112PM013|第112回 看護師国家試験 過去問

成人の正常な赤血球の説明で正しいのはどれか。

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正解: 4

正答

4.酸素の輸送を担っている。

この問題のポイント

赤血球の形・寿命・破壊される場所・働きという基本事項を確認する問題です。問題文に「成人の」「正常な」という条件があるため、遺伝性球状赤血球症のような異常や、新生児の赤血球の特徴とは分けて考えます。赤血球は骨髄でつくられ、約120日働いたあと主に脾臓で壊されます。この一生の流れと、ヘモグロビンの働きを押さえていれば確実に解けます。

解説

成人の正常な赤血球は、直径約7〜8μmで、中央がくぼんだ円板状(両凹円板状)の細胞です。成熟する過程で核を失い、ミトコンドリアももたないため、内部の大部分はヘモグロビンで満たされています。ミトコンドリアがないので、赤血球は自分が運ぶ酸素を使わず、解糖系でエネルギー(ATP)を得ています。両凹円板状の形には次の2つの利点があります。

  • 体積に対して表面積が大きく、ガスの出入りを効率よく行える。
  • しなやかに変形でき、自分の直径より細い毛細血管も通り抜けられる。

赤血球の主な働きは酸素の運搬です。ヘモグロビンは、鉄を含むヘムとたんぱく質のグロビンからなり、1分子で酸素4分子と結合できます。酸素分圧の高い肺では酸素と結合し、酸素分圧が低く二酸化炭素や水素イオンが多い組織では酸素を離します。二酸化炭素の増加、pHの低下、体温上昇、2,3-DPGの増加があると酸素解離曲線は右へ移動し、組織に酸素を渡しやすくなります。血液中の酸素の大部分はヘモグロビンと結合して運ばれ、血漿に溶けている量はわずかです。そのため酸素を運ぶ能力はヘモグロビン量に大きく左右され、貧血では息切れ・動悸・易疲労感が現れます。

赤血球は二酸化炭素の運搬にも関わります。赤血球内の炭酸脱水酵素のはたらきで二酸化炭素は重炭酸イオンに変えられ、その多くは血漿中の重炭酸イオンとして肺まで運ばれます。

赤血球がつくられるのは骨髄で、成人では胸骨・椎骨・腸骨など体幹の骨の赤色骨髄が中心です。産生を促すホルモンはエリスロポエチンで、主に腎臓が組織の酸素不足を感知して分泌します。造血の材料として、鉄、ビタミンB12、葉酸が必要です。骨髄から出たばかりの若い赤血球は網赤血球と呼ばれ、その数は骨髄の造血の程度を反映します。

循環血中で約120日働いた赤血球は膜の柔軟性を失い、主に脾臓のマクロファージに捕らえられて処理されます。肝臓や骨髄のマクロファージも処理に関わります。処理の流れは次のとおりです。

  • ヘムは分解されて間接(非抱合型)ビリルビンになり、アルブミンと結合して肝臓へ運ばれる。
  • 肝臓でグルクロン酸抱合を受けて直接(抱合型)ビリルビンとなり、胆汁中に排泄される。
  • 鉄はトランスフェリンで運ばれて再利用され、フェリチンなどとして貯蔵される。
  • グロビンはアミノ酸に分解されて再利用される。

臨床では、溶血が亢進すると間接ビリルビンが増えて黄疸が生じ、脾臓での破壊が増えると脾腫を伴うことがあります。慢性腎臓病ではエリスロポエチンの産生が低下して腎性貧血となり、赤血球造血刺激因子製剤などで治療されます。赤血球の一生を、臓器と結びつけて整理しておくと、貧血や黄疸の問題にも応用できます。

  • つくる:骨髄(腎臓のエリスロポエチンが促す)
  • 働く:酸素の運搬
  • 壊す:主に脾臓
  • 処理する:肝臓でのビリルビン代謝

選択肢の確認

1.球状の細胞である。:成人の正常な赤血球は中央がくぼんだ円板状(両凹円板状)で、球状ではありません。円板状であるため表面積が大きくガス交換の効率がよく、変形しながら毛細血管を通過できます。赤血球が球状になるのは遺伝性球状赤血球症などの異常な場合です。球状赤血球は変形しにくく脾臓で捕らえられて壊されやすいため、溶血性貧血・黄疸・脾腫を起こします。問題文の「正常な」という条件が、この選択肢を否定する手がかりです。

2.腎臓で破壊される。:老化した赤血球を破壊するのは主に脾臓のマクロファージで、肝臓や骨髄のマクロファージも関わりますが、腎臓は破壊の場ではありません。腎臓の赤血球に関する役割は、エリスロポエチンを分泌して骨髄での産生を促すことです。つまり「破壊」ではなく「産生の調節」を担っており、ここを取り違えないようにします。なお、血管内溶血が強いと遊離したヘモグロビンが糸球体でろ過されてヘモグロビン尿がみられますが、これも腎臓で赤血球が壊されているわけではありません。

3.寿命は約60日である。:成人の赤血球の寿命は約120日で、約60日ではありません。血小板の寿命(約10日)と比べて長いことも、あわせて問われやすい点です。新生児の赤血球は成人より寿命が短く、これが生理的黄疸の一因になります。ただし本問は「成人の」赤血球を問うているので当てはまりません。

4.酸素の輸送を担っている。:正答。赤血球内のヘモグロビンが肺で酸素と結合し、酸素分圧の低い組織で酸素を放出することで、肺から全身の組織へ酸素を運びます。血液中の酸素の大部分はヘモグロビンに結合して運ばれるため、ヘモグロビン量の低下(貧血)は酸素を運ぶ能力の低下に直結します。二酸化炭素の運搬にも関わりますが、赤血球の中心的な働きは酸素の輸送です。

覚えるポイント

  • 赤血球は両凹円板状で、核もミトコンドリアもなく、解糖系でATPを得ます。寿命は約120日です(血小板は約10日)。
  • 産生の場は骨髄で、産生を促すのはエリスロポエチン(主に腎臓から、低酸素で分泌)です。材料は鉄・ビタミンB12・葉酸で、慢性腎臓病ではエリスロポエチン不足により腎性貧血になります。
  • 破壊の場は主に脾臓のマクロファージです。ヘムは間接ビリルビンになり、肝臓で抱合されて直接ビリルビンとして胆汁へ排泄されます。鉄は再利用されます。
  • ヘモグロビンはヘム(鉄)とグロビンからなり、1分子で酸素4分子と結合します。CO2の増加・pHの低下・体温上昇・2,3-DPGの増加で酸素解離曲線は右方移動し、組織に酸素を渡しやすくなります。
  • 球状の赤血球は異常(遺伝性球状赤血球症)で、脾臓で壊されやすく、溶血性貧血・黄疸・脾腫の原因になります。
  • 貧血の目安(WHO)は、ヘモグロビン値が成人男性13g/dL未満、妊娠していない成人女性12g/dL未満です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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