111AM030|第111回 看護師国家試験 過去問
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉における介護休業の取得で正しいのはどれか。
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正解: 3
正答
3.要介護状態にある配偶者を介護するために取得できる。
この問題のポイント
育児・介護休業法の介護休業について、対象となる家族の範囲、取得できる日数、分割取得の可否、取得の目的を問う問題です。「対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割できる」という数字と、休業の目的が「要介護状態にある対象家族の介護」であることを押さえていれば選択肢を絞り込めます。正答の決め手は、配偶者が対象家族に含まれることです。
解説
介護休業の対象と要件
育児・介護休業法は、育児や家族の介護を担う労働者が仕事と家庭を両立できるよう支援し、介護離職などを防ぐための法律です。介護休業は、労働者が事業主に申し出ることで、要介護状態にある対象家族を介護するために取得できる休業です。法律上の要件を満たす申出を、事業主は一定の場合を除いて拒めません。また、申出や取得を理由とする解雇などの不利益な取扱いは禁止されています。
- 要介護状態:負傷、疾病、または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。介護保険の要介護認定を受けていることは必須条件ではありません。
- 対象家族:配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。祖父母・兄弟姉妹・孫にはかつて同居・扶養の要件がありましたが、2017年1月施行の改正で撤廃されました。出題当時もこの要件はありません。
日数と分割取得
介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割して取得できます。2017年1月施行の改正前は原則として1回しか取得できませんでしたが、改正で分割取得が可能になり、出題当時もこの内容です。申出は、原則として休業開始予定日の2週間前までに行います。
93日という期間は、労働者がその間ずっと自分で介護し続けることを想定したものではありません。介護保険サービスの利用手続き、ケアマネジャーとの調整、施設探しなど、仕事と介護を両立できる体制を整えるための期間と位置づけられています。分割取得が認められたのも、介護の始まり、状態が変化したとき、終末期など、必要な時期ごとに休めるようにするためです。
関連する両立支援制度
- 介護休暇:対象家族1人につき年5日、2人以上なら年10日まで取得できます。通院の付き添いや介護サービスの手続きなど、短期的な用事に使う制度です。2021年1月からは時間単位で取得できます。
- 労働時間に関する制度:所定外労働の制限(残業の免除)、時間外労働の制限(月24時間・年150時間まで)、深夜業の制限があります。
- 所定労働時間の短縮等の措置:事業主は、短時間勤務、フレックスタイム制、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、介護サービス費用の助成のいずれかを講じます。どの措置も、利用開始の日から連続する3年以上の期間利用できるようにする必要があります。さらに、介護サービス費用の助成を除く3つの措置は、その期間内に2回以上利用できるようにしなければなりません。
- 介護休業給付金:雇用保険の被保険者が一定の要件を満たすと、休業開始時賃金日額×支給日数×67%が支給されます。これは雇用保険法による給付で、育児・介護休業法による給付ではありません。
出題後の2025年4月施行の改正では、次のような見直しが行われました。
- 介護に直面した旨を申し出た労働者に対し、事業主が両立支援制度を個別に周知し、利用の意向を確認することの義務化
- 継続雇用6か月未満の労働者を労使協定で介護休暇の対象から除外できる仕組みの廃止
ただし、介護休業の日数、分割回数、対象家族の範囲は変わっていません。
看護の場面での活用
看護師は、退院支援で家族の介護体制を検討する場面や、仕事を続けながら介護を担う家族を支える場面でこの知識を使います。家族が介護離職を考えているときは、次のような支援ができます。
- 介護休業を使って介護体制を整えられることを伝える
- 介護休暇や短時間勤務と組み合わせて使えることを伝える
- 医療ソーシャルワーカー、地域包括支援センター、ケアマネジャーにつなぐ
看護職自身の働き方を考えるうえでも必要な知識です。
選択肢の確認
1.介護休業は分割して取得することはできない。:介護休業は対象家族1人につき3回を上限として分割して取得できるため、「分割できない」とする記述は誤りです。2017年1月施行の改正前は原則1回の取得でしたが、出題当時はすでに分割取得が認められていました。介護の開始時や状態の変化時など、必要な時期に分けて休めるようにするための仕組みです。
2.介護の対象者1人につき半年を限度に取得できる。:取得できる日数の上限は対象家族1人につき通算93日(約3か月)で、半年を限度とする規定はないため誤りです。「1人につき」という単位は正しいので、日数の部分だけを取り違えないよう注意します。育児休業の「原則として子が1歳まで」など、他の休業制度の期間と混同しないことも大切です。
3.要介護状態にある配偶者を介護するために取得できる。:正答。配偶者は対象家族に含まれ、事実婚の配偶者も対象になります。配偶者が負傷や疾病などにより2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にあれば、その介護のために介護休業を取得できます。要介護認定を受けているかどうかは問われません。
4.介護老人福祉施設に入所している家族の面会のために取得できる。:介護休業の目的は要介護状態にある対象家族の介護や、介護のための体制づくりです。家族に会いに行く面会は介護そのものではないため、この目的では取得できません。この選択肢は「面会のために」という取得目的の部分が誤りの鍵です。介護保険サービスの手続きや両立のための体制を整える目的とは区別して考えます。
覚えるポイント
- 介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割して取得できます。申出は原則として休業開始予定日の2週間前までです。
- 要介護状態とは「2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態」で、介護保険の要介護認定は必須ではありません。
- 対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。
- 介護休暇は対象家族1人につき年5日(2人以上で年10日)で、時間単位でも取得できます。
- 介護休業給付金は雇用保険から支給され、額は休業開始時賃金日額×支給日数×67%です。
- 介護休業は「自分が介護し続ける期間」ではなく「仕事と介護の両立体制を整える期間」と理解します。
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