112AM038|第112回 看護師国家試験 過去問
成人のノンレム睡眠の特徴はどれか。
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正解: 4
正答
4.睡眠周期の前半にみられる。
この問題のポイント
ノンレム睡眠とレム睡眠の違いと、一晩の睡眠の中でそれぞれがどの時間帯に多いかを問う問題です。判断の手がかりは、脳波、眼球運動、筋緊張、自律神経、体温の違いと、加齢による睡眠構造の変化です。「夜の前半は深いノンレム睡眠、明け方に向かってレム睡眠が増える」という流れを押さえていれば正答できます。選択肢2はレム睡眠の特徴です。選択肢1と3は、変化の方向が逆になっています。
解説
ノンレム睡眠とレム睡眠
睡眠は、性質の異なるノンレム睡眠とレム睡眠の2つの状態でできています。
- ノンレム睡眠:急速眼球運動(rapid eye movement)がない睡眠です。
- 眠りの深さで段階1〜3(従来の分類では1〜4)に分けられます。深くなるほど、振幅が大きくゆっくりした徐波(δ波)が増えます。最も深い段階は徐波睡眠と呼ばれ、呼びかけても目覚めにくくなります。
- 副交感神経が優位になり、心拍数・呼吸数・血圧は低下して安定し、深部体温も下がります。
- 成長ホルモンは、入眠直後の深い徐波睡眠に一致して多く分泌されます。
- レム睡眠:閉じたまぶたの下で眼球が急速に動く睡眠です。
- 脳波は覚醒時に近い低振幅の波形を示し、鮮明な夢をみることが多い状態です。
- 骨格筋の緊張はほぼ消失し、体は動きません。
- 自律神経は不安定になり、心拍数・呼吸・血圧が変動します。
一晩の睡眠の流れ
健康な成人は、入眠するとまずノンレム睡眠に入ります。浅い段階から深い段階へ進み、再び浅くなってからレム睡眠が現れます。このひとまとまりを睡眠周期といい、約90分で、一晩に4〜5回繰り返されます。
周期ごとに中身が変わることが重要です。
- 深いノンレム睡眠は、最初の1〜2周期、つまり夜の前半に集中します。後半にはほとんど現れません。
- レム睡眠は、明け方に向かうほど1回の持続が長くなります。
したがって「ノンレム睡眠は睡眠周期の前半にみられる」という記述は、次のどちらの意味でも正しいといえます。
- 一晩の前半に深いノンレム睡眠が多い。
- 1つの周期の中で、ノンレム睡眠が先に現れ、レム睡眠が後に続く。
なお、成人で入眠直後にレム睡眠が現れる(入眠時レム睡眠)のは、ナルコレプシーなどでみられる異常所見です。
睡眠全体に占める割合は、成人ではノンレム睡眠が約75〜80%、レム睡眠が約20〜25%です。新生児では睡眠の約半分がレム睡眠で、成長とともにその割合は減っていきます。
加齢による変化
高齢者では、次のような変化が起こります。
- 深いノンレム睡眠(徐波睡眠)が著しく減り、浅い段階の割合が増える。
- 中途覚醒や早朝覚醒が増え、総睡眠時間は短くなる。
- 体内時計が前にずれ、早寝早起きの傾向になる。
看護への生かし方
- 夜の前半は深いノンレム睡眠が多い時間帯です。巡視やケアの音・照明で不要に起こさないよう計画します。
- 睡眠時遊行症(夢遊病)や夜驚症は深いノンレム睡眠から起こるため、夜の前半に多くみられます。一方、夢の内容に合わせて体が動くレム睡眠行動障害は明け方に多くみられます。この違いは、夜間の行動観察や転倒・転落予防に役立ちます。
- 就寝前の入浴などで深部体温をいったん上げると、その後の体温低下が入眠を助けるとされます。これが睡眠を促す援助の根拠になります。
選択肢の確認
1.体温が上昇する。:ノンレム睡眠では副交感神経が優位になって代謝が落ち、深部体温は低下するため、逆の記述です。入眠前後には手足の皮膚から熱が放散されて深部体温が下がり、この低下が眠りを深めることにつながります。深部体温には概日リズムがあり、明け方に最も低く、日中の活動時に高くなります。体温が上がるのは覚醒・活動時で、睡眠中は下がると整理しておきます。
2.急速な眼球運動がある。:急速な眼球運動がみられるのはレム睡眠で、REM(rapid eye movement)という名称の由来そのものです。ノンレム睡眠は急速眼球運動のない睡眠で、眼球は動かないか、入眠時にゆっくりした眼球運動がみられる程度です。レム睡眠では、骨格筋の緊張低下、夢、自律神経の不安定さもあわせて区別します。
3.加齢に伴い時間が長くなる。:加齢で減るのは深いノンレム睡眠(徐波睡眠)で、眠りが浅く短くなるのが高齢者の睡眠の特徴です。浅い段階の割合は増えますが、総睡眠時間の短縮や中途覚醒の増加を伴うため、「ノンレム睡眠の時間が長くなる」とはいえません。加齢で増えるのは中途覚醒・早朝覚醒・入眠までの時間であると押さえておくと、類題で迷いません。
4.睡眠周期の前半にみられる。:正答。入眠後はまずノンレム睡眠が現れ、深いノンレム睡眠は夜の前半の周期に集中します。レム睡眠が周期の後半に現れ、明け方に向かって長くなるのと対照的です。
覚えるポイント
- 睡眠周期は約90分で、一晩に4〜5回繰り返します。正常な成人の睡眠はノンレム睡眠から始まります。
- 深いノンレム睡眠(徐波睡眠、δ波)は夜の前半に、レム睡眠は明け方(後半)に多くなります。
- ノンレム睡眠:副交感神経が優位で、心拍数・呼吸数・血圧・体温が低下し、成長ホルモンの分泌が多くなります。
- レム睡眠:急速眼球運動、骨格筋の緊張低下、夢、自律神経の不安定さが特徴で、脳波は覚醒時に近くなります。
- 加齢変化:徐波睡眠が減り、浅い睡眠・中途覚醒・早朝覚醒が増え、総睡眠時間は短くなります。
- レム睡眠の割合は、新生児で約50%、成人で約20〜25%です。
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