111PM063|第111回 看護師国家試験 過去問
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉について正しいのはどれか。
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正解: 2
正答
2.配偶者には事実上婚姻関係と同様の事情にある者が含まれる。
この問題のポイント
DV防止法の基本的な枠組みとして、「配偶者」の範囲、保護命令を出す機関、通報先、法の目的を区別できるかを問う問題です。誤りの選択肢は、似た役割をもつ別の機関や制度と取り違えさせる作りになっています。押さえる点は4つです。事実婚も配偶者に含まれること、保護命令を出すのは裁判所であること、通報先はセンターか警察官であること、目的は暴力の防止と被害者の保護であることです。
解説
法律の目的と「配偶者からの暴力」
DV防止法は2001年に制定されました。前文では、配偶者からの暴力を、犯罪となる行為も含む重大な人権侵害と位置づけています。そのうえで、通報・相談・保護・自立支援等の体制を整備し、配偶者からの暴力の防止と被害者の保護を図ることを制定の目的として掲げています。
「配偶者からの暴力」には次のものが含まれます。
- 身体に対する暴力
- これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(精神的暴力や性的暴力を含む)
- 離婚後も元配偶者から引き続き受ける暴力
「配偶者」の範囲
法律上の婚姻関係に加えて、**婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者(事実婚)**も配偶者に含まれます。事実婚を解消した場合も「離婚」と同じように扱われます。性別は問わないため、男性の被害者も対象です。
2013年の改正(2014年施行)で、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力にもこの法律が準用されるようになりました。法律名に「等」が加わったのはこのためです。一方、同居していない交際相手からの暴力(いわゆるデートDV)は対象外です。
保護命令は地方裁判所が発する
保護命令は、被害者の申立てに基づいて地方裁判所が発する命令です。種類には、接近禁止命令、退去命令、電話等禁止命令、子や親族等への接近禁止命令があり、違反すると刑事罰の対象になります。
- 出題当時の要件:身体に対する暴力または生命等に対する脅迫を受けた被害者が、さらなる身体的暴力によって生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと。
- 裁判所との関わり:被害者がセンターや警察に相談した事実は申立ての際に確認され、裁判所がその状況について書面の提出を求めることがあります。ただし、命令そのものを出すのは裁判所だけです。
- 現在の制度:2023年改正(2024年4月施行)で対象が広がりました。自由・名誉・財産に対する脅迫を受けた場合や、心身に重大な危害を受けるおそれがある場合も含まれます。接近禁止命令の期間も6か月から1年に延長されました。
配偶者暴力相談支援センターの役割
都道府県は、婦人相談所などの施設にセンターの機能をもたせます。市町村もセンターの機能を果たすよう努めるものとされています。センターの主な業務は次のとおりです。
- 相談、相談機関の紹介、カウンセリング
- 緊急時の安全確保と一時保護
- 自立生活の促進のための情報提供と援助
- 保護命令制度や保護施設の利用についての情報提供と援助
なお、婦人相談所は、2024年4月施行の困難な問題を抱える女性への支援に関する法律により、女性相談支援センターとなっています。
通報の規定と看護での実践
- 一般の人:配偶者からの身体に対する暴力を受けている人を発見した場合、配偶者暴力相談支援センターまたは警察官に通報するよう努めます(努力義務)。
- 医師その他の医療関係者:業務で暴力による負傷や疾病を認めた場合、通報することができます。その際は本人の意思を尊重するよう努めます。
- 守秘義務との関係:守秘義務の規定は、この通報を妨げるものではありません。
- 情報提供:医療関係者は、被害者にセンター等の利用について情報を提供するよう努めます。
臨床で手がかりになるのは、受傷機転の説明と外傷が合わない、受診が遅れている、同伴者が本人に代わって答えてしまう、といった場面です。このようなときは、同伴者のいない安全な場で本人と話し、外傷を客観的に記録します。記録は保護命令の申立てなどで証拠となり得ます。そのうえで、本人の意思を確認しながら相談窓口を伝えます。生命に差し迫った危険がある場合は、安全の確保を優先して警察への連絡を検討します。
選択肢の確認
1.配偶者暴力相談支援センターは被害者の保護命令を出すことができる。:保護命令を発する権限は地方裁判所にあり、センターにはありません。センターが行うのは、相談、一時保護、保護命令制度の利用についての情報提供や援助です。センターが行う「一時保護」と、裁判所が出す「保護命令」を混同しないように注意します。
2.配偶者には事実上婚姻関係と同様の事情にある者が含まれる。:正答。婚姻の届出をしていない事実婚の相手も配偶者に含まれ、事実婚の解消は離婚と同様に扱われます。さらに、離婚後も続く暴力や、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力にも法律が適用・準用されます。
3.配偶者からの暴力を発見したときは、保健所へ通報する。:通報先として定められているのは配偶者暴力相談支援センターまたは警察官であり、保健所は含まれません。また、一般の発見者の通報は努力義務、医療関係者の通報は「できる」規定です。児童虐待の通告先(市町村、福祉事務所、児童相談所)や、高齢者・障害者虐待の通報先(市町村)とも区別して覚えます。
4.加害者の矯正が法の目的に含まれる。:前文に示された目的は、配偶者からの暴力の防止と被害者の保護です。加害者の矯正は目的に含まれていません。加害者の更生のための指導方法は、国や地方公共団体が調査研究を進める対象として触れられているだけです。保護命令にも、加害者に更生指導を受けさせる内容はありません。
覚えるポイント
- 配偶者の範囲:法律婚だけでなく事実婚も含み、男女は問いません。離婚後も続く暴力や、同居する交際相手からの暴力も対象です。同居していない交際相手は対象外です。
- 保護命令を発するのは地方裁判所で、被害者の申立てが必要です。センターが担うのは相談、一時保護、情報提供です。
- DVの通報先は配偶者暴力相談支援センターまたは警察官です。一般の発見者は努力義務、医療関係者は「通報できる」で、本人の意思の尊重に努めます。守秘義務は通報を妨げません。
- 虐待の通告・通報先の比較
- 児童虐待:市町村・福祉事務所・児童相談所(義務)
- 高齢者虐待:市町村(生命・身体に重大な危険がある場合は義務)
- 障害者虐待:市町村(義務)
- DV:センター・警察官
- 法の目的は暴力の防止と被害者の保護(自立支援を含む)であり、加害者の矯正ではありません。
- 2023年改正(2024年4月施行)で、保護命令の対象が精神的な危害にまで広がり、接近禁止命令の期間が1年に延長されました。
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