112PM014|第112回 看護師国家試験 過去問
チアノーゼとは( )の絶対量が増加して5g/dL以上になり、皮膚や粘膜が紫から青紫色を示す状態のことをいう。( )に入るのはどれか。
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正解: 4
正答
4.脱酸素化ヘモグロビン〈還元ヘモグロビン〉
この問題のポイント
チアノーゼの定義を問う知識問題です。手がかりは「絶対量」「5g/dL以上」「紫から青紫色」の3つです。酸素を手放した暗赤色のヘモグロビンが一定量を超えると、皮膚や粘膜の色が変わります。この機序を理解していれば選べます。割合ではなく絶対量で決まるため、貧血と多血症では現れ方が違う点まで押さえておきましょう。
解説
問題文から絞り込む
まず単位に注目します。「5g/dL」はヘモグロビン濃度を表すときの単位です。ビリルビンは mg/dL、HbA1c は%で表すので、この時点でヘモグロビン系の選択肢に絞れます。
次に「増加して5g/dL以上になり」という表現を考えます。総ヘモグロビンは健康な成人でも5g/dLを大きく上回っているので、「増えて5g/dLに達する」という表現は成り立ちません。ふだんは少なく、異常時に増えるもの、つまり酸素と結合していないヘモグロビンを指していると判断できます。
色が変わる仕組み
赤血球のヘモグロビンは、肺で酸素と結合して鮮紅色の酸素化ヘモグロビンになります。組織で酸素を手放すと、暗赤色の脱酸素化ヘモグロビン(還元ヘモグロビン)になります。
毛細血管の血液には両方が混在しています。脱酸素化ヘモグロビンがおおむね5g/dL以上になると、皮膚や粘膜を通して紫〜青紫色に見えます。これがチアノーゼです。
「絶対量」で決まることの臨床的意味
脱酸素化ヘモグロビンの割合ではなく量で決まるため、総ヘモグロビン量によって出やすさが変わります。単純に計算すると次のとおりです。
- Hb 20g/dL の多血症では、4分の1が脱酸素化すれば5g/dLに達します。
- Hb 15g/dL の人では、3分の1が脱酸素化すれば5g/dLに達します。
- Hb 6g/dL の重い貧血では、大部分が脱酸素化されなければ5g/dLに届きません。
つまり、多血症ではチアノーゼが出やすく、貧血では高度の低酸素でも出にくいのです。臨床では「チアノーゼがない=酸素が足りている」とは判断できません。パルスオキシメータによるSpO2、呼吸数、呼吸様式、意識状態を合わせて評価します。
一酸化炭素中毒では、一酸化炭素と結合したヘモグロビンが鮮紅色を示すため、チアノーゼは目立ちません。一般的なパルスオキシメータはこれを酸素化ヘモグロビンと区別できないため、SpO2は見かけ上高く表示されます。この点もあわせて覚えておきましょう。
中心性チアノーゼと末梢性チアノーゼ
- 中心性:動脈血そのものの酸素化が不十分なために起こります。原因は、呼吸不全などの肺疾患や、ファロー四徴症などの右左短絡を伴う先天性心疾患です。口唇、舌、口腔粘膜のように血流の多い温かい部位にも現れ、温めても改善しません。慢性化すると、ばち指を伴うことがあります。
- 末梢性:動脈血の酸素化は保たれていますが、末梢の血流が遅くなり、組織での酸素の取り込みが増えるために起こります。原因は、心拍出量の低下、寒冷による血管収縮、動脈や静脈の閉塞などです。手指、足趾、爪床、耳朶に現れ、舌には現れにくいです。保温やマッサージで改善することがあります。
観察では、舌や口腔粘膜に変化があるかどうかが中心性と末梢性を見分ける手がかりになります。出生直後の新生児では、四肢末端の末梢性チアノーゼが生理的にみられることがあります。アプガースコアの皮膚色の項目で、体幹がピンクで四肢にチアノーゼがある場合が1点とされるのはこのためです。
選択肢の確認
1.ビリルビン:老化した赤血球のヘモグロビンが分解されてできる黄色の色素で、血中で増えると皮膚や眼球結膜が黄色くなる黄疸を起こします。色調が紫〜青紫ではなく黄色である点で、チアノーゼとは異なります。単位も mg/dL で、血清総ビリルビンがおおむね2〜3 mg/dLを超えると肉眼で黄染がわかる顕性黄疸になるとされ、5g/dLとは桁が大きく違います。「皮膚の色の異常」という共通点で混同しないようにしましょう。
2.ヘモグロビン:酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの両方を含む総称なので、チアノーゼを説明する物質としては範囲が広すぎます。成人の基準値はおおむね12〜17g/dL程度(男性のほうが高い)で、健康な人でも常に5g/dLを上回っています。そのため「増加して5g/dL以上になる」という定義には当てはまりません。総ヘモグロビンが多い多血症ではチアノーゼが出やすくなりますが、色を変えている本体はあくまで酸素と結合していない分です。
3.ヘモグロビン A1c〈HbA1c〉:ヘモグロビンにブドウ糖が非酵素的に結合した糖化ヘモグロビンで、糖尿病の診断と血糖コントロールの指標に使われます。赤血球の寿命(約120日)を反映して、過去1〜2か月の平均的な血糖状態を示します。総ヘモグロビンに占める割合(%)で表し、6.5%以上が糖尿病型の判定基準の一つです。皮膚の色調とは関係がなく、単位も異なります。
4.脱酸素化ヘモグロビン〈還元ヘモグロビン〉:正答。組織で酸素を手放した暗赤色のヘモグロビンで、毛細血管血中の絶対量がおおむね5g/dL以上になると、皮膚や粘膜が紫〜青紫色に見えます。割合ではなく絶対量で決まるため、多血症では出やすく、貧血では出にくいのが特徴です。
覚えるポイント
- チアノーゼは、毛細血管血中の脱酸素化(還元)ヘモグロビンが5g/dL以上(絶対量)になった状態です。
- 貧血では出にくく、多血症では出やすくなります。チアノーゼがないことは低酸素がない根拠にならないので、SpO2・呼吸状態・意識と合わせて評価します。
- 中心性(口唇・舌・口腔粘膜、呼吸不全や右左短絡、保温で改善しない)と末梢性(手足の先・爪床・耳朶、心拍出量低下や寒冷、保温で改善しうる)を区別します。
- 単位で見分けます。ヘモグロビンは g/dL、ビリルビンは mg/dL(2〜3 mg/dL以上で顕性黄疸)、HbA1c は%(6.5%以上で糖尿病型)です。
- 一酸化炭素中毒では皮膚が鮮紅色になりチアノーゼは目立たず、SpO2も見かけ上高く表示されます。
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