111PM014|第111回 看護師国家試験 過去問

細菌感染で起こるショックはどれか。

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正解: 2

正答

2.敗血症性ショック

この問題のポイント

ショックを原因(病態)ごとに分類し、それぞれの原因と結びつけられるかを問う問題です。手がかりは「細菌感染」という語です。感染に対する生体の反応が制御できなくなった状態が敗血症だと分かれば正答できます。4つの選択肢はいずれも代表的なショックの名称なので、原因と特徴的な所見をセットで覚えておくことが得点につながります。

解説

問題文が示す条件は「細菌感染で起こる」という原因だけです。選択肢はすべてショックの名称なので、ショックを病態で分類し、感染が循環不全の直接の原因となるものを選びます。

ショックの定義と分類

ショックは、急性の循環不全によって全身の組織・臓器への酸素供給が需要に追いつかなくなり、細胞の機能障害が生じた状態です。血圧低下だけでなく、頻脈、頻呼吸、意識の変容、尿量減少、皮膚の蒼白や冷汗などが現れます。古典的な徴候は「5P」(蒼白、虚脱、冷汗、脈拍触知不能、呼吸不全)として知られています。

ショックは、何が循環を破綻させているかという病態によって、次の4つに分類されます。

  • 循環血液量減少性:出血、脱水、広範囲熱傷による血漿喪失などで、血管内の血液量そのものが減ります。
  • 心原性:急性心筋梗塞、重症不整脈、心筋症、弁膜症などで、心臓のポンプ機能が低下します。
  • 心外閉塞・拘束性:心タンポナーデ、緊張性気胸、広範な肺血栓塞栓症など、心臓の外からの障害で拍出が妨げられます。
  • 血液分布異常性:血管が過度に拡張して血液が末梢に貯留し、有効な循環血液量が減ります。敗血症性、アナフィラキシー、神経原性(脊髄損傷など)が代表です。

敗血症性ショックの機序と特徴

敗血症は、2016年に示された国際定義(Sepsis-3)で「感染症に対する生体反応が調節不能となり、生命を脅かす臓器障害が生じた状態」とされています。真菌やウイルスでも起こりますが、原因として最も多いのは細菌です。

  • 引き金:グラム陰性菌の外膜成分であるエンドトキシン(リポ多糖)や、グラム陽性菌の産生する毒素などが、免疫細胞を強く刺激します。
  • 反応:その結果、TNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインや一酸化窒素が大量に産生されます。
  • 循環不全:末梢血管が拡張し、さらに血管透過性が亢進して血漿が血管外へ漏れ出るため、血圧を保てなくなります。

敗血症性ショックは、十分な輸液を行っても平均動脈圧65mmHg以上を保つために血管収縮薬が必要で、かつ血清乳酸値が2mmol/L(18mg/dL)を超える状態と定義されます。

初期には末梢血管が拡張し、心拍出量は保たれるかむしろ増加します。そのため、四肢が温かいウォームショックを示すことがあり、皮膚に冷感がないことで安心してはいけません。進行すると心機能の抑制や末梢循環不全が加わり、四肢が冷たく湿ったコールドショックへ移行します。播種性血管内凝固(DIC)や多臓器不全を合併しやすい点も重要です。

以上から、選択肢の中で細菌感染そのものが循環不全を直接引き起こすのは、敗血症性ショックです。

看護の実践で生きる視点

肺炎、尿路感染症、胆道感染症、術後の創部感染、カテーテル関連血流感染などがある患者に次のような変化が加わったら、敗血症を疑って医師に報告します。

  • 発熱、または逆に低体温
  • 呼吸数の増加
  • 意識の変化
  • 血圧低下

敗血症を疑うきっかけとなる指標として、qSOFAが知られています。呼吸数22回/分以上、意識の変容、収縮期血圧100mmHg以下のうち、2項目以上を満たすかどうかをみます。ただし、qSOFAを満たさなくても敗血症は否定できないため、経過や全身状態と合わせて判断します。

治療では次のことが行われます。

  • 抗菌薬投与前の血液培養(2セット)
  • 早期の抗菌薬投与
  • 初期輸液
  • 血管収縮薬(ノルアドレナリンが第一選択)

看護師は、バイタルサイン、意識、尿量、乳酸値の推移を継続して観察します。

選択肢の確認

1.心原性ショック:急性心筋梗塞、重症不整脈、心筋症、弁膜症などによって心臓のポンプ機能が低下し、心拍出量が減少して起こるショックで、原因は細菌感染ではありません。左心不全を伴うと、肺うっ血による呼吸困難や起座呼吸、湿性ラ音がみられます。右心系にも負荷が及んで中心静脈圧(右房圧)が上昇すると、頸静脈怒張がみられます。頸静脈怒張は体静脈うっ血を示す右心不全の徴候であり、左心不全の肺うっ血そのものから生じる所見ではありません。この所見は、頸静脈が虚脱する選択肢4との鑑別点にもなります。皮膚は代償性の血管収縮により冷たく湿っています。急速な輸液や下肢挙上で肺うっ血が悪化するおそれがある点が、他のショックと扱いの異なるところです。敗血症が進行して心機能が抑制される場合もありますが、原因が感染であれば選択肢2として扱います。

2.敗血症性ショック:正答。細菌などの感染に対する生体反応が調節不能となり、サイトカインなどの作用で末梢血管の拡張と血管透過性の亢進が起こる、血液分布異常性のショックです。感染そのものが循環不全の直接の原因であり、問題文の条件に合致します。十分な輸液を行っても血圧を維持できず血管収縮薬を要すること、初期には四肢が温かいことがあることが特徴です。

3.アナフィラキシーショック:薬剤、食物、ハチ毒などの抗原に対する、主にⅠ型アレルギー反応によって起こるショックで、原因は感染ではなくアレルギーです。IgE抗体を介して肥満細胞や好塩基球からヒスタミンなどが放出され、急激な血管拡張と透過性亢進が起こるため、選択肢2と同じ血液分布異常性に分類されます。じんま疹、喉頭浮腫による上気道閉塞、気管支攣縮による喘鳴が特徴で、治療の第一選択はアドレナリンの筋肉内注射です。細菌感染の治療中に投与した抗菌薬が引き金になることもありますが、その場合も原因は薬剤へのアレルギーであり、感染ではありません。

4.循環血液量減少性ショック:外傷や消化管出血による出血、嘔吐・下痢による脱水、広範囲熱傷による血漿の喪失などで、血管内の血液量そのものが減って起こるショックです。細菌性腸炎の激しい下痢で脱水になった場合はこの分類に入りますが、その直接の原因は体液の喪失であり、細菌感染そのものによるショックとはいえません。頸静脈は虚脱し、皮膚は蒼白で冷たく湿っています。出血量の推定にはショック指数(心拍数÷収縮期血圧)が用いられ、1以上ではショックを疑います。

覚えるポイント

  • ショックの4分類は次のとおりです。分類は、循環を破綻させている直接の病態で決まります。
  • 循環血液量減少性(出血・脱水・熱傷)、心原性(心筋梗塞・不整脈)、心外閉塞・拘束性(心タンポナーデ・緊張性気胸・肺塞栓)、血液分布異常性の4つです。
  • 血液分布異常性の代表は、敗血症性(感染)、アナフィラキシー(Ⅰ型アレルギー)、神経原性(脊髄損傷、徐脈を伴う)の3つです。いずれも血管拡張が主体で、皮膚が温かいことがあります。
  • 敗血症は「感染に対する調節不能な生体反応による臓器障害」です。敗血症性ショックは「輸液をしても平均動脈圧65mmHg以上の維持に血管収縮薬が必要、かつ乳酸値2mmol/L超」で定義されます。ウォームショックからコールドショックへ進行し、DICや多臓器不全を合併しやすいです。
  • 敗血症の初期対応は、抗菌薬投与前の血液培養2セット、早期の抗菌薬投与、輸液、ノルアドレナリンです。アナフィラキシーの第一選択はアドレナリン筋注です。
  • 頸静脈は、循環血液量減少性ショックでは虚脱し、心外閉塞・拘束性ショックや中心静脈圧が上昇した心原性ショックでは怒張します。頸静脈怒張・肝腫大・下腿浮腫は右心不全(体静脈うっ血)の徴候で、呼吸困難・起座呼吸・湿性ラ音・泡沫状痰は左心不全(肺うっ血)の徴候です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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