111PM006|第111回 看護師国家試験 過去問

フィンク, S. L. Fink, S. L. の危機モデルで第2段階はどれか。

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正解: 4

正答

4.防御的退行

この問題のポイント

フィンクの危機モデルの4段階の順序を問う知識問題です。「衝撃→防御的退行→承認→適応」という順序を、各段階で患者に起きていることや看護師の関わり方と結びつけて覚えておくと、確実に解けます。キューブラー・ロスやコーンなど、ほかの受容過程モデルと混同しないことも大切です。

解説

フィンクの危機モデルとは

フィンク(Fink, S. L.)の危機モデルは、外傷性の脊髄損傷によって突然重い障害を負った人々の観察をもとに提唱されました。危機に陥った人がそこから立ち直り、新しい自己を築いていくまでの過程を4段階で表しています。

このモデルは、マズローの欲求階層の考え方を取り入れている点が特徴です。前半の2段階は安全を求める欲求が中心の時期、後半の2段階は成長を求める欲求が中心の時期と位置づけられています。そのため、看護の目標も段階が進むにつれて「安全の保証」から「成長の促進」へと移っていきます。

4つの段階

  • 第1段階 衝撃:危機を引き起こす出来事に直面した直後の時期です。自分の存在が脅かされていると感じ、強い不安、パニック、無力感に襲われます。思考が混乱し、状況を理解したり計画を立てたりすることができません。看護では、そばに付き添い、温かく誠実な態度で接して、身体的・心理的な安全を確保することが中心になります。
  • 第2段階 防御的退行:現実があまりに脅威的であるため、以前の自分にしがみついて身を守ろうとする時期です。否認、逃避、抑圧、願望思考(「すぐに元どおり歩けるようになる」など)が働きます。表面上は無関心に見えたり、楽観的・多幸的に見えたりすることがあり、現実を突きつけられると怒りを示すこともあります。この防衛は心が崩れるのを防ぐ役割を果たしています。そのため、無理に現実に直面させず、防衛を受け止めて安全を保証し、見守ることが求められます。
  • 第3段階 承認:防衛しきれなくなり、変化した現実を認めていく時期です。喪失を実感し、深い悲しみ、抑うつ、強い不安を経験し、自己評価も低下します。自殺の危険にも注意が必要です。看護では、誠実な情報提供によって現実に向き合う過程を支えながら、十分な情緒的支援を行います。
  • 第4段階 適応:現実を踏まえて新しい自己像や価値観を築き、建設的に対処していく時期です。不安は次第に軽くなり、満足感が増していきます。看護では、現実的な目標設定、リハビリテーションの継続、社会資源の活用などを通して成長を促します。

正答に至る判断

第1段階は衝撃、第2段階は防御的退行です。したがって正答は選択肢4です。承認は第3段階、適応は第4段階にあたります。

実践でどう生きるか

これらの段階は、必ずしも一方向に順調に進むとは限らず、行きつ戻りつすることがあります。臨床では、患者の言動がどの段階にあたるかをアセスメントし、段階に合った関わりを選ぶために使います。

たとえば、防御的退行の時期にある患者に障害の現実を繰り返し説明して受け入れさせようとすると、かえって不安を強めるおそれがあります。一方、承認の時期に抑うつ状態にある患者には、悲しみを表出できる場をつくり、自殺のサインを見逃さないことが重要です。

混同しやすい他のモデル

  • キューブラー・ロス:死にゆく人の心理過程を示したモデルで、否認→怒り→取引→抑うつ→受容の5段階です。
  • コーン(Cohn, N.):障害受容の過程を示したモデルで、ショック→回復への期待→悲嘆→防衛→適応の順です。「防衛」が第4段階に位置する点が、フィンクと異なります。
  • アギュララ(Aguilera, D. C.):段階モデルではなく、問題解決型の危機モデルです。出来事の知覚、社会的支持、対処機制という3つのバランス保持要因の有無によって、危機に陥るかどうかが決まると考えます。

選択肢の確認

1.衝撃:危機的な出来事に直面した直後の第1段階です。強い不安、パニック、思考の混乱が生じ、状況の理解や判断ができない時期であり、第2段階ではありません。「ショックの直後から否認が始まる」というイメージで両者をまとめて考えがちですが、フィンクのモデルでは否認や逃避は次の第2段階の特徴として区別されています。

2.承認:変化した現実を認め、喪失による深い悲しみや抑うつ、自己評価の低下を経験する第3段階にあたるため、第2段階ではありません。第2段階の否認・逃避を経て、防衛しきれなくなってから訪れる時期です。自殺の危険に注意が必要な段階であることも、あわせて問われやすい点です。

3.適応:新しい自己像を築き、現実的な目標に向かって建設的に対処していく最終の第4段階にあたるため、第2段階ではありません。「適応」という語はコーンの障害受容モデルでも最終段階として使われるので、どちらのモデルでも最後に位置する語として覚えておくと整理しやすくなります。

4.防御的退行:正答。脅威的な現実から自己を守るため、否認、逃避、抑圧、願望思考などが働く第2段階です。無関心や楽観的な態度に見えることがありますが、これは防衛の表れです。安全のニードが中心の時期なので、無理に現実へ直面させず、安全を保証して見守ることが看護の基本になります。

覚えるポイント

  • フィンクの危機モデルは、脊髄損傷者の観察から生まれた4段階モデルで、順序は衝撃→防御的退行→承認→適応です。
  • 前半2段階(衝撃・防御的退行)は安全のニードが中心で、看護は安全の保証と見守りです。後半2段階(承認・適応)は成長のニードが中心で、看護は現実への直面を支え、成長を促すことです。
  • 防御的退行では否認・逃避・願望思考がみられます。無理な直面化は避けます。
  • 承認では抑うつや悲嘆が強まるため、自殺の危険に注意します。
  • 他モデルとの区別:キューブラー・ロスは「否認→怒り→取引→抑うつ→受容」、コーンは「ショック→回復への期待→悲嘆→防衛→適応」、アギュララは3つのバランス保持要因に着目した問題解決型モデルです。

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