112AM008|第112回 看護師国家試験 過去問

ハヴィガースト, R. J. Havighust, R. J. が提唱する成人期の発達課題はどれか。

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正解: 1

正答

1.経済的に自立する。

この問題のポイント

ハヴィガーストが示した6つの発達段階と、それぞれの代表的な発達課題を区別できるかを問う問題です。4つの選択肢は、成人期、老年期、乳幼児期〜児童期、児童期の課題にそれぞれ対応しています。「職業に就いて経済的に自立し、家庭を築く」ことが成人期の中心的な課題だと押さえていれば、正答を選べます。

解説

発達課題とは

Havighurst, R. J. は、人が人生の各時期に達成すべき課題を発達課題と呼びました。発達課題は、次の3つから生じるとされています。

  • 身体の成熟
  • 社会(文化)からの要請
  • 個人の価値観や願望

その時期に課題を達成できると、幸福感が得られ、次の時期の課題も達成しやすくなります。達成できないと、本人の不幸や社会からの否認につながり、その後の課題の達成も難しくなると考えられています。

6つの段階と代表的な課題

年齢はおおむねの目安です。

  • 乳幼児期(0〜6歳頃):歩く、固形食を食べる、話す、排泄を統制する、性の違いを知る、親やきょうだいと情緒的に結び付く、善悪を区別し良心を発達させ始める。
  • 児童期(6〜12歳頃):遊びに必要な身体技能、同年代の仲間と仲良くする、読み・書き・計算の基礎的技能、日常生活に必要な概念、良心・道徳性・価値の尺度の発達。
  • 青年期(12〜18歳頃):同年代の男女との新しい関係、自分の身体を受け入れる、親からの情緒的独立、職業の選択と準備、結婚と家庭生活の準備、行動の指針となる価値観や倫理体系の獲得。
  • 壮年初期(18〜30歳頃):配偶者の選択、配偶者との生活、家庭をもつ、子どもを育てる、家庭を管理する、職業に就く、市民としての責任を負う、気の合う社会集団を見つける。
  • 中年期(30〜60歳頃):市民的・社会的責任を果たす、一定の経済的生活水準を確立し維持する、10代の子どもが責任ある大人になるよう助ける、余暇活動を充実させる、配偶者と人として結び付く、中年期の生理的変化を受け入れて適応する、老いた親に適応する。
  • 老年期(60歳頃〜):体力と健康の衰退に適応する、引退と収入の減少に適応する、配偶者の死に適応する、同年代の人々と親密な関係を結ぶ、社会的・市民的義務を果たす、満足できる住まいを整える。

正答に至る考え方

「経済」に関わる課題は、段階ごとに次のようにつながっています。

  • 青年期:職業を選び、準備する段階
  • 壮年初期:実際に職業に就いて自分の収入で生活と家庭を営む
  • 中年期:その生活水準を確立して維持する
  • 老年期:引退と収入減少に適応する

したがって、「経済的に自立する」は成人期の課題にあたります。

一方で、身体の衰えへの適応は老年期の課題の筆頭に置かれています。乳幼児期〜児童期の課題である善悪の区別や、児童期の課題である読み・書き・計算は、明らかに子どもの時期の課題です。

臨床での意味

成人期の患者では、病気や長期療養によって、就労や経済的自立、家庭での役割が脅かされることがあります。発達課題の視点でアセスメントすると、疾患がその人の生活にどのような影響を与えているかを把握でき、治療と仕事の両立支援や社会資源の紹介につなげやすくなります。

なお、エリクソンの発達段階(成人期は「生殖性(世代性)対停滞」など、心理社会的危機で示す)とは別の理論です。理論名と内容を取り違えないようにしましょう。

選択肢の確認

1.経済的に自立する。:正答。職業に就いて自分の収入で生活と家庭を営むことは、壮年初期の課題です。これは、中年期の「一定の経済的生活水準を確立し維持する」へと続く成人期の中心的な課題です。青年期は職業の選択と準備の段階であり、実際に自立を果たすのが成人期、という流れで区別します。

2.身体的衰退を自覚する。:体力と健康の衰えに適応することは、ハヴィガーストが老年期の最初に挙げている課題です。中年期にも「生理的変化を受け入れて適応する」という課題がありますが、これは更年期などに起こる身体の変化を受け入れることを指します。衰退への適応を中心に据えるのは老年期です。成人期の課題を1つ選ぶ本問では、就労と経済的自立のほうが明確に成人期に対応します。

3.正、不正の区別がつく。:善悪の区別を学び、良心を発達させ始めることは乳幼児期の課題です。児童期には、それが良心・道徳性・価値の尺度の発達へと引き継がれます。いずれも子どもの時期の課題で、成人期の課題ではありません。青年期の「行動の指針となる価値観や倫理体系を身につける」と混同しないよう注意します。

4.読み、書き、計算ができる。:読み・書き・計算の基礎的技能を発達させることは、就学して系統的な学習が始まる児童期の課題です。同じ時期には、同年代の仲間と仲良くすることや、遊びに必要な身体技能を身につけることも挙げられています。学童期の子どもの課題として整理しておきます。

覚えるポイント

  • ハヴィガーストは、発達課題を乳幼児期・児童期・青年期・壮年初期・中年期・老年期の6段階で示しました。達成できると次の課題の達成につながり、失敗すると後の課題も困難になります。
  • 壮年初期の課題は、配偶者の選択、結婚生活、家庭をもち子どもを育てる、職業に就く、市民としての責任、気の合う社会集団です。
  • 中年期の課題は、社会的責任、経済的生活水準の確立と維持、10代の子どもの援助、余暇、配偶者との関係、生理的変化の受容、老親への適応です。
  • 老年期の課題は、体力・健康の衰退、引退と収入減少、配偶者の死への「適応」がキーワードです。
  • 子どもの時期は、乳幼児期が歩く・食べる・話す・排泄の統制・善悪の区別、児童期が読み・書き・計算・仲間づくり・良心と道徳性、青年期が親からの情緒的独立・職業と結婚の準備・価値観の獲得です。
  • 経済の課題は、青年期が準備、成人期が自立と維持、老年期が収入減少への適応、という流れで覚えます。

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