112AM081|第112回 看護師国家試験 過去問

変形性膝関節症 osteoarthritis of the knee について正しいのはどれか。

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正解: 5

正答

5.経時的に進行して10年で半数が悪化する。

この問題のポイント

変形性膝関節症について、性差、頻度、原因の内訳(一次性か二次性か)、治療方針、自然経過を問う知識問題です。「女性に多い」「変形性関節症の中で最も多い」「一次性が大半」「保存療法が第一選択」「緩やかに進行する」という5つの基本像を押さえていれば、正しい記述を選べます。選択肢4は、日本では二次性が大半を占める変形性股関節症と取り違えやすいため注意が必要です。

解説

病態

変形性膝関節症は、加齢や力学的な負荷によって関節軟骨が変性し、すり減っていく退行性の疾患です。軟骨の摩耗に続いて、軟骨下骨の硬化、骨棘の形成、関節裂隙の狭小化が進みます。その結果、疼痛、腫脹(関節水腫)、可動域制限、変形が生じます。関節リウマチのような全身性の炎症性疾患とは異なり、発熱などの全身症状はなく、朝のこわばりがあっても短時間で治まります。

疫学と原因

  • 変形性関節症の中で最も多い病型です。体重を支える荷重関節であるため負担が大きく、中高年で非常に多くみられます。
  • 性別では女性に多く、特に閉経後の中高年女性で増えます。
  • 原因の内訳では、明らかな基礎疾患のない一次性が大部分を占めます。一次性は、加齢、女性、肥満、内反膝(O脚)、膝に負担のかかる職業やスポーツなどの要因が重なって起こります。
  • 二次性は、骨折や半月板損傷・靱帯損傷などの外傷、関節リウマチ、化膿性関節炎、大腿骨内側顆の骨壊死などに続いて起こるもので、全体の中では少数です。
  • 日本人では内反変形を伴い、膝の内側の軟骨が減る内側型が多いのが特徴です。

症状と検査

初期には、立ち上がりや歩き始めに痛む動作開始時痛がみられます。進行すると、階段の昇降(特に下り)の痛み、正座の困難、関節水腫が現れます。末期には安静時痛、屈曲拘縮、変形の進行がみられます。エックス線写真では、関節裂隙の狭小化、骨棘、軟骨下骨の硬化、骨嚢胞が主な所見で、重症度はKellgren-Lawrence分類で評価します。

治療

治療の第一選択は保存療法です。

  • 運動療法:大腿四頭筋の筋力訓練(大腿四頭筋セッティング、下肢伸展挙上)と可動域訓練
  • 生活指導:減量、正座を避ける、椅子・ベッド・洋式トイレを使う生活への切り替え
  • 装具療法:膝装具、外側楔状足底板(内側型の荷重を外側へ逃がす)、杖(健側の手に持つ)
  • 物理療法:温熱療法
  • 薬物療法:消炎鎮痛薬の内服・外用、アセトアミノフェン、ヒアルロン酸の関節内注射

これらで効果が不十分で、日常生活への支障が大きい場合に手術を検討します。手術には、関節鏡視下手術、高位脛骨骨切り術(比較的若く活動性の高い内側型が主な対象)、人工膝関節置換術(単顆置換術・全置換術)があります。

経過と正答の判断

すり減った関節軟骨は自然には再生しにくいため、本症は緩やかですが経時的に進行します。10年ほどで約半数が悪化するとされています。したがって、選択肢5が正しい記述です。進行性の疾患だからこそ、早い段階から運動療法や減量で進行を遅らせることが重要になります。

看護への活用

痛みで活動量が落ちると筋力が低下し、関節が不安定になって、痛みがさらに強まるという悪循環が生じます。看護では、痛みの程度に合わせて無理のない運動を続けられるよう支援します。あわせて、体重管理、洋式の生活様式への調整、杖の正しい使い方の指導を行い、転倒予防とADLの維持を図ります。

選択肢の確認

1.男性に多い。:変形性膝関節症は女性に多く、閉経後の中高年女性で特に増える疾患です。女性に多い背景として、筋力が比較的弱いこと、閉経に伴うホルモンの変化、肥満などが挙げられます。男性に多い関節疾患としては痛風があり、性差を問う問題ではこれと混同しないようにします。

2.第一選択は手術療法である。:第一選択は、運動療法、減量、装具、薬物療法、ヒアルロン酸関節内注射などを組み合わせた保存療法です。高位脛骨骨切り術や人工膝関節置換術は、保存療法で効果が不十分で、疼痛や変形のために日常生活に大きな支障がある進行例に対して考慮されます。

3.変形性関節症 osteoarthritis の中で2番目に多い。:膝関節は変形性関節症の中で最も多い部位とされるため、2番目という記述は当てはまりません。ほかの好発部位には、股関節、手指(DIP関節のヘバーデン結節、PIP関節のブシャール結節)、脊椎などがあります。

4.二次性のものが一次性のものより多い。:変形性膝関節症は、加齢や肥満などを背景とする一次性が大部分を占め、外傷や関節リウマチなどに続く二次性は少数です。これに対して日本の変形性股関節症は、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全に続く二次性が大半を占めます。この選択肢は股関節の特徴との取り違えを狙ったものです。

5.経時的に進行して10年で半数が悪化する。:正答。関節軟骨は再生しにくいため、本症は緩やかですが進行性の経過をたどり、10年ほどで約半数が悪化するとされています。進行を遅らせるには、早い段階からの筋力訓練と体重管理が重要です。

覚えるポイント

  • 変形性膝関節症は、女性に多く、変形性関節症の中で最も多く、一次性が大半です。日本の変形性股関節症は、臼蓋形成不全などによる二次性が大半です。
  • 治療は保存療法が第一選択です(大腿四頭筋訓練、減量、装具・足底板、杖、消炎鎮痛薬、ヒアルロン酸関節内注射)。手術(高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術)は保存療法が無効な進行例に行います。
  • 経過は緩やかな進行性で、10年で約半数が悪化するとされます。
  • 症状は、動作開始時痛、階段昇降時(特に下り)の痛み、正座困難、関節水腫です。エックス線所見は、関節裂隙の狭小化、骨棘、軟骨下骨の硬化です。
  • 日本人は内反膝(O脚)を伴う内側型が多く、足底板は外側楔状を用います。杖は健側の手に持ちます。
  • 関節リウマチとの違いとして、変形性関節症は非炎症性で朝のこわばりが短時間です。関節リウマチは1時間以上続く朝のこわばりと、手指などの小関節の対称性関節炎が特徴です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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