112AM037|第112回 看護師国家試験 過去問

成人女性に対するベッド上での排泄援助とその目的の組合せで適切なのはどれか。

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正解: 2

正答

2.上半身を挙上する。 ― 腹圧のかけやすさによる排泄促進

この問題のポイント

ベッド上で便器を使って排泄するときの援助行為と、その目的の組合せを判断する問題です。どの選択肢も排泄援助の場面でよく見る行為ですが、組み合わされた「目的」がずれているものがあります。排泄の生理(腹圧・重力・自律神経)と、羞恥心への配慮や寝具汚染の防止という援助の視点を結びつけて考えます。

解説

ベッド上排泄が難しくなる理由

ふだんの排泄は、座位で上体をやや前に傾けて行います。この姿勢では腹筋に力を入れて腹圧(いきみ)をかけやすく、重力も排泄物を下へ送る方向に働きます。仰臥位ではこの条件がそろわないため、腹圧をかけにくく、重力の助けも得られません。さらに、排泄音や臭いが気になることによる羞恥心、寝具を汚さないかという不安、人に世話をかけることへの気兼ねが重なります。

排尿は、骨盤内臓神経(副交感神経)の働きで膀胱排尿筋が収縮して起こります。緊張や不安、寒さによる不快感で交感神経が優位になると、排尿も排便も抑えられやすくなります。そのため援助は次の3つを柱に組み立てます。

  • 生理的に排泄しやすい姿勢をつくる
  • 緊張をほぐせる環境を整える(プライバシーの保護、保温)
  • 汚染を防ぎ、後始末をしやすくする

姿勢の工夫

安静度が許す範囲で上半身を挙上し(ファウラー位に近づける)、膝を立ててもらいます。こうすると座位に近い姿勢になり、腹圧をかけやすく、重力も利用できるため、排尿も排便も促されます。足底をベッドにつけて踏ん張れることも、いきみやすさにつながります。ただし、医師の指示で上体挙上が制限されている場合は指示に従います。

環境の整備

排泄中は、カーテンやスクリーン、ドア・窓を閉めてプライバシーを守り、室温を保ちます。掛け物で露出を最小限にし、便器が冷たいときは温めてから当てます。臭気を除くための換気は、排泄が終わってから行います。排尿を促したいときは、陰部に微温湯をかける、流水音を聞かせる、下腹部を温罨法で温めるなど、温かさと安心感を生かした方法を使います。

トイレットペーパーの2つの使い方

  • 女性の外陰部に当てる:尿が会陰から殿部や背側へ伝ったり飛び散ったりするのを防ぎ、便器の中へ導きます。目的は寝具や寝衣の汚染防止です。
  • 便器の底に敷く:排泄物が便器に当たる音を和らげて羞恥心を軽くします。また、便が便器に付着しにくくなり、後始末が楽になります。

選択肢3と選択肢4は、行為と目的が入れ替わったような組合せになっており、ここが引っかけの中心です。行為ごとに「何を防ぐための工夫か」を具体的にイメージできれば、区別できます。

臨床では、排泄への気兼ねから患者が排泄を我慢し、便秘や尿路感染につながることがあります。安心して排泄できる姿勢と環境を整えることは、身体面だけでなく尊厳を守るうえでも大切な援助です。

選択肢の確認

1.窓を開ける。 ― 寒冷刺激による排尿促進:排泄中は窓を閉めてプライバシーと室温を保つのが基本です。窓を開けると体が冷えて不快感や緊張が高まるうえ、音や臭いが外に漏れる心配も加わり、リラックスした排泄をかえって妨げます。寒冷刺激で排尿を促す援助は行いません。排尿を促すには、陰部への微温湯、流水音、下腹部の温罨法など温かい刺激を用います。窓を開けるのは排泄後の換気(臭気の除去)のためであり、「換気」が目的なら適切な組合せになります。

2.上半身を挙上する。 ― 腹圧のかけやすさによる排泄促進:正答。上半身を挙上して膝を立てると座位に近い姿勢になり、腹筋に力を入れて腹圧をかけやすくなります。重力も排泄物を下方へ送る方向に働くため、仰臥位のままより排尿も排便も容易になります。安静度の範囲内で行うことが前提です。

3.外陰部にトイレットペーパーを当てる。 ― 尿臭の防止:女性は、尿道口から出た尿が会陰や殿部を伝って背側に流れたり、飛び散ったりしやすい構造です。外陰部に当てたトイレットペーパーは尿を便器の中に導き、寝具や寝衣が濡れるのを防ぎます。尿臭を防ぐ効果はないため、この組合せは適切ではありません。臭気への対策は、排泄後すぐに便器を片付ける、換気する、消臭剤を使うといった方法で行います。

4.便器の底にトイレットペーパーを敷く。 ― 寝具の汚染防止:便器の底に紙を敷くのは、排泄物が当たる音を和らげて羞恥心を軽くするためと、便を付着しにくくして後始末をしやすくするためです。便器の内側に敷いた紙では便器の外への汚染は防げないので、この組合せは適切ではありません。寝具や寝衣を汚さないための工夫としては、殿部の下に防水シーツを敷くことや、女性の外陰部にトイレットペーパーを当てることが挙げられます。

覚えるポイント

  • ベッド上排泄の姿勢は、上半身を挙上して膝を立てるのが基本です。座位に近づけることで腹圧と重力を利用できます(安静度の範囲内で行う)。
  • 排泄中は窓・カーテンを閉めて保温とプライバシー保護を優先し、換気は排泄後に行います。
  • 緊張や寒さは交感神経を優位にして排泄を妨げます。排尿誘導には、陰部への微温湯、流水音、下腹部の温罨法など温かい刺激を使います。
  • 女性の外陰部に当てるトイレットペーパーは、尿の飛散や伝い漏れを防ぐためのものです(寝具・寝衣の汚染防止)。
  • 便器の底に敷くトイレットペーパーは、排泄音の軽減(羞恥心への配慮)と便の付着防止(後始末のしやすさ)のためのものです。
  • 便器は温めてから当て、殿部の下には防水シーツを敷きます。女性の陰部は前(尿道口側)から後ろ(肛門側)へ拭き、尿路感染を防ぎます。

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