111PM055|第111回 看護師国家試験 過去問
退職した高齢者に就労機会を提供するのはどれか。
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正解: 1
正答
1.シルバー人材センター
この問題のポイント
高齢者の生活を支える地域の社会資源について、それぞれの根拠法・目的・活動内容を区別できるかを問う問題です。鍵になるのは「就労機会を提供する」という言葉です。仕事を引き受けて高齢者に提供することを事業の中心にしているのは、シルバー人材センターだけです。ほかの選択肢は、憩いと学びの場(老人福祉センター)、仲間づくりの自主組織(老人クラブ)、年齢を問わない地縁の住民組織(自治会)です。
解説
問題文の手がかりは「退職した高齢者」と「就労機会を提供する」の2点です。4つの選択肢はいずれも高齢者が参加・利用できる場ですが、「働く機会(仕事)を提供する」ことを本来の目的とする組織は1つに絞られます。
シルバー人材センターの特徴は次のとおりです。
- 根拠法:高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)です。
- 設置と運営:原則として市(区)町村ごとに1つ置かれ、都道府県知事の指定を受けた法人(多くは公益社団法人)が運営します。
- 会員:原則60歳以上で、健康で働く意欲のある人です。定年退職者などが中心です。
- 仕組み:地域の家庭・企業・公共団体から仕事を請負・委任の形で受注し、会員の希望や能力に応じて仕事を割り当てます。請負・委任の仕事では雇用関係を結ばず、会員は働いた実績に応じた配分金を受け取ります。職業紹介や派遣の形で就業の機会を提供することもあります。
- 仕事の内容:「臨時的かつ短期的」または「その他の軽易な業務」が対象です。除草・植木の手入れ、清掃、駐輪場の管理、施設の管理、家事援助、子育て支援などが代表例です。
- 目的:収入を得ることに加えて、生きがいの充実、社会参加、地域社会への貢献を目指します。
ほかの3つは、就労ではなく次のような役割を担っています。
- 老人福祉センター:老人福祉法に定める老人福祉施設の一つで、通って利用する施設です。無料または低額な料金で相談に応じ、健康の増進、教養の向上、レクリエーションの場を提供します。
- 老人クラブ:おおむね60歳以上の人が地域を基盤に自主的につくる団体です。生きがいづくり、健康づくり、社会奉仕活動を行います。
- 自治会(町内会):年齢を問わず、その地域の住民が加入する地縁の任意団体です。
周辺知識として、高齢者の就労を支える制度も押さえておきましょう。
- 高年齢者雇用安定法では、事業主が定年を定める場合は60歳を下回ってはならないとされています。
- 事業主には、65歳までの雇用確保措置(定年の引き上げ、継続雇用制度の導入、定年の廃止のいずれか)が義務づけられています。
- 2021年4月施行の改正で、70歳までの就業機会確保措置が事業主の努力義務になりました。出題当時(2022年2月)には、すでに施行されていました。
- フルタイムでの再就職など、雇用されて働く仕事を探す窓口は、国の職業紹介機関であるハローワーク(公共職業安定所)です。「臨時・短期・軽易」な仕事を地域で提供するシルバー人材センターとは役割が異なります。
看護の実践では、退職が役割の喪失、生活リズムの乱れ、社会的孤立のきっかけになりうることを理解しておく必要があります。社会参加を続けることは、フレイル、閉じこもり、抑うつの予防にもつながります。退院支援や地域の健康相談では、本人の希望に合わせて社会資源を紹介できることが求められます。目安は、「働きたい」ならシルバー人材センター、「仲間と交流したい」なら老人クラブ、「学びたい・くつろぎたい」なら老人福祉センターです。
選択肢の確認
1.シルバー人材センター:正答。高年齢者雇用安定法に基づき、地域の家庭・企業・公共団体から臨時的かつ短期的、または軽易な仕事を引き受け、原則60歳以上の会員に就業の機会として提供する組織です。会員は仕事の実績に応じた配分金を受け取り、収入とともに生きがいや社会とのつながりを得られます。「退職した高齢者に就労機会を提供する」という設問の条件にそのまま当てはまります。
2.老人福祉センター:老人福祉法に定める老人福祉施設の一つで、無料または低額な料金で各種の相談に応じ、健康の増進、教養の向上、レクリエーションのための便宜を総合的に提供する利用型の施設です。相談の一環として生業や就労について助言することはありますが、仕事そのものを受注して高齢者に割り当てる組織ではありません。高齢者が「通う場」であることから就労支援と混同しやすいため、目的の違いで区別します。
3.老人クラブ:地域を基盤として、おおむね60歳以上の人が自主的に組織する団体です。仲間づくり、健康づくり・介護予防、友愛訪問や地域の清掃などの社会奉仕活動を行います。老人福祉法では、地方公共団体が援助に努める対象とされています。社会参加の場という点は選択肢1と共通しますが、活動は会員の自主的な参加によるもので、報酬を伴う仕事の提供を目的とはしていません。
4.自治会:町内会とも呼ばれ、一定の区域に住む住民が年齢を問わず加入する地縁による任意の団体です。防災・防犯、環境美化、住民の親睦、行政からの情報伝達などを通じて地域の暮らしを支えます。地域の見守りや防災活動の担い手として保健活動で協力を得ることはありますが、高齢者に就労機会を提供する組織ではありません。
覚えるポイント
- 就労機会の提供はシルバー人材センターです。根拠法は高年齢者雇用安定法で、会員は原則60歳以上、仕事は臨時的・短期的または軽易なもの、請負・委任の仕事の対価は配分金です。
- 老人福祉センターは老人福祉法の老人福祉施設です。無料・低額で、相談、健康増進、教養向上、レクリエーションの場を提供します。
- 老人クラブは、おおむね60歳以上の人による自主組織です。生きがいづくり、健康づくり、社会奉仕活動を行います。
- **自治会(町内会)**は、年齢を問わない地縁の任意団体です。防災・防犯や住民の親睦を担います。
- 高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保措置が義務、70歳までの就業機会確保が努力義務(2021年4月施行)です。雇用されて働く仕事を探す窓口はハローワークです。
- 退職後の社会参加は、役割の維持やフレイル・閉じこもりの予防につながります。本人の希望(働く・交流する・学ぶ)に合う社会資源を紹介しましょう。
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