112PM015|第112回 看護師国家試験 過去問

飛沫感染するのはどれか。

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正解: 4

正答

4.インフルエンザ influenza

この問題のポイント

感染経路(接触・飛沫・空気・媒介動物など)ごとに代表的な疾患を分類できるかを問う問題です。鍵になる語は「飛沫」で、咳やくしゃみで飛ぶ大きな粒子が、近くにいる人へ伝わる経路を指します。4疾患それぞれの病原体と、どのように人の体に入るのかを思い浮かべれば判断できます。

解説

感染経路の分類

感染は、感染源・感染経路・感受性宿主の3つがそろうと成立します。看護の感染対策では、このうち「経路を断つこと」が中心です。すべての患者に行う標準予防策に加え、病原体に応じて接触予防策・飛沫予防策・空気予防策の3つの感染経路別予防策を追加します。

  • 飛沫感染:咳、くしゃみ、会話、吸引などの処置で出る直径5μmより大きい飛沫が、およそ1〜2m以内の人の口・鼻・眼の粘膜に付着して感染します。飛沫は重いためすぐに落下し、空中を長く漂いません。代表例はインフルエンザ、百日咳、風疹、流行性耳下腺炎、マイコプラズマ肺炎、髄膜炎菌感染症、ジフテリアなどです。
  • 空気感染:飛沫の水分が蒸発してできた直径5μm以下の飛沫核が空気中を漂い、離れた場所の人も吸い込んで感染します。代表は結核、麻疹、水痘の3つです。
  • 接触感染:患者に直接触れること、または汚染された手指・器具・環境表面を介して伝わります。薬剤耐性菌(MRSAなど)、ノロウイルス、腸管出血性大腸菌、疥癬などが該当します。
  • そのほか、蚊やダニが病原体を運ぶ媒介動物(ベクター)感染、傷口から病原体が侵入する創傷感染、血液・体液を介する感染(B型・C型肝炎、HIV)などがあります。

経路ごとの予防策

飛沫予防策では、個室管理またはコホーティング(同じ感染症の患者を同室にまとめる)を行い、ベッド間隔を1m以上あけてカーテンで仕切ります。医療者は患者に近づくときにサージカルマスクを着け、患者が病室外へ移動するときは患者にもサージカルマスクを着けてもらいます。空気予防策では陰圧の個室を使い、医療者はN95マスクを着けます。患者が移動するときに着けるのはサージカルマスクです。接触予防策では手袋・ガウンを着け、聴診器や血圧計を患者専用にし、環境を清拭します。

インフルエンザと正答の判断

インフルエンザはインフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症です。潜伏期は1〜3日程度と短く、急な高熱、悪寒、頭痛、関節痛・筋肉痛といった全身症状が強く出ます。主な経路は飛沫感染ですが、飛沫が付いた手指やドアノブを介した接触感染も起こります。そのため、飛沫予防策に加えて手指衛生と咳エチケットが欠かせません。学校保健安全法では、出席停止の期間を「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」と定めています。

換気の悪い密閉空間では、インフルエンザでも微小な粒子(エアロゾル)による伝播が起こりうると考えられています。ただし国家試験では従来の分類に従い、インフルエンザは飛沫感染の代表として扱われます。

4疾患のうち、人から人へ気道分泌物の飛沫で伝わるのはインフルエンザだけです。疥癬は接触感染、破傷風は人から人へは感染せず、デング熱は蚊が媒介します。

選択肢の確認

1.疥癬 scabies:疥癬はヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚の角質層に寄生して起こる疾患です。主に皮膚と皮膚の直接接触、または寝具・衣類を介した間接接触で広がる接触感染で、ダニが空中を飛んで感染することはありません。指の間や手首、陰部などに強いかゆみを伴う丘疹や疥癬トンネルがみられ、かゆみは夜間に強くなります。角化型疥癬(ノルウェー疥癬)は寄生するダニの数が非常に多く感染力が強いため、一定期間の個室管理、手袋・ガウンの着用、落屑の処理が必要です。高齢者施設や病院での集団発生に注意が必要な疾患です。

2.破傷風 tetanus:破傷風菌は偏性嫌気性の芽胞形成菌で、芽胞は土壌中に広く存在します。芽胞が深い刺し傷や汚染創から侵入し、嫌気的な環境で増殖して神経毒素を産生します。この毒素によって開口障害、痙笑、後弓反張、全身のけいれんが起こります。人から人へは感染しないため、飛沫感染には当たりません。予防の中心は破傷風トキソイドを含む定期予防接種です。出題当時の乳幼児の定期接種は四種混合ワクチンで、2024年4月からはHibを加えた五種混合ワクチンが導入されています。光や音の刺激でけいれんが誘発されるため、暗く静かな個室で管理します。この個室管理は感染対策ではなく、刺激を避けるための環境調整です。

3.デング熱 dengue fever:デング熱はデングウイルスによる感染症で、ネッタイシマカやヒトスジシマカが媒介する媒介動物感染です。突然の発熱、頭痛、眼の奥の痛み、筋肉痛・関節痛、発疹が特徴で、一部は重症化して出血傾向やショックを起こします。人から人へ直接うつることは通常ないため、入院患者には標準予防策で対応し、隔離は必要ありません。感染症法では4類感染症です。2014年には国内での感染例が相次いで確認されました。予防は長袖の着用や虫よけ剤の使用、水たまりをなくすといった防蚊対策です。

4.インフルエンザ influenza:正答。インフルエンザウイルスは咳やくしゃみで出る飛沫に含まれ、近くにいる人の気道粘膜に付着して感染します。飛沫感染の代表的な疾患で、病院では飛沫予防策をとります。手指を介した接触感染も起こるため、手指衛生も併せて行います。

覚えるポイント

  • 空気感染は「結核・麻疹・水痘」の3つです。陰圧個室で管理し、医療者はN95マスク、移動時の患者はサージカルマスクを着けます。
  • 飛沫感染は、5μmより大きい飛沫がおよそ1〜2m以内に届く経路です。インフルエンザ、百日咳、風疹、流行性耳下腺炎、マイコプラズマ肺炎、髄膜炎菌感染症などが該当し、サージカルマスクと1m以上の間隔で対応します。
  • 接触感染は疥癬、MRSA、ノロウイルス、腸管出血性大腸菌などです。角化型疥癬は感染力が強く、個室管理が必要です。
  • 蚊が媒介する感染症は、デング熱・ジカウイルス感染症・チクングニア熱(ヤブカ属)、マラリア(ハマダラカ)、日本脳炎(コガタアカイエカ)です。
  • 破傷風は傷口から芽胞が侵入して起こり、人から人へは感染しません。予防は定期予防接種で、看護では刺激を避ける環境調整が大切です。
  • 1つの疾患が複数の経路をもつことがあります(インフルエンザは飛沫と接触、ノロウイルスは接触と嘔吐物からの飛沫など)。問題では主な経路で判断します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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