111AM028|第111回 看護師国家試験 過去問

B細胞が抗原認識によって分化した抗体産生細胞はどれか。

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正解: 2

正答

2.形質細胞

この問題のポイント

抗原刺激を受けたB細胞が何に分化して抗体(免疫グロブリン)を産生するかを問う基礎問題です。手がかりは「B細胞」「分化」「抗体産生」の3語で、体液性免疫の流れ「B細胞 → 形質細胞 → 抗体」を知っていれば解けます。他の選択肢の免疫細胞がそれぞれ何を担当するかを区別できることも求められます。

解説

免疫のしくみの全体像

免疫には2つの種類があります。生まれつき備わっていて病原体にすばやく反応するのが自然免疫(好中球、マクロファージ、NK細胞など)です。特定の抗原を見分けて反応し、その記憶を残すのが獲得免疫です。獲得免疫は、抗体が主役となる体液性免疫と、T細胞が直接働く細胞性免疫に分けられます。本問は、体液性免疫の中心である抗体を「どの細胞がつくるのか」を問うています。

B細胞から形質細胞への分化

B細胞は骨髄で産生・成熟するリンパ球です。細胞表面に膜型の免疫グロブリン(B細胞受容体)を持ち、これで特定の抗原を認識します。抗原を認識したB細胞は、多くの場合、同じ抗原を認識したヘルパーT細胞(CD4陽性)からサイトカインなどの補助を受けて活性化し、増殖します。その後、次の2種類に分かれます。

  • 抗体を大量に分泌する形質細胞(プラズマ細胞)
  • 同じ抗原に再び出会ったとき、すばやく形質細胞に分化して抗体をつくる記憶B細胞

問題文の「抗原認識によって分化した」「抗体産生細胞」という2つの条件を満たすのは、形質細胞です。形質細胞は抗体の産生・分泌に特化した最終分化細胞です。タンパク質を大量に合成するため、細胞質の粗面小胞体がよく発達しています。核が細胞の片側に寄り、クロマチンが車軸状に見える(車軸核)のが形態上の特徴です。分泌された抗体は病原体や毒素に結合し、主に次のような働きで生体を守ります。

  • 中和:毒素やウイルスに結合して、その働きや細胞への侵入を抑えます。
  • オプソニン化:病原体を食細胞に貪食されやすくします。
  • 補体の活性化:抗原に結合した抗体が補体を活性化し、病原体の膜の破壊や、炎症・貪食の促進につなげます。

抗体の種類(一緒に問われやすい知識)

  • IgG:血中で最も多い抗体です。胎盤を通過して胎児・新生児を守ります。
  • IgM:感染の初期に最初につくられる、五量体の抗体です。
  • IgA:分泌型として粘膜面や母乳(特に初乳)に含まれます。
  • IgE:肥満細胞や好塩基球に結合し、即時型(Ⅰ型)アレルギーや寄生虫感染に関わります。
  • IgD:主にB細胞の表面に存在します。

臨床とのつながり

感染やワクチン接種によって、自分の体で抗体や記憶細胞をつくるのが能動免疫です。ワクチンは記憶B細胞や記憶T細胞をあらかじめつくらせます。これにより、実際に感染したときに速やかに大量の抗体が産生されます。一方、他者がつくった抗体を受け取るのが受動免疫です。胎盤を通過した母体のIgG、母乳中のIgA、免疫グロブリン製剤がこれにあたり、効果は一時的です。

また、形質細胞が腫瘍化する疾患が多発性骨髄腫です。腫瘍化した形質細胞(骨髄腫細胞)が骨髄で増殖し、1種類だけの抗体やその一部(M蛋白)を過剰に産生します。主な症状は、それぞれの原因と対応させて整理します。

  • 骨病変・高カルシウム血症:骨髄腫細胞が破骨細胞を活性化し、骨を溶かす(溶骨性病変)ことで起こります。骨痛や病的骨折の原因になります。
  • 貧血:骨髄腫細胞が骨髄に広がり、正常な造血が抑えられて起こります。
  • 腎障害:M蛋白のうち遊離した軽鎖(ベンス・ジョーンズ蛋白)が尿細管を傷害することなどで起こります。
  • 易感染性:正常な形質細胞による抗体産生が抑えられ、正常な免疫グロブリンが減少して起こります。

看護では、病的骨折を防ぐ移動や体位変換の援助、感染予防、腎障害を防ぐための水分摂取の促しなどが重要になります。「形質細胞=抗体をつくる細胞」と理解しておくと、この病気の特徴も結びつけて理解できます。つまり、M蛋白が増える一方で、正常な抗体は減るということです。

選択肢の確認

1.マクロファージ:主に血液中の単球が組織へ移行して分化した貪食細胞で、自然免疫を担います。病原体・異物・死細胞を取り込んで処理し、その断片をMHCクラスⅡ分子にのせてヘルパー型のリンパ球に抗原提示します。IL-1やTNF-αなどのサイトカインを放出して炎症を起こす役割もあります。しかし、B細胞から分化する細胞ではなく、抗体も産生しません。肝臓のクッパー細胞や脳のミクログリアのように、組織ごとに固有の名称を持つものもあります。抗原提示は獲得免疫の「入り口」にあたる働きであり、抗体をつくる選択肢2と混同しないようにします。

2.形質細胞:正答。抗原を認識して活性化したB細胞が、最終的に分化した細胞です。発達した粗面小胞体で抗体を大量に合成・分泌し、体液性免疫の実働部隊となります。分化後は抗体の産生に専念するため、細胞表面の抗原受容体はほとんど失われます。

3.肥満細胞:IgEを介して即時型(Ⅰ型)アレルギーを起こす細胞です。マスト細胞とも呼ばれ、皮膚や、気道・消化管の粘膜などの組織に分布しています。細胞表面には受容体を介してIgEが結合しています。このIgEに抗原(アレルゲン)が結合すると、顆粒に蓄えていたヒスタミンなどを脱顆粒によって放出します。さらに、細胞膜のリン脂質に由来するアラキドン酸から、ロイコトリエンやプロスタグランジンなどを新たに合成して放出します。これらの化学伝達物質によって、蕁麻疹、気管支喘息、アナフィラキシーなどが起こります。IgEという抗体を「利用する」細胞であり、抗体をつくる細胞ではありません。名称は体脂肪の「肥満」とは無関係です。血液中で似た働きをするのは好塩基球です。

4.T細胞:胸腺で成熟するリンパ球で、細胞性免疫と免疫応答の調節を担います。ヘルパー型(CD4陽性)は、B細胞の抗体産生や食細胞の活性化を助けます。キラー型(細胞傷害性、CD8陽性)はウイルス感染細胞やがん細胞を直接破壊し、制御性のものは過剰な免疫反応を抑えます。ツベルクリン反応や接触皮膚炎などの遅延型(Ⅳ型)アレルギーも、この細胞が担います。B細胞とは別系統のリンパ球で、B細胞が分化してできる細胞ではありません。また、自ら抗体を産生することもありません。

覚えるポイント

  • 抗体を産生するのは形質細胞です。「B細胞 →(抗原認識+ヘルパーT細胞の補助)→ 形質細胞 → 抗体」の流れで覚えます。一部は記憶B細胞として残ることも押さえます。
  • B細胞は骨髄、T細胞は胸腺で成熟します。体液性免疫の中心はB細胞・形質細胞・抗体です。細胞性免疫の中心はT細胞(キラーT細胞や、マクロファージを活性化するヘルパーT細胞)です。
  • 細胞ごとの主な役割は次のとおりです。マクロファージは貪食と抗原提示、肥満細胞はIgEを介したヒスタミンなどの放出(Ⅰ型アレルギー)、キラーT細胞は感染細胞やがん細胞の破壊を担います。
  • 抗体の特徴は、IgGが血中最多で胎盤を通過、IgMが感染初期に最初につくられる五量体、IgAが粘膜・母乳、IgEがアレルギー・寄生虫感染です。
  • ワクチンは記憶細胞をつくらせる能動免疫です。胎盤を通過したIgGや母乳中のIgAは、一時的な受動免疫です。
  • 形質細胞の腫瘍化が多発性骨髄腫で、M蛋白の増加と正常な抗体の減少が同時に起こります。主な症状は骨病変・高カルシウム血症、貧血、腎障害、易感染性です。

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