112AM058|第112回 看護師国家試験 過去問

幼児期の心理社会的特徴はどれか。

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正解: 1

正答

1.自己中心性

この問題のポイント

発達段階ごとの心理社会的特徴を、正しい時期に対応づけられるかを問う問題です。4つの選択肢はいずれも発達に関する用語なので、それぞれが幼児期・学童期・思春期・青年期のどこに当たるかを判断することが鍵になります。幼児期はピアジェの前操作期に当たり、その思考の代表的な特徴が自己中心性であると知っていれば正答できます。

解説

この設問は、用語の意味を知っているかだけでなく、「どの発達段階の特徴か」を正確に結び付けられるかを問うています。

幼児期の思考:前操作期

ピアジェ(Piaget)は、子どもの認知発達を次の4段階に分けました。

  • 感覚運動期(0〜2歳)
  • 前操作期(2〜7歳)
  • 具体的操作期(7〜11歳)
  • 形式的操作期(11歳以降)

幼児期のおおむね2〜7歳は前操作期に当たります。この時期には、言葉やイメージで物事を頭の中に思い浮かべる象徴機能が発達し、見立て遊びやごっこ遊びが盛んになります。一方で、考え方はまだ見た目や自分の感覚に左右され、筋道を立てて整理することはできません。この時期の代表的な特徴は次のとおりです。

  • 自己中心性:自分の視点と他者の視点を区別できず、自分に見えているとおりに他者にも見えている、自分が感じるとおりに他者も感じていると考える
  • アニミズム:月や人形など命のないものにも、生命や意思があると考える
  • 人工論:山や川などの自然物も、人がつくったものだと考える
  • 保存の概念の未成立:同じ量の水を細長いコップに移すと「増えた」と判断するなど、見た目が変わると量や数も変わると考える

自己中心性は、「わがまま」「利己的」という道徳的な意味ではありません。他者の立場から物事をとらえる力がまだ育っていないという、認知の特徴です。思考の特徴ではありますが、他者とのかかわり方に直結するため、この問題では幼児期の心理社会的特徴として扱われています。学童期(具体的操作期)になると、自分以外の視点からも考えられるようになり(脱中心化)、保存の概念も成立します。

幼児期の心理社会的発達

幼児期には自我が芽生えます。2〜3歳ごろには、「イヤ」「自分で」と大人の指示に反発する第一反抗期がみられます。エリクソン(Erikson)の心理社会的発達理論では、発達課題は次のように位置づけられています。

  • 幼児前期:自律性 対 恥・疑惑
  • 幼児後期:自発性(積極性)対 罪悪感

看護実践での活用

小児看護では、この時期の思考の特徴を踏まえたかかわりが求められます。

  • 幼児は、病気や入院、痛みを伴う処置を「自分が悪い子だったから」と罰のように受け止めることがあります。処置は罰ではないことをはっきり伝えます。
  • 抽象的な言葉での説明は理解しにくいため、人形や絵本、実際の物品を使います。子どもの目線で具体的に説明するプレパレーションが有効です。

残りの3つの選択肢は、学童期後半・思春期・青年期にみられる特徴です。発達段階を時間の順に並べ、各時期の特徴語を結び付けて覚えておくと、同じテーマの問題に対応しやすくなります。

選択肢の確認

1.自己中心性:正答。前操作期(おおむね2〜7歳)にみられる、自分の視点と他者の視点を区別できない思考の特徴で、幼児期を代表する特徴です。三つ山課題では、向かい側に置いた人形からの見え方を尋ねられても、自分から見える景色を答えることで示されます。学童期の具体的操作期に入ると脱中心化が進み、この特徴は薄れていきます。

2.心理的離乳:青年期に、親への情緒的な依存から離れ、自分の価値観に基づいて判断し行動できるよう精神的に自立していく過程を指します。ホリングワース(Hollingworth)が名づけた概念です。乳児期の離乳(栄養法の移行)と言葉が似ているため、乳幼児期のことと取り違えやすい点に注意します。この自立の過程で、親への反発として第二反抗期が現れることがあり、エリクソンの同一性(アイデンティティ)確立の課題とも重なります。幼児期にみられるのは、自我の芽生えによる第一反抗期のほうです。

3.ギャングエイジ:学童期の中ごろから後半(小学校中学年から高学年ごろ)を指す言葉です。この時期の子どもは、同年齢・同性の仲間で閉鎖的で結束の強い集団(ギャンググループ)をつくり、仲間内の約束や秘密を大人の言うことよりも重んじるようになります。集団の中で役割やルールを守る経験を通して社会性を身につける、学童期の重要な発達です。幼児期の遊びはまだこのような結束をもたず、平行遊びから連合遊び、協同遊びへと少しずつ発展していく段階です。

4.ボディイメージの変容:思春期に、第二次性徴(乳房の発達、初経、声変わり、陰毛の発生など)によって身体が急速に変化し、変わっていく自分の身体を受け入れ直すことが心理的な課題となることを指します。身体への関心や他者との比較、容姿への悩みが強まりやすい時期です。成人看護では、乳房切除やストーマ造設、四肢切断など、治療に伴う身体の変化を受け止める過程を指して使われることもあります。いずれの意味でも、幼児期の特徴としては挙げられません。

覚えるポイント

  • ピアジェの認知発達は、感覚運動期(0〜2歳)→前操作期(2〜7歳)→具体的操作期(7〜11歳)→形式的操作期(11歳以降)の順に進みます。
  • 前操作期(幼児期)の特徴は、自己中心性、アニミズム、人工論、保存の概念の未成立、象徴機能(ごっこ遊び)です。
  • 自己中心性は「わがまま」ではなく、他者の視点に立てない認知の特徴です。具体的操作期で脱中心化し、保存の概念も成立します。
  • 時期と特徴語の対応は、幼児期=自己中心性・第一反抗期、学童期後半=ギャングエイジ、思春期=第二次性徴に伴うボディイメージの変容・第二反抗期、青年期=心理的離乳です。
  • エリクソンの発達課題は、乳児期=基本的信頼 対 不信、幼児前期=自律性 対 恥・疑惑、幼児後期=自発性 対 罪悪感、学童期=勤勉性 対 劣等感、青年期=同一性 対 同一性拡散です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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