止血できない場合は、止血帯を用いることがあります。その際は装着した時刻を記録し、確実に引き継ぎます。
  • 出血が続くときは、顔面蒼白、冷汗、頻脈、血圧低下などのショック徴候も並行して観察します。

選択肢の確認

1.腋窩動脈:正答。鎖骨下動脈に続いて腋窩を通り、上腕動脈へ移行する動脈で、上腕へ流れる血液の入口にあたります。腋窩で上腕骨に押しつけて圧迫すれば、その末梢である上腕への血流を減らせます。したがって、上腕出血の止血点として適切です。

2.尺骨動脈:肘窩で上腕動脈から分かれ、前腕の小指側を走る動脈です。上腕より末梢にあるため、ここを圧迫しても上腕の出血は止まりません。手関節の小指側で触れることができ、手の出血に対して選択肢4の動脈と一緒に圧迫する止血点です。手掌では両動脈が動脈弓で吻合しているため、片方だけの圧迫では手の出血を十分に止められない点も押さえておきましょう。

3.大腿動脈:外腸骨動脈が鼠径靱帯の下をくぐって大腿に入った下肢の動脈で、上肢の血流には関与しません。鼠径部で骨に押しつけるように圧迫し、大腿や下肢の出血に対する止血点として用います。上肢と下肢の止血点を取り違えないことが大切です。

4.橈骨動脈:肘窩で上腕動脈から分かれ、前腕の母指側を走る動脈です。上腕より末梢にあるため、上腕の出血には効果がありません。手関節の母指側で触れやすく、脈拍測定の代表的な部位です。止血点としては、選択肢2の動脈とともに手の出血に対して用います。

覚えるポイント

  • 止血の基本は直接圧迫止血です。間接圧迫止血は、出血部位より中枢側の動脈を骨に押しつけて行う補助的な方法です。
  • 上肢の動脈の順は、鎖骨下動脈 → 腋窩動脈 → 上腕動脈 → 橈骨動脈・尺骨動脈です。移行する目印は、第1肋骨外側縁、大円筋下縁、肘窩です。
  • 出血部位と止血点の対応:肩付近は鎖骨下動脈、上腕は腋窩動脈、前腕は上腕動脈、手は橈骨動脈と尺骨動脈の両方、大腿は大腿動脈、下腿は膝窩動脈です。
  • 止血点は、動脈が浅く走り、その下に骨がある部位です。そのため、脈拍の触知部位(橈骨動脈、上腕動脈、大腿動脈など)と重なります。
  • 動脈性出血は鮮紅色で拍動性、静脈性出血は暗赤色で持続的です。止血と並行して、ショック徴候の観察を忘れないようにします。

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