111PM007|第111回 看護師国家試験 過去問

ハヴィガースト, R. J. Havighurst, R. J. の発達課題で善悪の区別を学習するのはどれか。

解答・解説を見る

正解: 1

正答

1.乳幼児期

必修問題として妥当でないと判断され、正解した受験者のみを採点対象とする取扱いになった問題です(公式正答は有効です)。

この問題のポイント

ハヴィガーストが示した6つの発達段階と、それぞれの代表的な発達課題の対応を問う問題です。手がかりは「善悪の区別を学習する」という言葉です。ハヴィガーストはこれを、しつけを通して良心が芽ばえる乳幼児期の課題に挙げています。道徳性に関する課題は、児童期の「良心・道徳性・価値の尺度の発達」、青年期の「価値観・倫理体系の獲得」へと段階的に深まるので、この流れで整理すると各時期を区別できます。

解説

ハヴィガーストの発達課題とは

ハヴィガースト(Havighurst, R. J.)は、人が健全に成長するために各時期に達成すべき課題を「発達課題」と呼びました。課題は次の3つから生じるとされます。

  • 身体の成熟
  • 社会(文化)からの要請
  • 本人の価値観や願望

ある時期の課題を達成すると、幸福とその後の課題の達成につながります。達成できないと、本人の不幸や社会からの不承認を招き、後の課題の達成も難しくなると説明されています。人生を乳幼児期、児童期、青年期、壮年初期、中年期、老年期の6段階に分け、各段階の課題を具体的に列挙した点が特徴です。エリクソンは「勤勉性対劣等感」のように、対になる心理社会的危機で各段階を表しました。ハヴィガーストとは表現の形式が異なります。

各段階の主な課題

  • 乳幼児期:歩行、固形食をとること、話すこと、排泄の統制の学習、性の違いと性の慎みの学習、社会や事物についての単純な概念の形成、両親・きょうだい・他人との情緒的な結びつき、善悪の区別の学習と良心の発達
  • 児童期:遊びに必要な身体的技能、同年代の友達と仲良くすること、男女の社会的役割の学習、読み・書き・計算の基礎的技能、日常生活に必要な概念、良心・道徳性・価値の尺度の発達、人格の独立性の達成
  • 青年期:同年代の男女との成熟した関係、自己の身体の受容、両親からの情緒的独立、職業の選択と準備、結婚と家庭生活の準備、社会的に責任ある行動、行動の指針としての価値観・倫理体系の獲得
  • 壮年初期:配偶者の選択、配偶者との生活の学習、家庭をもち子どもを育てること、職業に就くこと、市民としての責任を負うこと
  • 中年期:大人としての市民的・社会的責任の達成、経済的生活水準の確立と維持、10代の子どもの自立への援助、余暇活動の充実、生理的変化の受容、年老いた両親への適応
  • 老年期:体力と健康の衰えへの適応、引退と収入減少への適応、配偶者の死への適応、同年代の人々との関係の確立

正答に至る判断

道徳性に関わる課題は3つの段階にまたがっています。

  • 乳幼児期:親のしつけを通して「してよいこと」と「いけないこと」を区別できるようになり、良心が芽ばえます。
  • 児童期:それを土台に、学校や友人との集団生活の中で規則の意味を理解し、道徳性を育てます。
  • 青年期:自分の行動を方向づける価値観や倫理体系を自ら築きます。

「区別を学習する」という最も基礎的な段階にあたるのは、乳幼児期です。児童期にも道徳性の課題があります。「善悪の区別の学習」と「良心・道徳性・価値の尺度の発達」という言葉の違いで見分けられるようにしておきましょう。

なお本問は、必修問題として妥当でないと判断されました。そのため、正解した受験者は採点対象に含め、不正解の受験者は採点対象から除外する取扱いになりました。公式正答は1のままです。

実践とのつながり

小児看護では、以下のような場面で発達課題の視点が役立ちます。

  • 基本的生活習慣(食事、睡眠、排泄、着脱衣、清潔)の自立を評価するとき
  • 入院中の幼児のしつけや、きょうだい関係に配慮するとき

基本的生活習慣のうち、ハヴィガーストの乳幼児期の課題と重なるのは食事(固形食)と排泄の統制です。歩行は運動機能の発達、話すことは言語の発達にあたり、基本的生活習慣には含まれません。区別しておきましょう。

成人・老年看護でも、患者がどの課題に直面しているかをとらえると、生活背景を理解しやすくなります。たとえば中年期の患者なら、老親の介護や子の自立が関係しているかもしれません。道徳性の発達を段階で説明した理論には、コールバーグの3水準(前慣習的・慣習的・後慣習的)もあります。ハヴィガーストの発達課題とは別の理論として整理しておくと、混同を防げます。

選択肢の確認

1.乳幼児期:正答。ハヴィガーストは、この時期の課題として、歩行、固形食をとること、話すこと、排泄の統制の学習などと並んで、善悪の区別の学習と良心の発達を挙げています。親のしつけを通して、してよいことと悪いことを見分けられるようになり、良心が芽ばえる段階にあたります。

2.児童期:この時期の道徳面の課題は「良心・道徳性・価値の尺度の発達」です。選択肢1の時期に学んだ善悪の区別を土台に、学校生活や集団遊びを通して規則の意味を理解し、道徳性を深めていきます。道徳性に関わる課題を含むため最も取り違えやすい選択肢ですが、「区別を学習する」出発点ではありません。設問が「良心・道徳性・価値の尺度を発達させる」であれば、この時期が正答になります。ほかに、読み・書き・計算の基礎的技能、同年代の友達と仲良くすることなどが代表的な課題です。

3.青年期:道徳面の課題は「行動の指針としての価値観や倫理体系の獲得」と「社会的に責任のある行動」です。善悪を区別する段階を超えて、自分なりの価値基準を確立していく時期です。「価値観」「倫理体系」という言葉があれば、この時期と判断できます。ほかに、両親からの情緒的独立、職業の選択と準備、自己の身体の受容などが挙げられています。

4.中年期:社会人・家庭人としての責任を果たす時期で、善悪の区別の学習は課題に含まれていません。主な課題は、市民的・社会的責任の達成、経済的生活水準の確立と維持、10代の子どもの自立への援助、この時期の生理的変化の受容、年老いた両親への適応などです。子どもを育てること自体は壮年初期の課題です。この時期は、10代の子どもが責任ある幸福な大人になるよう援助する段階にあたる点も区別しておきましょう。

覚えるポイント

  • ハヴィガーストは人生を6段階(乳幼児期・児童期・青年期・壮年初期・中年期・老年期)に分け、各段階で達成すべき課題を具体的に列挙しました。
  • 道徳性の流れは、乳幼児期「善悪の区別の学習・良心の発達」→児童期「良心・道徳性・価値の尺度の発達」→青年期「価値観・倫理体系の獲得」です。
  • 乳幼児期のキーワードは、歩行、固形食、話す、排泄の統制、性の違い、善悪の区別です。
  • 児童期は読み書き計算・友達と仲良く・人格の独立、青年期は親からの情緒的独立・職業選択・身体の受容がキーワードです。
  • 壮年初期は配偶者の選択・子育て・就職、中年期は社会的責任・経済的水準・10代の子の自立支援・年老いた両親への適応、老年期は体力低下・引退・配偶者の死への適応がキーワードです。
  • エリクソンは「対」の形の心理社会的危機(学童期:勤勉性対劣等感、青年期:同一性対同一性拡散)で表すため、表現形式でハヴィガーストと見分けられます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。

関連問題

← 111PM006111PM008 →
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)