111AM015|第111回 看護師国家試験 過去問
成人女性の赤血球数の基準値はどれか。
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正解: 2
正答
2.350〜450万/μL
この問題のポイント
末梢血の赤血球数の基準値を、桁(数百万/μL)と男女差の両方で押さえているかを問う問題です。手がかりは「成人女性」という条件です。成人女性の赤血球数は400万/μL前後が中心で、男性よりやや低いと分かっていれば、4つの範囲から1つに絞れます。
解説
単位と桁を確認する
赤血球数は血液1μL(=1mm³)あたりの個数で表します。450万/μLは4.5×10⁶/μLのことです。検査結果には「×10⁴/μL」や「×10⁶/μL」の形で書かれることが多いので、どの表記でも桁を読み替えられるようにしておきます。
この問題の選択肢は、中心値が200万・400万・600万・800万の4つの範囲です。成人の赤血球数はおよそ400万〜500万/μL台という桁の感覚があれば、正答を選べます。
基準値と男女差
基準値は検査施設や文献によって多少異なります。日本で広く使われている共用基準範囲は次のとおりです。
- 赤血球数:成人女性は約386万〜492万/μL、成人男性は約435万〜555万/μL
- ヘモグロビン(Hb):女性はおよそ12〜15g/dL、男性はおよそ13〜17g/dL
- ヘマトクリット(Ht):女性はおよそ35〜44%、男性はおよそ40〜50%
教科書によっては女性を380万〜480万/μLなどと記載しています。いずれの資料でも、女性の範囲と重なる選択肢は2だけです。
赤血球数・Hb・Htのどれでも女性が低い理由は、主に次の2つです。
- **男性ホルモン(テストステロン)**は、腎臓でのエリスロポエチン産生と骨髄での赤血球産生を促します。女性ではこの作用が弱くなります。
- 女性は月経で定期的に鉄を失うため、鉄欠乏に傾きやすくなります。
赤血球の産生と寿命(よく一緒に問われる知識)
- 赤血球は骨髄で作られます。組織が低酸素になると、腎臓がエリスロポエチンを分泌して産生を促します。そのため慢性腎臓病ではエリスロポエチンが不足し、腎性貧血が起こります。
- 赤血球の寿命は約120日です。古くなった赤血球は主に脾臓で壊され、Hbの分解産物であるビリルビンは肝臓で処理されます。
- 妊娠中は、循環血漿量の増え方が赤血球量の増え方を上回ります。そのため赤血球数・Hb・Htは見かけ上低くなります(生理的な血液希釈)。
臨床でどう使うか
貧血の有無は主にHbで判断します。WHOの基準では、非妊娠の成人女性はHb12g/dL未満、妊婦は11g/dL未満、成人男性は13g/dL未満を貧血とします。
赤血球数はHtと組み合わせて平均赤血球容積(MCV=Ht〔%〕÷赤血球数〔10⁶/μL〕×10、単位fL)を求めるのに使い、貧血の型の鑑別に役立ちます。鉄欠乏性貧血は小球性、ビタミンB12・葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血は大球性です。
貧血の患者では、動悸・息切れ・易疲労感・眼瞼結膜の蒼白がみられます。めまいによる転倒にも注意が必要です。反対に赤血球が増えすぎると血液の粘稠度が上がり、血栓症のリスクが高まります。
選択肢の確認
1.150〜250万/μL:成人女性の基準値のおよそ半分にあたる、著しい減少です。基準値ではありません。大量出血、再生不良性貧血、白血病などで骨髄での産生が障害された場合など、重症の貧血でみられる水準です。桁は合っていても、値が低すぎる点で取り違えないようにします。
2.350〜450万/μL:正答。成人女性の赤血球数の基準範囲(およそ380万〜490万/μL)と重なるのは、4つの選択肢でこれだけです。男性はこれよりやや高く、400万〜500万/μL台が中心になります。
3.550〜650万/μL:成人女性の基準上限(約490万/μL)を明らかに超え、成人男性の上限付近からそれ以上にあたる値です。成人女性で認めれば赤血球増加症(多血症)を疑います。原因には、真性多血症、慢性呼吸不全や高地居住などの低酸素による二次性の増加、脱水で血液が濃縮した相対的な増加があります。
4.750〜850万/μL:成人の基準値の2倍近くにあたり、性別を問わず正常では見られない値です。仮に認めれば高度の赤血球増加症で、血液の粘稠度が上がって血栓症を起こす危険があります。桁の感覚(成人は数百万/μL台の前半)を確認するための選択肢です。
覚えるポイント
- 赤血球数の基準値は、成人女性がおよそ380万〜490万/μL、成人男性がおよそ430万〜560万/μLです。「女性は400万前後、男性は500万前後」と中心値で覚えると選択肢を選びやすくなります。
- 赤血球数・Hb・Htはいずれも女性が低めです。理由は、男性ホルモンの造血促進作用が弱いことと、月経による鉄の喪失です。
- 貧血の判断はHbで行います。WHOの基準では、非妊娠女性12g/dL未満、妊婦11g/dL未満、男性13g/dL未満が貧血です。
- 赤血球は骨髄で作られ、腎臓のエリスロポエチンが産生を促します。寿命は約120日で、主に脾臓で壊されます。
- 妊娠中は、血漿量が赤血球量より大きく増えるため、赤血球数・Hb・Htが見かけ上低下します(生理的な血液希釈)。
- 赤血球の増加は、真性多血症、低酸素による二次性の増加、脱水による相対的な増加の3つに分けて整理します。
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