111AM029|第111回 看護師国家試験 過去問
皮膚筋炎 dermatomyositis の皮膚症状はどれか。
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正解: 4
正答
4.ヘリオトロープ疹
この問題のポイント
膠原病に特徴的な皮膚症状を、疾患ごとに正しく結び付けられるかを問う問題です。皮膚筋炎はヘリオトロープ疹とゴットロン徴候、全身性エリテマトーデス(SLE)は蝶形紅斑とディスコイド疹、シェーグレン症候群は環状紅斑、という組み合わせを知っていれば確実に解けます。皮疹の名前と、それが出る部位や見た目も合わせて覚えることが大切です。
解説
皮膚筋炎とは
皮膚筋炎は、自己免疫の機序で骨格筋と皮膚に炎症が起こる疾患です。特発性炎症性ミオパチーに分類され、皮疹を伴わないものを多発性筋炎と呼びます。つまり、特徴的な皮疹があることが皮膚筋炎と多発性筋炎を分ける点です。
筋症状は、左右対称の近位筋(体幹に近い筋)の筋力低下です。しゃがんだ姿勢から立ち上がれない、階段を上りにくい、腕を上げて髪をとかせない、といった訴えとして現れます。検査では、筋の破壊を反映して血清**クレアチンキナーゼ(CK)**やアルドラーゼが上昇します。
皮膚筋炎の皮膚症状
- ヘリオトロープ疹:両側の上眼瞼を中心にみられる、むくみを伴う紫紅色の紅斑です。名前は紫色の花をつける植物ヘリオトロープに由来し、「まぶたが赤紫色に腫れぼったくなる」様子を表しています。
- ゴットロン徴候:手指の関節(MP関節・PIP関節など)の伸側(手の甲側)にみられる、角化を伴う紅斑や丘疹です。肘や膝の伸側にも出ることがあります。ヘリオトロープ疹と並び、皮膚筋炎の診断的価値が高い皮疹です。
- V徴候・ショール徴候:前胸部のV字型の紅斑や、肩から上背部にかけての紅斑です。いずれも日光が当たりやすい部位で、皮膚筋炎の皮疹は紫外線で悪化しやすいという特徴があります。
- そのほか、指の側面が硬く荒れる機械工の手(メカニックスハンド)や、爪の周囲の紅斑・爪上皮の出血点もみられます。
見落とせない合併症
- 間質性肺炎:生命予後を左右する重要な合併症です。筋症状がほとんどない無筋症性皮膚筋炎(抗MDA5抗体陽性例など)では、急速に進行する間質性肺炎を起こすことがあります。
- 悪性腫瘍:成人、特に高齢者では悪性腫瘍を合併する頻度が高く、診断時から腫瘍の検索が行われます。
- 嚥下障害:咽頭や食道上部の筋が障害されると、むせや誤嚥性肺炎の危険が高まります。
看護での活かし方
治療の中心は副腎皮質ステロイドで、免疫抑制薬を併用することもあります。看護では、ステロイドの副作用(感染症、高血糖、骨粗鬆症、ステロイド筋症など)の観察、紫外線を避ける生活指導、食事の姿勢や食形態の工夫による誤嚥予防、そして呼吸困難・乾いた咳・SpO₂低下など間質性肺炎の徴候の早期発見が重要です。筋力低下があるため、転倒予防と、病勢に合わせた段階的なリハビリテーションも欠かせません。「まぶたの紫紅色の腫れ」と「近位筋の筋力低下」という組み合わせに気づけると、臨床でも皮膚筋炎を疑うきっかけになります。
選択肢の確認
1.環状紅斑:環のように縁が盛り上がった紅斑で、国家試験ではシェーグレン症候群に特徴的な皮疹として問われます。リウマチ熱でも、Jones基準の大症状の一つである輪状紅斑(辺縁性紅斑)として環状の紅斑がみられます。皮膚筋炎の代表的な皮疹ではないため、この問題では選びません。
2.蝶形紅斑:両頬から鼻背にかけて、蝶が羽を広げたような形で左右対称に広がる紅斑です。**全身性エリテマトーデス(SLE)**に特徴的な皮疹で、鼻唇溝は避けて出ることが多く、日光で悪化します。「顔の紅斑」という点で皮膚筋炎のヘリオトロープ疹と混同しやすいので、部位(頬・鼻か、上眼瞼か)と色調(紅色か、紫紅色か)で区別します。
3.ディスコイド疹:境界がはっきりした円板状(コイン状)の紅斑で、表面の鱗屑や毛孔の角栓を伴い、治ると中心が萎縮して瘢痕や色素の変化を残します。顔面・耳介・頭部に好発し、頭部では瘢痕性の脱毛の原因になります。皮膚に限局する円板状エリテマトーデスやSLEでみられる皮疹で、皮膚筋炎の皮疹ではありません。
4.ヘリオトロープ疹:正答。上眼瞼を中心とした、むくみを伴う紫紅色の紅斑で、ゴットロン徴候とともに皮膚筋炎に特徴的な皮膚症状です。皮疹の有無が多発性筋炎との区別点になるほど、皮膚筋炎の診断に重要な所見です。
覚えるポイント
- 皮膚筋炎の代表的な皮疹はヘリオトロープ疹(上眼瞼の浮腫性紫紅色紅斑)とゴットロン徴候(手指関節伸側の角化性紅斑)です。V徴候・ショール徴候・機械工の手も皮膚筋炎の所見です。
- SLEは蝶形紅斑とディスコイド疹、シェーグレン症候群は環状紅斑、と疾患と皮疹を対にして覚えます。
- 皮膚筋炎の筋症状は左右対称の近位筋の筋力低下で、血清CKが上昇します。皮疹がないものは多発性筋炎です。
- 皮膚筋炎の重要な合併症は間質性肺炎(無筋症性では急速進行例に注意)、悪性腫瘍(成人・高齢者)、嚥下障害による誤嚥です。
- 皮膚筋炎もSLEも皮疹は紫外線で悪化するため、遮光の生活指導が看護の共通項目になります。
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