111PM040|第111回 看護師国家試験 過去問

四肢の動脈性外出血に対する止血法で適切なのはどれか。

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正解: 1

正答

1.出血部位を心臓より高く保つ。

この問題のポイント

四肢の動脈から出血したときの応急止血の原則を問う問題です。判断の鍵は、挙上(出血部位を心臓より高くする)、圧迫の強さ(動脈圧を上回る必要がある)、止血帯の幅と使用時間の3点です。止血が血管内圧、重力、組織の虚血とどう関係するかを理解していれば、正答を選べます。

解説

問題文の手がかりは「四肢」「動脈性」「外出血」の3つの語です。体表からの出血なので、傷口を直接押さえられます。四肢なので、挙上や止血帯を使える部位です。動脈性なので血管内圧が高く、弱い力では止まりません。この3点が、選択肢を判断する前提になります。

動脈性出血の特徴と危険性

外出血は、出血する血管によって次の3つに分けられます。

  • 動脈性出血:鮮紅色の血液が、拍動に合わせて噴き出すように出ます。血管内圧が高いため短時間で大量に失血し、最も緊急性が高い出血です。
  • 静脈性出血:暗赤色の血液が、持続的にじわじわと流れ出ます。
  • 毛細血管性出血:傷口全体から血液がにじみ出ます。多くは圧迫すれば容易に止まります。

成人の循環血液量は体重の約13分の1です。その約3分の1を急速に失うと、生命に危険が及ぶとされます。止血と並行して、出血性ショックの徴候を観察します。代表的な徴候は、顔面蒼白、冷汗、頻脈、脈拍微弱、呼吸促迫、意識レベルの低下です。出血の初期は代償機転によって血圧が保たれやすく、頻脈や皮膚の冷感が先に現れます。そのため、血圧だけで判断しないことが大切です。心拍数を収縮期血圧で割ったショック指数は、出血量を推定する目安になります。低体温は血液の凝固を妨げるため保温に努め、医師への報告と輸液の準備につなげます。

直接圧迫と挙上

止血法には、次の3つがあります。

  • 直接圧迫止血法:傷口を直接押さえる方法です。第一選択です。
  • 間接圧迫止血法:傷より心臓に近い動脈を、骨に向かって押さえる方法です。
  • 止血帯法:傷より心臓側の四肢を帯で締める方法です。

直接圧迫では、清潔なガーゼやタオルを傷口に当て、手のひらでしっかり押さえます。血液に触れる可能性があるため、手袋などで標準予防策をとります。ガーゼに血液がにじんできても、はがさずに上から重ねて圧迫を続けます。にじみが続くときは、圧迫する位置がずれていないか、力が足りているかを確かめます。

血液は圧の高いほうから低いほうへ流れます。傷口に外から圧をかけると、血液を押し出す力(血管内圧と外圧の差)が小さくなります。そのため、弱い圧迫でも出血は減ります。ただし、動脈は血管内圧が高いので、動脈圧を上回る圧をかけなければ流出を止めきれません。片手で止まらなければ、両手を重ねて体重をかけるなどして、十分な圧をかけ続けます。病棟でも、動脈血採血や動脈ラインの抜去後は、静脈の穿刺部より強く、長めに圧迫して止血を確認します。

直接圧迫と組み合わせて行うのが、出血部位を心臓より高く保つ挙上です。出血部位を心臓より高くすると、重力の影響でその部位の血管内圧が下がり、傷口から血液を押し出す力が弱まります。静脈還流も促されるため、うっ血による出血も減ります。ただし、挙上だけで動脈性出血が止まるわけではなく、あくまで直接圧迫の補助です。骨折が疑われるなど、動かすと損傷や痛みを悪化させるおそれがある場合は、無理に挙上しません。

止血帯法の注意点

直接圧迫をしても止まらない大量の四肢出血では、止血帯法を用います。主な注意点は次のとおりです。

  • 幅:3cm以上の帯状の布、または専用の止血帯を使います。細いひもや針金は皮膚や神経に食い込み、損傷を起こします。
  • 位置:傷口より心臓に近い側に巻きます。
  • 締め方:出血が止まるまで確実に締めます。
  • 記録:装着時刻を記録し、医師に確実に引き継ぎます。

止血帯を緩く締めると、壁が薄く内圧の低い静脈だけがつぶれ、動脈からの血液の流入は続きます。流入は続くのに流出だけが妨げられるため、止血帯より末梢がうっ血します。すると傷口の静脈圧が上がり、出血がかえって増えます。採血のときの駆血帯は、この状態をあえてつくって静脈を怒張させるものです。止血帯では「中途半端な締め方は逆効果」と覚えておきます。

一方、止血帯より末梢の組織は、血流が完全に途絶えた状態になります。長時間続くと、筋の壊死や神経麻痺が起こります。解除したときには、壊れた筋細胞からカリウムやミオグロビンが全身に流れ込みます。その結果、再灌流障害(高カリウム血症、急性腎障害など)を起こす危険もあります。途中で緩めるかどうかは、指導体系によって扱いが異なります。一定時間ごとに緩めて血流を再開させる方法が教えられてきました。一方で、緩めると再出血を招くため、医療者に引き継ぐまで緩めないとする考え方もあります。どの立場でも、装着時刻を明記し、できるだけ短時間で根本的な止血につなぐことが共通の原則です。

以上のように、選択肢2・3は止血帯の幅と使用時間、選択肢4は圧迫の強さについて、止血の原則に反しています。適切なのは、挙上を述べた選択肢1です。

選択肢の確認

1.出血部位を心臓より高く保つ。:正答。出血部位を心臓より高くすると、重力の影響でその部位の血管内圧が下がり、静脈還流も促されるため、出血量を減らせます。直接圧迫と組み合わせて行う基本の止血法です。ただし挙上だけで止血できるわけではなく、骨折が疑われる場合などは無理に行いません。

2.止血帯は幅1cm未満を用いる。:幅の狭い止血帯は、圧が細い線状に集中して皮膚や神経、筋に食い込みます。そのため、組織損傷や神経麻痺の原因になります。また、幅が狭いほど、確実に血流を遮断するには強く締める必要があり、局所の障害がさらに起こりやすくなります。止血帯には幅3cm以上の帯状の布か専用の器具を用い、細いひもや針金、ロープは使いません。

3.止血帯は連続して4時間使用する。:止血帯より末梢の組織は完全な虚血状態になるため、4時間にわたって連続して使うと、筋の壊死や神経障害を起こす危険が高くなります。解除時にはカリウムやミオグロビンが流れ出し、再灌流障害を招く危険も高まります。止血帯を使うときは装着時刻を記録し、できるだけ短時間で医療機関での根本的な止血につなげます。長時間の連続使用を前提とする方法は適切ではありません。

4.出血部位を動脈圧より低い圧で圧迫する。:動脈は血管内圧が高いため、動脈圧を上回る圧をかけなければ、傷口からの血液の流出を止められません。動脈圧より低い圧で押さえると、押さえないときより出血は減るものの、止まりきらずに続きます。動脈性出血では、動脈圧を上回る十分な圧で圧迫し続けます。なお、「静脈だけがつぶれて出血がかえって増える」のは、傷より心臓側を全周性に緩く締めた止血帯で起こる現象です。傷口を直接押さえる場合とは区別して理解します。

覚えるポイント

  • 動脈性出血は鮮紅色で拍動に合わせて噴き出し、静脈性出血は暗赤色で持続的に流れ出ます。緊急性が最も高いのは動脈性出血です。
  • 止血の第一選択は直接圧迫止血法です。出血部位を心臓より高く保つ挙上は、その補助として併用します。
  • 動脈性出血の圧迫は、動脈圧を上回る強さで行います。動脈圧より低い圧では、出血は減っても止まりきりません。
  • 止血帯は直接圧迫で止まらない場合に使い、幅3cm以上のものを傷口より心臓側に巻きます。緩く締めると静脈だけが閉塞し、かえって出血が増えるため、出血が止まるまで確実に締めます。
  • 止血帯による長時間の血流遮断は、筋壊死、神経麻痺、再灌流障害(高カリウム血症、急性腎障害)を起こします。装着時刻を記録し、短時間で根本的な止血につなぎます。
  • 出血の初期は血圧が保たれやすく、頻脈、冷汗、皮膚の蒼白が先に現れます。血圧だけに頼らず、ショック指数(心拍数÷収縮期血圧)も目安にします。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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