111PM030|第111回 看護師国家試験 過去問
診療報酬制度について正しいのはどれか。
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正解: 4
正答
4.厚生労働大臣の指定を受けた医療機関で利用できる。
この問題のポイント
診療報酬制度の基本を、改定の周期、支払いの流れ、支払い方式、保険診療を行える医療機関の4つの観点から確認する問題です。選択肢にある「3年に1回」「都道府県」「のみ」という語が判断の手がかりです。それぞれ介護報酬との混同、支払う主体の取り違え、包括払いの見落としを誘っています。保険診療は厚生労働大臣の指定を受けた保険医療機関で行われる、という原則を押さえていれば正答できます。
解説
診療報酬とは
診療報酬は、公的医療保険で行われた診療(保険診療)の対価として、保険医療機関や保険薬局に支払われる報酬です。診察、検査、処置、手術、入院などの価格は「診療報酬点数表」で点数として定められ、1点10円で計算します。医薬品の価格は薬価基準で定められています。診療報酬は保険診療の公定価格なので、同じ診療であれば全国どこの保険医療機関でも原則として同じ価格になります。
決め方と改定の周期
点数は、厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問し、その答申を踏まえて告示します。全体の改定率は予算編成の過程で内閣が決め、個々の点数の配分を中医協で審議する流れです。改定は原則2年に1回です。これに対して介護報酬の改定は3年に1回なので、両者が重なる6年に1回は同時改定になります。
費用の流れ
- 患者は保険医療機関で受診し、窓口で一部負担金を支払います。負担割合は年齢や所得に応じて1〜3割です。
- 医療機関は残りの費用を1か月ごとに診療報酬明細書(レセプト)にまとめ、審査支払機関に請求します。審査支払機関は、被用者保険では社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険と後期高齢者医療制度では国民健康保険団体連合会(国保連)です。
- 審査支払機関がレセプトの内容を審査したうえで保険者に請求し、保険者が負担する費用が審査支払機関を通じて医療機関に支払われます。
支払い方式
- 出来高払いは、実施した診療行為の点数を一つずつ積み上げる方式です。必要な医療を行いやすい一方で、検査や投薬が増えやすく、医療費が膨らみやすいという面があります。
- **包括払い(定額払い)**は、病名や患者の状態に応じてあらかじめ決められた額を支払う方式です。代表例は急性期入院医療で広く使われるDPC/PDPS(診断群分類に基づく1日当たり包括評価)です。入院料や検査・投薬・注射などを1日当たりの定額で包括し、手術・麻酔・リハビリテーションなどは出来高で算定します。医療の効率化や医療費の適正化につながる一方で、必要な医療が抑えられる(過少診療)おそれも指摘されています。療養病棟入院基本料のように、医療区分とADL区分に応じた包括評価もあります。
保険医療機関と保険医
保険診療を行うには、医療機関が厚生労働大臣の指定を受けて保険医療機関となる必要があります。そこで診療する医師も、厚生労働大臣の登録を受けた保険医でなければなりません。これを二重指定制と呼びます。実際の指定・登録の事務は地方厚生(支)局が行い、保険医療機関の指定は6年ごとの更新制です。指定を受けていない医療機関では保険診療はできず、全額自己負担の自由診療になります。薬局についても、保険薬局の指定と保険薬剤師の登録という同じ仕組みがあります。
看護実践とのつながり
入院基本料には、看護職員の配置数(急性期一般入院料1の7対1など)、重症度・医療・看護必要度、看護記録などが算定要件として組み込まれています。日々の看護記録や人員配置は、病院の収入を支える根拠にもなっています。
選択肢の確認
1.診療報酬の点数は3年に1回改定される。:診療報酬の改定は原則として2年に1回で、3年に1回なのは介護報酬の改定です。両者の周期の違いから、6年に1回は同時改定になります。出題当時は4月に施行されていましたが、2024年度(令和6年度)改定からは施行時期が6月(薬価改定は4月)に移されました。2年ごとという周期は現在も変わっていません。
2.診療報酬は都道府県が医療機関に支払う。:医療機関は審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金・国保連)にレセプトを提出して請求し、審査を経て保険者の負担分が支払われます。都道府県は病院の開設許可や医療計画の策定を担い、2018年度からは国民健康保険の財政運営の責任主体にもなっています。しかし、個々の診療報酬を医療機関へ直接支払う立場にはありません。
3.医療機関への支払いは出来高払いのみである。:支払い方式には出来高払いのほかに、DPC/PDPSに代表される包括払いがあり、急性期病院の入院医療で広く用いられています。DPC/PDPS自体も、包括部分と出来高部分を組み合わせた方式です。「のみ」と限定している点が誤りです。
4.厚生労働大臣の指定を受けた医療機関で利用できる。:正答。保険診療を行えるのは、健康保険法に基づき厚生労働大臣の指定を受けた保険医療機関で、診療する医師も保険医の登録が必要です。指定のない医療機関での診療は自由診療となり、診療報酬の対象になりません。
覚えるポイント
- 診療報酬は1点10円で、原則2年ごとに改定されます。中医協の答申を踏まえて厚生労働大臣が告示します。
- 介護報酬は原則3年ごとに改定され、1単位10円を基本に地域やサービスの種類で単価が調整されます。診療報酬との同時改定は6年に1回です。
- 費用の流れは、患者が一部負担金を支払い、医療機関がレセプトで審査支払機関(支払基金・国保連)に請求し、保険者が支払う、という順です。
- 出来高払いは行為ごとの積み上げで、過剰診療になりやすい面があります。包括払い(DPC/PDPSなど)は定額で、効率化に役立つ一方、過少診療の懸念があります。
- 保険医療機関の指定と保険医の登録はどちらも厚生労働大臣が行います(二重指定制、指定は6年更新)。病院の開設許可は都道府県知事が行うので、混同しないようにしましょう。
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