112AM082|第112回 看護師国家試験 過去問
学校保健安全法で出席停止となる学校感染症のうち、第二種に分類されているのはどれか。
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正解: 1
正答
1.インフルエンザ influenza
この問題のポイント
学校保健安全法施行規則が定める「学校において予防すべき感染症」の第一種・第二種・第三種の区分を問う問題です。第二種は、空気感染または飛沫感染し、児童生徒等の罹患が多く、学校で流行を広げる可能性が高い感染症です。この特徴から、呼吸器系で小児に多い感染症を選びます。あわせて、経口感染する消化器系感染症と接触感染する結膜炎は第三種、感染症法の二類にあたるジフテリアは第一種であると区別できる必要があります。
解説
制度の枠組みと3つの区分
学校保健安全法では、感染症にかかっている児童生徒等について、校長が出席を停止させることができると定めています。かかっている疑いがある者や、かかるおそれのある者も対象です。出席停止は、理由と期間を明らかにして、保護者(高等学校の生徒や学生は本人)に指示します。また、感染症の予防上必要があるときは、学校の設置者が学校の全部または一部を臨時休業できます。対象となる感染症の種類と出席停止期間の基準は、同法施行規則で3種に分けて定められています。
- 第一種:感染症法の一類感染症と、結核を除く二類感染症です。エボラ出血熱、ペスト、痘そう、ラッサ熱、急性灰白髄炎、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群、中東呼吸器症候群、特定鳥インフルエンザなどが該当します。出席停止期間は「治癒するまで」です。感染症法の新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症も第一種とみなされます。
- 第二種:空気感染または飛沫感染し、学校で流行を広げる可能性が高い感染症です。出題当時は、インフルエンザ(特定鳥インフルエンザと新型インフルエンザ等感染症を除く)、百日咳、麻しん、流行性耳下腺炎、風しん、水痘、咽頭結膜熱、結核、髄膜炎菌性髄膜炎の9疾患でした。結核と髄膜炎菌性髄膜炎を除く第二種は、疾患ごとに出席停止期間の基準が定められています。ただし、病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めたときは、この限りではありません。結核と髄膜炎菌性髄膜炎には疾患別の日数の基準がありません。出席停止期間は第三種と同じく「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」です。
- 第三種:学校教育活動を通じて流行を広げる可能性がある感染症です。コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎、その他の感染症が該当します。出席停止期間は、第二種の結核・髄膜炎菌性髄膜炎と同じ基準で、病状により医師が感染のおそれがないと認めるまでです。
分類の考え方と正答の判断
第一種は、感染経路ではなく感染症法上の類型で決まります。一類・二類は、感染力や罹患した場合の重篤性などからみて危険性が高い感染症です。そのため、ジフテリアは飛沫感染する疾患ですが、二類感染症なので第一種です。一方、結核は感染症法では二類ですが、学校感染症では例外的に第二種に置かれています。第三種の中心は2つです。1つは、飲食物や手指を介して経口感染する消化器系感染症です。もう1つは、手指やタオルを介して接触感染する結膜炎です。感染症法の三類感染症の5疾患は、いずれも第三種に含まれます。
選択肢を区分に当てはめると、次のとおりです。
- ジフテリア:感染症法の二類なので第一種です。
- 細菌性赤痢と腸チフス:経口感染する三類感染症なので第三種です。
- 流行性角結膜炎:接触感染する結膜炎なので第三種です。
飛沫感染で学校内に急速に広がる第二種に当てはまるのは、インフルエンザだけです。
出題後の改正
出題当時(2023年2月)、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の新型インフルエンザ等感染症でした。そのため、学校保健安全法では第一種の感染症とみなされていました。2023年5月8日に感染症法の五類感染症へ移行したことに伴い、第二種に加えられました。出席停止期間の基準は「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」です。この改正は本問の正答には影響しません。
実践とのつながり
外来や病棟の看護師は、保護者から「いつから登校できるか」と尋ねられることがよくあります。出席停止期間の基準を正しく説明できれば、学校での二次感染の防止につながります。養護教諭や学校医と連携して学校内の感染拡大を防ぐうえでも欠かせない知識です。
選択肢の確認
1.インフルエンザ influenza:正答。季節性インフルエンザは主に飛沫感染で広がり、潜伏期も平均2日程度と短いため、集団内で急速に拡大します。そのため第二種に分類されています。出席停止期間の基準は「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」です。2つの条件を両方満たす必要があります。日数は、発症した日や解熱した日を0日目とし、その翌日を1日目として数えます。なお、特定鳥インフルエンザは第一種で、新型インフルエンザ等感染症は第一種とみなされます。同じ「インフルエンザ」でも区分が異なる点に注意が必要です。
2.細菌性赤痢 shigellosis:赤痢菌による腸管感染症で、感染経路は経口感染です。ごく少ない菌量でも感染が成立します。そのため、手洗いが不十分な手指や汚染された飲食物を介して集団発生することがあります。感染症法では三類感染症で、学校感染症では第三種です。第二種の特徴である空気・飛沫感染には当てはまりません。
3.ジフテリア diphtheria:ジフテリア菌による飛沫感染症で、咽頭などに偽膜を形成します。毒素による心筋炎や神経麻痺を起こしうる重篤な疾患です。感染症法では二類感染症のため、学校感染症では第一種で、出席停止期間は「治癒するまで」です。飛沫感染という点だけで第二種と判断すると誤ります。
4.腸チフス typhoid fever:チフス菌による全身性感染症で、汚染された飲食物や水を介して経口感染します。持続する高熱、比較的徐脈、バラ疹、脾腫が特徴です。感染症法では三類感染症で、学校感染症では第三種に分類されます。
5.流行性角結膜炎 epidemic keratoconjunctivitis:アデノウイルスによる結膜炎で、目やにや涙が付いた手指やタオルなどを介して接触感染します。感染力が強く学校内で流行することがありますが、区分は第三種です。同じアデノウイルスによる咽頭結膜熱(プール熱)は、発熱・咽頭炎・結膜炎を伴い、第二種に分類されます。両者は取り違えやすいので区別して覚えます。
覚えるポイント
- 第一種は、感染症法の一類と結核を除く二類です(ジフテリア、急性灰白髄炎、SARS、MERS、特定鳥インフルエンザなど)。出席停止期間は「治癒するまで」です。
- 第二種は、空気感染・飛沫感染し、学校で流行を広げやすい疾患です。出題当時はインフルエンザ、百日咳、麻しん、流行性耳下腺炎、風しん、水痘、咽頭結膜熱、結核、髄膜炎菌性髄膜炎の9疾患でした。現在は、2023年5月に加わった新型コロナウイルス感染症も含みます。
- 第三種は、感染症法の三類5疾患(コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス)と、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎、その他の感染症です。出席停止期間は、病状により医師が感染のおそれがないと認めるまでです。
- 第二種の出席停止期間の基準は、インフルエンザが発症後5日かつ解熱後2日(幼児3日)、麻しんが解熱後3日、水痘がすべての発疹の痂皮化までです。流行性耳下腺炎は腫脹発現後5日かつ全身状態良好まで、風しんは発疹消失まで、咽頭結膜熱は主要症状消退後2日です。百日咳は、特有の咳の消失または5日間の適正な抗菌薬治療の終了までです。結核と髄膜炎菌性髄膜炎は日数の基準がなく、第三種と同じ扱いです。
- 出席停止は校長、臨時休業は学校の設置者が行います。
- ひっかけに注意します。結核は感染症法二類でも第二種、ジフテリアは飛沫感染でも第一種です。咽頭結膜熱は第二種ですが、流行性角結膜炎は第三種です。
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