111PM008|第111回 看護師国家試験 過去問

次の時期のうち基礎代謝量が最も多いのはどれか。

解答・解説を見る

正解: 1

正答

1.青年期

この問題のポイント

1日あたりの基礎代謝量が生涯でどう変化するかを問う問題です。基礎代謝量は体の大きさと、骨格筋を中心とした除脂肪量で決まります。体格がほぼ完成する思春期後半から青年期に最大となり、その後は加齢による筋肉量の減少とともに少なくなります。「体重1kgあたりの基礎代謝基準値」と「1日あたりの基礎代謝量(総量)」を区別できるかもよく問われます。

解説

基礎代謝量とは

基礎代謝量は、心臓の拍動、呼吸、体温の維持、臓器や細胞の活動など、生命を保つために最低限必要なエネルギー量です。食事・運動・精神的緊張の影響を除くため、次の条件で測定します。

  • 食後12時間以上たった早朝空腹時
  • 快適な室温
  • 安静仰臥位で、目が覚めている状態

睡眠中の代謝は基礎代謝よりやや低く、座位での安静時代謝はやや高くなります。1日の総エネルギー消費量のおよそ6割を基礎代謝が占めます。

基礎代謝量を左右する因子

  • 体格:体重や体表面積が大きいほど多くなります。
  • 除脂肪量、特に骨格筋量:筋肉は脂肪組織より代謝が活発です。男性の基礎代謝量が女性より多い主な理由です。
  • 年齢:成人以降は加齢とともに低下します。低下の主な原因は骨格筋量の減少です。
  • ホルモン:甲状腺ホルモンで亢進します。甲状腺機能亢進症では上昇し、低下症では低下します。
  • 体温:発熱で上昇し、体温1℃の上昇でおよそ13%増えるとされます。
  • その他:寒冷環境(日本では冬に高く夏に低い)や妊娠後半で増加します。

2つの指標を区別する

日本人の食事摂取基準では、基礎代謝量を「基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)×参照体重(kg)」で求めます。

  • 基礎代謝基準値(体重1kgあたり)は、男女とも1〜2歳が最も高く、年齢とともに下がります。乳幼児は体重に占める脳や内臓の割合が大きいためです。
  • 1日あたりの基礎代謝量(総量)は、体が大きくなるにつれて増えます。出題当時の日本人の食事摂取基準(2020年版)の参照値では、男性は15〜17歳、女性は12〜14歳で最大です。成人後はしばらく大きく変わらないか緩やかに減り、高齢期にはっきり少なくなります。

「基礎代謝量が最も多い時期」は総量を問うているので、乳幼児期ではなく、ピークを含む時期を選びます。

発達段階の区分と正答の判断

区分は教科書によって多少異なりますが、おおむね次のとおりです。

  • 青年期:思春期から20代ごろ
  • 壮年期:30〜40代ごろ
  • 向老期:50代から60代前半ごろ(更年期と重なる、老年期への移行期)
  • 老年期:65歳以上

総量のピーク(男性15〜17歳、女性12〜14歳)を含むのは青年期です。以降の3つの時期はいずれもこのピークを上回らず、壮年期→向老期→老年期と進むにつれて低下が明確になります。したがって正答は青年期です。

看護実践とのつながり

中年期以降も若いころと同じ量を食べ続けると、消費が摂取に追いつかず、体重増加や内臓脂肪の蓄積(メタボリックシンドローム)につながります。高齢者はエネルギー必要量そのものは少なくなりますが、食欲や摂取量の低下から低栄養に陥りやすい状態です。低栄養が進むとサルコペニアが進み、それがさらに基礎代謝と活動量を下げて、フレイルの悪循環を招きます。

推定エネルギー必要量は「基礎代謝量×身体活動レベル」で見積もります。看護では、年齢と活動量に合った摂取量を考えることに加え、筋肉量を保つための運動と十分なたんぱく質摂取をあわせて支援します。

選択肢の確認

1.青年期:正答。体格がほぼ完成し、骨格筋量も多い時期です。1日あたりの基礎代謝量の最大値(2020年版の参照値で男性15〜17歳、女性12〜14歳)は、この時期に含まれます。「体重1kgあたり」で問われた場合は1〜2歳が最も高いので、問われている指標を必ず確認します。

2.壮年期:体格が完成していて、成人の中では基礎代謝量が比較的保たれる時期ですが、総量は選択肢1の時期のピークを上回りません。参照体重は男性ではこの年代が最も重いため、総量も最大と考えがちです。しかし体重増加の主体は体脂肪で、代謝の活発な筋肉が増えるわけではありません。運動習慣が減ると筋肉量が減り始めます。

3.向老期:加齢による骨格筋量の減少が目立ち始め、基礎代謝量は選択肢1・2の時期より少なくなります。更年期と重なり、身体活動量も落ちやすいため、食事量が変わらないと内臓脂肪がたまりやすくなります。生活習慣病予防の観点で重要な時期です。

4.老年期:サルコペニアなどで骨格筋量の減少が最も進んでおり、基礎代謝量は4つの中で最も少ない時期です。体重1kgあたりの基準値は成人期から大きくは下がらないため、総量の減少は主に体重と除脂肪量の減少によるものです。必要エネルギー量は少なくなりますが、摂取量の低下による低栄養にはむしろ注意が必要です。

覚えるポイント

  • 基礎代謝量は生命維持に必要な最小限のエネルギーです。早朝空腹時(食後12時間以上)・快適な室温・安静仰臥位・覚醒状態で測定します。
  • 体重1kgあたりの基礎代謝基準値は1〜2歳が最高です。1日あたりの**基礎代謝量(総量)**は思春期後半〜青年期(2020年版で男性15〜17歳、女性12〜14歳)が最大です。
  • 基礎代謝量=基礎代謝基準値×参照体重です。推定エネルギー必要量=基礎代謝量×身体活動レベルです。
  • 基礎代謝を上げる因子は、筋肉量が多いこと、男性、甲状腺ホルモン、発熱、寒冷、妊娠後半です。下げる因子は、加齢、甲状腺機能低下、睡眠です。
  • 加齢による低下の主な原因は骨格筋量の減少です。中年期以降は過剰摂取による肥満に、高齢期は低栄養とサルコペニアに注意します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。

関連問題

← 111PM007111PM009 →
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)